1週間の気になる生成AI技術・研究をいくつかピックアップして解説する連載「生成AIウィークリー」から、特に興味深いAI技術や研究にスポットライトを当てる生成AIクローズアップ。
今回は、OpenAIが1月31日(現地時間)に発表した「o3-mini」を取り上げます。
o3-miniは2024年12月にプレビューされており、o1の進化版になります。今回リリースされたのはminiという軽量版で、「o3」は今後登場予定としています。
o3-miniはすぐに回答せず、いろいろ考えてから出力する思考過程を生成するモデルで、科学、数学、コーディングなどで優れた性能を発揮します。画像には未対応で文章のみです。
o3-miniには推論レベルを高く設定した「o3-mini-high」バージョンも用意されています。このハイエンドバージョンは、標準的なo3-miniと比べて応答生成に若干多くの時間を要しますが、代わりにより高い知能を発揮します。
Web検索とも併用でき、テキスト入力欄に表示されている「検索」をアクティブにすれば利用できます。入力は20万トークン、出力が10万トークンと長めの回答も可能です。
これまで思考過程を生成するモデルは、深く考える分、計算コストが高くなってしまうので使用料金も高くなっていました。軽量版のo3-miniは料金的に安く、現在、ChatGPTとAPIで利用可能です。
ChatGPTでは、有料ユーザーは通常のo3-miniに加えて、o3-mini-highを選択することができます。PlusとTeamユーザーは150回制限で、Proユーザーは両方のバージョンに無制限でアクセスできます。無料ユーザーもテキスト入力欄に表示されている「理由」をアクティブにすれば試すことができます。o1-miniは使えなくなっています。
性能はo3-mini-highとo1を比較すると、一般知識ではo3-mini-highが負けており、プログラムや数学では勝っていることがベンチマークで示されています。また日本語にも弱いため、コーディングや数学を強調しているのが伺えます。さらにo1-miniより回答速度が速く、o1よりハルシネーションを起こしにくいです。o3-mini-highは人間の評価でも高く評価されています。
このように軽量、低料金、プログラムに強いということもあり、気軽に使える分、Xではo3-mini-highを利用した生成結果が多く投稿されています。その一例をいくつかご紹介します。