2024年は、まだまだ終わりませんよ。12月19日(木)には『スマホ“裏”アワード』が控えています。
アワードの一部門にある“ベスト変態スマホ”にはノミネートされていませんが、個人的には……というか現実的に、日本で発表されたスマートフォンで今年一番の変態は、コレだと思うんですよね。
ホームボタンのあるAndroid……そう、民事再生法の申請で、あわや製造中止かと思いきや不死鳥のごとく蘇った“らくらくフォン”です。
※純粋にシニア向けスマホを探していて当ページにたどり着いてしまった方には、申し訳ございません。
変態疑惑があるのは、ワイモバイルやSIMフリーで出たらくらくフォンではなく、ドコモから出る「F-53E」です(発売は2025年1月以降を予定)。
なぜか?
一番は、搭載する有機ELディスプレーのサイズにあります。
▲手のひらに収まるコンパクトサイズ。
5.4インチ(1080×2160ドット)サイズの有機ELディスプレーは、世に流通していません。Androidでは、昨年9月に発売されたZenFone 10が最後の“6インチ未満の有機EL”を搭載した端末でした(たぶん)。
▲搭載する5.4インチディスプレーは、発色もよくハイクオリティー。
6インチ未満のスマホはトレンドから大きく外れ、メーカー側としても開発するメリットがありません。流通が少ないものを採用すれば、当然コストが跳ね上がります。どうしても作りたかったら、特注するしかありません。そんなことまでして作りたいメーカーなんて……いたんですね。それがFCNTというわけです。ちなみに液晶ディスプレーだったらもっと安く作れるのですが、そうはいかぬ事情は後述します。
▲基本的な体験が変わらないように心がけて開発されている同シリーズ。サイズも重要な要素だったはず。
ホームボタン搭載のためベゼルがあり、本体の面積は6インチ台前半のスマホとそう変わりませんが、カメラ部が出っ張っておらず、非常にスリムに感じます。
▲ラウンド形状で手にもフィット。シャッターボタンも搭載。
▲SIMピン要らずのトレイはマイクロSDも入る。ちなみにeSIMにも対応。
そして、もう1つの変態性がUI。通常のスマホと同じ静電式のタッチセンサーの下に、銀行のATMなどに使われている“感圧式”のタッチセンサーが仕込まれています(今回が初ではありません)。
通常のスマホのようにスクロールできますが、タップする際は押し込むように操作します。動画のほうがわかりやすいでしょう。
スマホのタッチ操作に慣れてない人の誤爆を防ぐために開発された、静電・感圧ハイブリッドの“らくらくタッチパネル”(『F-53E』などドコモ向けのみ )。絶妙なハプティクスでスマホのタッチ操作に慣れてるハタチですらカ・イ・カ・ン🔫 MacBookのトラックパッドみたいな感触です👆 pic.twitter.com/jr5fVPazAj
— ACCN|矢崎飛鳥 (@ACCN) December 8, 2024
この感圧センサーのスペースを確保するため、バックライトが必要な液晶ディスプレイは採用できないのですね。
もちろん、UIもその特殊な操作方法に合わせフルカスタムされています。
▲超ガチガチにカスタムされたUI(右はシンプルモード……といっても、こちらのほうが若干細かくカスタム可)。Android標準のものにはできない。
カスタムUI自体はワイモバイルやSIMフリーで出た端末も同じものを採用していますが、このUIは感圧センサーあってならではと思うんですよね。なので、もうとっくに読んでないと思いますが、もし純粋にシニア向けスマホを探して当ページにたどり着いた方には、ドコモ版「F-53E」を強くおすすめいたします。
▲世界的に見ても稀有な仕様のドコモ版「F-53E」。
有機ELの話に戻りますが、相当数発注したはずですから、しばらくはこのサイズのらくらくフォンがドコモから出続けるのではないかと私は読んでいます。個人的にはらくらくじゃないこのサイズのスマホも出てほしいですが、まぁ難しいでしょう。
変態端末を作るのは、実に骨の折れる仕事です。開発に携わった方々に、心から敬意とエールを送りたいと思いますが、“裏”アワードにこの端末は登場しません。裏じゃないですものね。
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