Meta Quest 3S発売。Quest 3とどちらを買うべき?処理性能とMR / パススルーは同等、安価な3Sが優る点も

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Ittousai

Tech Journalist. Editor at large @TechnoEdgeJP テクノエッジ主筆 / ファウンダー / 火元

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MetaがVR / MRヘッドセットの最新モデル、Meta Quest 3S を発売しました。

公式のオンラインストア価格は容量128GBモデル4万8400円、256GBモデルが6万4900円。小売店各社の店頭やオンラインストアでも購入できます。


■ 上位モデル Quest 3 は値下げ、ただし512GBのみ継続

今回の Quest 3S よりひとつ前、Meta が昨年10月に発売した Quest 3 は、新型のQuest 3S発表にあわせて512GB 8万1400円に改定。1万5000円ほどの値下げです。

Quest 3の128GBモデルは在庫限りで販売を終了したため、今後は

エントリー~スタンダードモデルの Quest 3S

・容量が多く画質も優れた上位モデルの Quest 3 という棲み分けになります。

旧モデルのQuest 2、Quest Pro も在庫限りで終了のため、今後新品で Meta Quest を購入する場合は原則的に

  • Quest 3S (128GB 4万8400円 / 256GB 6万4900円)

  • Quest 3 (512GB 8万1400円)

から選ぶことになります。

■ 共通点の多い Quest 3S と Quest 3。最大の差はディスプレイ

1年後に出てきたほうが廉価版で、名前もどちらが上なのか分かりにくい『3』と『3S』ですが、~3万3000円の価格差が示すように、Quest 3 が上位の製品です。

主な差はディスプレイの品質。(と、3の128GB版が終売になったことから、ラインナップ的に512GBモデルだけの3がストレージ容量でも2倍から4倍です)。

ですが、後発の利を活かして、3Sは安くても上位の3と共通仕様が多く、なかには3に優る点もあります。

ざっくりまとめると、

・プロセッサは同一、RAM量も同じ。つまり同じアプリが同じように動く
→ 3Sだけ足切りは考えづらい。

・ディスプレイ品質は違っても、パススルー品質は同じ。(パススルーはカメラで撮影して処理を加えた映像を見るため、カメラ性能と処理性能で品質が決まる)。

・パススルーはMetaが力を入れる複合現実アプリを使わないとしても、単に「ヘッドセットを着けたまま室内を歩いたり用を済ませられる」点が便利。
→ VRしかしない派でも、むしろ没入から抜けざるを得ない時間を短縮できる。

・ディスプレイの細かさ、レンズの品質はQuest 3がやはり一段上。
ただし、3であってもApple Vision Pro や、各社サングラス型ディスプレイ(ARグラス)のような高精細ではないため、細かい字を読む作業などにはQuest 3でもあまり向かない。

■ Quest 3とQuest 3Sで共通の仕様:

共通の仕様、違いについてもう少し細かく並べると、

・プロセッサとRAM容量:Snapdragon XR2 Gen2、8GB
→ 同じアプリが基本的に同じ仕様で動く。

・パススルー画質:カラー4MP、18PPD解像度
→ ディスプレイ自体の精細度はQuest 3が25PPD (角度1度につき25ピクセル)、3Sが20PPD(同20ピクセル)で異なるが、表示するパススルーのソースはさらに粗いため、どちらもほとんど変わらない

・コントローラ:(同じTouch Plusコントローラ、触感のTruTouch可変ハプティックスや単三電池駆動も同じ)
まったく同じコントローラ。

・ジェスチャ操作:対応
→ コントローラなしで手の動きを捉えて操作できるのも共通

アイトラッキング・フェイストラッキング:どちらも非対応
→ Quest Proのみ対応

ディスプレイ色域:sRGB 100%

ヘッドストラップ:後頭部はバンドだけの同一構造。バッテリーつきEliteストラップなどアクセサリも互換。

■ Quest 3 と 3S で異なる仕様:

・ディスプレイ解像度:Quest 3は 2064 x 2208 / 1218 PPI / 25 PPD。3Sは1832 x 1920 | 773 PPI | 20 PPD。
Quest 3のほうが30%ほど画素が多く、細かい文字も(比較的)見やすい。

・光学系:Quest 3はパンケーキレンズ、連続IAD調整。Quest 3Sは旧モデルQuest 2と同じフレネルレンズ、IAD調整は3位置から選択
→ ここでもQuest 3のほうが見やすく、スイートスポット(最適に見える位置)も広い

・FOV(視界の広さ):Quest 3は水平110度 / 垂直96度。Quest 3S は96度 / 90度。
→ Quest 3のほうが視野がやや広い。ただしそこまで大きな差ではなく、3でも周辺視野は黒く覗き込んだ感はまだある。FOVは接顔クッションや顔のかたち、IPD (瞳孔間距離)でも人によって変わる

・3.5mmヘッドホン端子:Quest 3は搭載。Quest 3S は非搭載 (ただし両機種とも、USB-C端子にUSBオーディオ対応イヤホンを接続可能)

・アクションボタン:Quest 3S のみ搭載。ヘッドセット右側の下部にある。ボタンひとつでパススルー(カメラごしに周囲が見える)とVRを切り替える。Quest 3では側面を二度叩くことでクイック切り替えが可能。
→ 強いていえばボタンのほうがシンプルで確実。ただし(まだ)汎用の操作を割り振る等はできない専用ボタン。

・バッテリー駆動時間:Quest 3は標準で「2.2時間駆動」、Quest 3Sは「2.5時間駆動」
→ 一応、3Sのほうがカタログ上はわずかに駆動時間が長い。ただしどんなアプリを使うかで大きく変わるため、自覚できる差かは微妙。

■ 結局どうやって決める?

上記のように共通の部分が多く、難しいところですが、ご予算にあわせた判断の参考になりそうな点をいくつか並べると、

・もっとも高価で、VR体験で重要な画質が高く、ストレージも多い Quest 3がもちろん最善。ご予算が許せば。

・Quest 2からのアップグレードや、特定の使いたいVRアプリが決まっており、少しでも画質が高いほうが良い人はQuest 3がより望ましい

・初VRで、使いつづけるか分からないのに8万円はちょっと……ならばQuest 3Sで十分。

・最大の差であるディスプレイについては、両方を使えば歴然と分かるものの、Quest 3Sも発色はよく、画像処理が進歩したこともあってか意外ときれい。

・Quest 3に慣れたあとQuest 3S を使ってみると、これはひどい!というほど劣化は感じず、むしろ「Quest 2こんなキレイだったっけ?」と思うほど。ただ、比較すればやはりぼやけて見えるため、無意識にフィットを調整して直したくなる(すでに正しく装着していても)。つまり、Quest 3でも少し装着がズレてボケた状態では 3Sとさほど変わらない。

細かい文字を読むようなアプリ・用途では、やはり3が有利。Quest シリーズは解像度が高くないQuest 2で大きく発展したため、多くのアプリではそもそも細かい字を読ませないUIになっており、PCで高解像度前提のアプリを無理に低解像度で使うような意味で苦しむことは少ない。特に大半のゲームでは、細かい文字を読むことは稀。

結論として、「予算に余裕があり、VRで見たいものが決まっていて、少しでもはっきりときれいに見たいならQuest 3。VRお試しや、VRゲーム・ソーシャルVR等にとりあえずアクセスできる方法を用意しておきたい、手軽に手を出したいなら Quest 3Sで十分」といったところでしょうか。


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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
《Ittousai》

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