ソニーのゲーム部門 SIE (Sony Interactive Entertainment)が、モバイルゲーム開発スタジオ Savage Game Studios の買収を発表しました。
買収金額や諸条件は非公開。Savage Game Studios はSIEのゲーム開発部門 PlayStation Studios内に新設されるモバイルゲーム部門へ加入し、新規及び既存のプレイステーション作品IPを活用したスマートフォン向けゲームを開発します。
Savage Game Studios はベルリンとヘルシンキの二箇所に拠点を持つモバイルゲーム開発スタジオ。2020年に設立された比較的新しいスタジオで、昨年にはモバイルシューターゲーム開発に向けた資金調達がニュースになっていました。
共同創業者のひとりでCEOのミヒャイル・カトコフ氏は Rovio や Zynga などでモバイルゲーム開発に携わった開発者で、F2P (基本無料)ゲームを分析するBlog / Podcast 『Deconstructor of Fun』 も主催します。
PlayStation Studios統括責任者 ハーマン・ハルスト氏のコメントは、
PlayStation Studiosに新たなメンバーが加わります! 本日、私たちはSavage Game Studiosを買収する確定契約を締結したことを発表いたしました。Savage Game Studiosは、世界中のプレイヤーが楽しむ大人気モバイルゲームを何年間も制作してきた経験を持つ、非常に才能のあるクリエイティブチームを有し、大胆で新しいアイデアを恐れず追求していくことを理念に、数年前に創業されました。私たちは、革新へのたゆまぬ向上心と、より多くの方々にPlayStationに触れていただき、顧客層を拡大していきたいという熱意を彼らと共有しており、PlayStation Studiosの一員にふさわしいと確信しています。
Savage Game Studios のミヒャイル・カトコフ氏のコメントは、要約すれば Savage Game Studios はモバイルゲーム業界のベテランで世界的IPを扱ったこともある3人が創業したスタジオ、大スタジオから独立創業したのは自分たち自身で決定権を持てるよう身軽に小規模でいるため、にもかかわらずPS Studios傘下になったのはソニーが同じビジョンを共有していること、リスクを恐れないこと、また開発サポートなど多くのリソースを得られること、PlayStationのIPを利用できる可能性があること。
開発中のタイトルは「未発表のAAAモバイル ライブサービス アクションゲーム」とされています。
今回の発表でほんのり面白いのは、かつてプレイステーション作品のPC向け展開を発表した際と同じく、これでプレイステーションゲーム機用のゲームや、PSを象徴するストーリー重視のシングルプレーヤーゲームから手を抜くわけでは決してないとくどいほどに強調していること。
ソニーはDestiny の Bungie を買収した際、従来型の売り切りではなく長期にわたってコンテンツを更新し収益源となりつづける「ライブサービスゲーム」への注力を表明しており、プレイステーションの人気ゲームIPを含む10本以上を開発中です。
ライブサービスゲームは多くが基本無料で収益化のために多くのプレーヤー層を必要とすることから、Destinyがそうであるようにマルチプラットフォームになる傾向があります。
新設されるPS Studiosモバイル部門からは、かつてはPS独占としてゲーム機ハードウェアを買わせるための武器だった作品の基本無料スマホゲーム版が次々と登場することになりそうです。
5月に開催されたソニーの2022年度 事業説明会資料より。2025年度にはソニーのファーストパーティー作品はモバイル&PCが45%、PS5が55%になる計画です。
Savage Game StudiosがPlayStation Studiosの一員に – PlayStation.Blog 日本語