VAIO株式会社が、個人向けの13.3インチモバイルノートPC『VAIO S13』を発表しました。
最速での配達日は7月15日から。販売想定価格は、VAIOストアでの直販モデルが16万3000円(税込)から、ソニーストア販売モデルが15万4800円(同)から、量販店頭モデルの想定価格は20万4800円からとなります(VAIO直販は保証期間の長さなどから、ソニーストアのほうが安価となります)。本体カラーはシルバーとブラックの2色構成です。
同社の個人向けモバイルPCには現在、12.5インチの『VAIO SX12』と14インチの『VAIO SX14』、そして14インチの高級機『VAIO Z』がありますが、このS13はVAIO SX14の軽さや小ささといった特徴をほぼ損なわず(小ささという面では画面の分むしろ有利に)、価格を抑えたモデル、という位置づけ。
筆者なりにくだけた表現をすると、「VAIOのノートって軽くて良さそうなんだけれど、高いよね」という(おそらくは少なくない)声に応えたようなモデルです。
なお、現行SX14の価格は、VAIO直販が17万8000円から、ソニーストア販売が16万9800円から。量販店モデルは23万9800円。つまりS13は、直販の最廉価構成で1万5000円ほど安価になるという計算です。
主な機能面での特徴は、CPUにはインテルの「Alder Lake』こと第12世代Core i(標準TDP値15W版)や、同世代のCeleronを搭載。ディスプレイは13.3インチ16:9のフルHD解像度。
RAMは8GBから(最大32GB、ユーザー増設は不可)、Thunderbolt 4端子も2ポート搭載し、キーボードユニットはSX14と共通で、本体直結の有線LAN端子も装備。そして外装デザインはソニー時代のVAIO Proから引き継ぐ設計……など、意外なまでにSX14に近い仕様となります。
ただし、SX14の上位構成で搭載可能なパーツ、たとえば標準TDP28WのPシリーズCPUや、4K液晶パネル、5Gモデムやキーボードバックライトなどは、S13では選択不可能に(モバイル回線対応はLTEモデムまで)。
さらに、VAIO独自のCPU性能向上技術『VAIO TruePerformance(冷却とCPU電源部の余裕を活かし、可能なかぎりCPUをターボ状態クロックで動作させる)も、S13では非搭載となります。
そして意外と変わらない点は、大きさや重量も。
今世代S13(実は過去、同名シリーズがありましたので、その意味では“復活”となります)の本体サイズは305.8×215.1×14.4~18.4mm(幅×奥行×厚さ)、重量は約1.049kgから。
対してSX14は320.4×222.9×13.3~17.9mで約1.046kgから(過去世代は999gからでしたが、今世代は最軽量構成が47gほど増しています)。
つまり重量に関しては、本機のほうがわずかに重いものの、ほぼ変わりません。
若干重量増となっている理由は、天板素材にあります。本機はマグネシウム合金ですが、SX14は立体成型カーボンファイバー。ここは軽さを優先したSX14と、コストとのバランスを重視したS13の違いが出ている部分です。
しかし天板素材が変わっても、堅牢性に関しては、SX14譲り。127cmからの落下を始めとするVAIO独自の厳しい品質試験(SX14と共通)をパスし、米軍調達仕様MIL-STD-810H準拠のテストもクリアします。
なお、画面周辺のベゼル幅は、SX14と同じくナローベゼル設計に。VAIOはWebカメラを重視していることもあり、天側は今の目から見ると相当に太めですが、左右側はスリムです。
主な仕様は、CPUがCeleronからCore i7までのUシリーズ。事前説明会の構成は『Core i7-1255U』(10コア12スレッド、最高クロック4.7GHz、基本TDP15W)を搭載していました。
RAMはLPDDR4Xで、8/16/32GB(オンボード:増設不可)、SSDはNVMe/M.2版。速度は他モデルと同じく2グレードあり、『スタンダードSSD』(といってもNVMeです)と『第四世代ハイスピードSSD』に分かれます。
バッテリー駆動時間は約20.5~24.2時間(JEITA 2.0測定)、セキュリティはWindows Hello対応の顔認証と指紋認証(電源ボタン一体型)、無線通信はWi-Fi 6とBluetooth 5.1、4G LTE(オプション)。
拡張端子はThunderbolt 4(兼USB Type-C)×2基、USB 3.0×2、HDMI、有線LAN(1000BASE-T)、3.5mmヘッドセットジャック。廉価モデルでは1基にされがちなThunderbolt 4もしっかり2基搭載するなど、このあたりは廉価感はありません。そして実は、SX14とも同じ構成です。
付属ACアダプタは65WのUSB Type-C端子タイプです。
このようにVAIO S13は、VAIO SX14の高級・高速ノートPCとしての要素を上手に抑えつつ、それ以上にコストを抑えた、かなり面白いモデルといった趣。直販価格では上述のように1万5000円の差ですが、性能や機能の近さを考えると「価格差がほぼまるまるお買い得度アップになる」と呼べそう。
冒頭でも紹介した「VAIOのノートって軽くて良さそうなんだけれど、高いよね」という声に応えたようなS13。軽量モバイルが欲しいけれど、お買い得度も重視したい……という多くのユーザーには、SX14より魅力的な機種にも映りそうです。
●Source:VAIO 公式サイト