中国のスタートアップ企業Shoujie Technologyが、折りたたみ式キーボードの筐体にPC本体を収めて一体型とした製品「Lunar 2-in-1」の資金調達プロジェクトをクラウドファンディングサービスKickstarterで開始しました。
Lunar 2-in-1は、今年7月にLinglongという名称でベータテストしていた製品。外観はただの分厚い折りたたみ式キーボードですが、内部には最大5.1GHzで駆動する8コアのAMD Ryzen 7 8840U CPUをはじめとするPC一式が組み込まれ、内蔵バッテリーによりどこでもPC作業が可能なポータブルPCとなっています。
メーカーはこの製品を「世界初の折りたたみキーボード一帯型ミニPC」と謳っています。
PC作業に欠かせないディスプレイを備えていないものの、USB Type-A x1およびUSB Type-C x2、Wi-Fiなどを経由してディスプレイやタブレット、スマートフォンさらにはVRヘッドセットやARスマートグラスなどに映像の出力が可能。独自のソフトウェアにより、マルティディスプレイを含むセットアップも容易にできるとのこと。
具体的には、カフェやコワーキングスペースなど外出先では、タブレットやスマートフォンをディスプレイ代わりにし、自宅ではARスマートグラスやVRヘッドセットを使用するといった使い方ができます。
もちろん、PC用のディスプレイを使ってデスクトップPCとして使うこともできます(YouTubeに公開された動画では、RokidのARスマートグラスを用いて作業する様子が示されています）。
キーボードにはシザースイッチ式を採用しており、迅速かつ応答性の高いフィードバック特性を持つと謳います。また右下部分にはトラックパッドを搭載し、マウスがなくてもGUI操作などが可能です。
CPU以外の仕様については16GB / 32GB RAM、512GB / 1TB SSD、外部インターフェースとしてUSB Type-A（USB 3.0）、USB Type-C（USB 3.2）、USB Type-C(USB 4）、2.5ギガビット有線LAN。ワイヤレス通信にはWi-Fi 6とBluetooth 5.2を搭載します。
内蔵バッテリーの容量は59.2Wh（1万6000mAh）で、フル充電状態なら軽いオフィス作業で最大8～10時間の駆動が可能とのこと。
折りたたんだ状態の大きさは153 x 110 x 30mmで、ジーンズの尻ポケットになんとか収まりそうなサイズ感。重さは780g。
なお、実際に使う際に気になる発熱具合に関しては、Kickstarterユーザーの質問に対し「冷却効果を高めるためにデュアル ヒート パイプを採用しており、スマートモードでのテストの結果、CPU温度が約70°Cに達しても、筐体表面の温度は約40°C に保たれている。キーボード左側の領域は32°C未満、右側は40°C未満に保たれている」とメーカーは返答しています。
11月3日まで行われているKickstarterプロジェクトでは、RAMやストレージ容量の違いによりいくつかの出資枠があり、記事執筆時点でLunar 2-in-1がリワードとなっている最も安価なスーパーアーリーバード枠（RAM 16GB / SSD 512GB）は、4499香港ドル（579米ドル、約8万7000円）となっています。
これは予定する通常小売価格より17%安価とのこと。計画どおりならば、リワードとなる製品の出荷は2025年1月になる予定です。クラウドファンディングは予約販売とは異なり、リスクもある点を理解のうえ、自身のニーズに合致するなら出資を検討してみても良いかもしれません。
