自然なテキスト文からリアルな画像を生成できるAIツール「DALL-E」が、ベータ版として公開されます。お試し希望者は、開発元であるOpenAIのウェブページから順番待ちリストに登録する必要があります。
「DALL-E」はこれまで、研究者、学者、ジャーナリスト、アーティストなどごく少数の人々をテスターとして招待して試験運用を行っていましたが、OpenAIは水曜日の発表でこのAIを研究段階からベータ版に移行することを明らかにし、今後数週間のうちに順番待ちリスト登録者から最大で100万人をこのプラットフォームに受け入れる予定だと述べました。
米国の非営利報道機関のNPRは、ディープフェイクなど、近年のAIによる画像生成・合成技術が悪用される例に言及し、OpenAIもそのためにこれまでDALL-Eを厳重に管理してきたと述べています。そして今回のベータプログラムの開始では、DALL-Eの機能が完全に一般公開されるかはわからないものの、プラットフォームにとって重要な試験の機会になると報じています。
MITのコンピューターサイエンス教授で、かつてはOpenAIにも在籍していたPhillip Isola氏は「DALL-Eがやっていることは、人間の想像力の部分をとりこむこと」だと説明します。それは「人が本を読んで想像するのとそれほど大きな違いはないが、その知性をアルゴリズムでとらえることに取り組んでいる」と述べています。そして「もちろん、この種の技術が何かに悪用される可能性については、多くの懸念があります」としました。
一方、DALL-EのプロダクトマネージャーJoanne Jangによると、OpenAIはDALL-Eのコンテンツルールの見直しを進めており、暴力、ポルノ、ヘイトなどに関わるコンテンツの作成を禁止しているとのこと。また、「政治的プロセスに影響を与えたり、選挙運動に利用される可能性がある」画像、さらには実在の人物の描写も禁止しています。
Jang氏はDALL-Eについて「まだ未知数なところもあり、もっと上手く使いこなせるようにしていきたい」と述べています。そして「さらに信頼性を得るため、より多くの人々を招待し、使用例を大幅に増やせることを期待している」としました。
難しい話はともかく、この優れた画像生成AIを試してみたいと思ったならば、まずは順番待ちの列に並ぶ必要があります。どれほどがすでに並んでいるかはわかりませんが、もし順番が巡ってきたら、ユーザーはピカソのような抽象的な絵画から、自然な風景、さらにはサイバーパンク、ポストアポカリプスといった実在しない世界観を伴う画像にいたるまでを自由にリクエストしてみることができるはずです。
ちなみに、DALL-Eのベータプログラムで画像を生成するには、ユーザーはクレジット制を利用することになります。最初の1か月はユーザーに50クレジットが与えられ、翌月からは毎月15クレジットが支給されます。画像生成のためのテキストを入力するには1回あたり1クレジットが必要で、DALL-Eは1リクエストに対して4枚の画像を生成して返します。また生成した画像の使用権がユーザーに与えられ、その絵を使ってTシャツやマグカップ、何らかのアートワークとして販売することも可能とのことです。