ラッパーの「ye」ことカニエ・ウェストが、ユダヤ人に対するヘイトツイートを繰り返し、InstagramとTwitterにアカウントを凍結されました。Instagramでは約1600万、Twitterでは3100万ほどがフォローしています。
カニエは先週まで開催されていたパリ・ファッションウィークに「White Lives Matter」とメッセージをプリントしたTシャツを着て現れ、世間だけでなく多くの著名人からも批判を浴びていました。そしてこのTシャツのデザインに噛みついた著名人のひとりがラッパーのショーン・“ディディ”・コムズ(過去にはパフ・ダディ、P・ディディ名義でも活動)。ディディはInstagramへの動画でカニエのファッションを「支持できない」と批判し、もし販売されたとしても購入すべきでないと自身のフォロワーに呼びかけていました。
しかしカニエはディディの発言など無視するかのようにInstagram上でユダヤに対する憎しみや嫌悪を含む発言を繰り返し、先週金曜日にはディディとのテキストメッセージの応酬をInstagramに投稿「ディディがユダヤ人に操られている」としました。これ対し米ユダヤ人委員会(AJC)はカニエの発言は反ユダヤ主義的な陰謀論を唱えるものだと非難。このような流れの結果としてInstagramはカニエのアカウントをポリシー違反だとして凍結するに至りました。
Instagramから閉め出され、これで騒動もしばらく落ち着くかと思われたのも束の間、カニエは2年も使っていなかったTwitterに現れて「ユダヤ人たちにdeath con 3を仕掛けてやる」とツイートしました。
「death con 3」というのは、米国防総省が戦争・防衛準備体制を5段階で表現するDEFCON(Defense Readiness Condition)をもじった表現とみられます。第3段階の「DEFCON 3」は通常よりもさらに高度な防衛準備状態を意味し、過去には米同時多発テロ発生時に宣言されたことがあります。
カニエはツイートでユダヤ人に向け「お前たちは俺をもてあそび、お前たちの考えに反対する奴は誰でも排除しようとした」とも述べており、こうした不穏なツイートにより、程なくしてTwitterからもアカウント凍結処分が下されました。
InstagramもTwitterも、それぞれのポリシーで攻撃的な発言を含む投稿を禁じています。カニエのTwitterアカウントは削除されてはいないものの、Twitterはポリシー違反の内容に応じて12時間から7日間の範囲で当該ユーザーのアカウントを投稿禁止にし、状況に応じてリツイートやいいねなども禁止できます。なお、記事執筆時点でアカウントがいつ復旧するかはわかりませんが、その間もTwitterユーザーはカニエの投稿を引用したりリツイートすることは可能です。
ちなみに、テスラやSpaceXを率いる億万長者で、もうすぐTwitterのオーナーになるかもしれないイーロン・マスクは、Twitterでの投稿を再開したカニエに対し「Welcome back to Twitter, my friend(Twitterにようこそお帰り。私の友よ)」と歓迎していましたが、すぐにその友が投稿禁止にされたのを見てどう思ったのかが気になるところです。マスクは以前、自身を「言論の自由絶対主義者」だと述べ、アカウントを永久追放されたトランプ前大統領を復帰させたいとしていました。