中国EngineAIのヒト型ロボが前方宙返りを披露。バク宙より高難易度、かなり自然な歩き姿も

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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中国のロボット開発ベンチャー企業Zhongqing Robotics(EngineAI)は、同社製ヒューマノイド「PM01」が前方宙返りを成功させる様子を収めた動画を公開しました。

EngineAIは、ヒト型ロボットが前方宙返りを成功させるのはこれが世界初だと主張しています。

たしかにこれまで、Boston DynamicsのAtlasUnitreeのH1といったいくつかのヒト型ロボットによる後方宙返り、いわゆるバク宙の動画は見かけることがありましたが、前宙をするヒト型ロボットの姿を見るのはこれが初めてかもしれません。

前方宙返りを成功させるには、高い脚部の敏捷性や、身体の平衡を知覚し、倒れそうになったときにも素早く対応する能力に優れている必要があります。また、後方宙返りならその動作の後半で最終的な着地点が視界に入り、距離感やタイミングを計りやすいのに対し、前方宙返りでは動作の最初に地面が見えるものの、それ以後は仰向けの状態になり、着地動作がブラインドになるため、それによって生じる恐怖心などを克服しなければなりません。

さらに動作中に使う筋肉も、バク宙のほうが力の強い背筋やハムストリングスなどを使う一方で、前宙は腹筋と大腰筋、腸骨筋、小腰筋からなる股関節屈筋群を使用するという違いがあり、一般的にはバク宙よりも前宙のほうが難易度が高いとされます。

ロボットの場合は、筋力の違いは設計によって何とでもなります、また恐怖心もないため、必要なセンサーとその情報を処理して姿勢を維持できるようなコンピューターの処理速度があればあとは適切にプログラミングしさえすれば、難しいことではないかもしれません。

ただ、そうは言っても過去にこれを成功させたヒト型ロボットがない事実を考えれば、EngineAI PM01が前宙を決められるのは大したものです。すくなくとも10年前には、こんなに運動神経の高いヒト型ロボットは存在しませんでした。EngineAIのエンジニアらは、AIを駆使して前方宙返りのプロセス全体を最適かつ正確に制御できるようにPM01を調整しているとのことです。参考のために記しておくと、PM01は身長1m38cm、重さ約40kgと小柄かつ軽量で、最大300Nmのトルクを持つアクチュエーターを使用し敏捷性を備えています。

さらに、EngineAIの動画で興味深く思えるのは、PM01が町を歩いている姿が非常に人間っぽいところです。ロボットの進歩が著しいのは上にも述べたとおりですが、それでもヒト型ロボットが2本の足で歩く姿は、からくり人形やブリキのおもちゃのようであったり、どことなく硬直気味で不自然に感じるものが多くありました。しかしPM01の歩く姿は手の振り方なども含めて(これがCGIなどによるフェイクでないのなら)非常に自然に見えます。

なお、EngineAIはPM01をオープンソースで開発しているとしています。またすでに購入も可能になっており、約1万3700ドル(約205万円)で入手できるとのことです。


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