このところ、天候が悪かったり寒かったりイベントが多かったりを理由に、ロードバイクで外を走っていませんでした。それでもApple Watchが求めてくる1日630kcal運動ができていたのは、インドアバイクのおかげです。
インドアバイクは、スポーツジムにも置かれている、ディスプレイを備えた自転車スタイルの装置で、最近では実際のコースを見ながら走っているような気になる高度な機能を備えたものも増えています。同等の装置を自宅に備えて、コンピュータと接続して仮想的なコースを走れるようにしたサービスが近年増えています。
ロードバイクの後輪を外し、スマートトレーナーと呼ばれる装置に接続し、自転車に与えるパワーや回転数などの数値をセンサーからコンピュータに送り込み、それを3Dグラフィックスで反映するという仕組みです。ロードバイクをそのまま接続できるものもあれば、オールインワンの専用機もあります。価格は数万円から数十万円まで。筆者は古いロードバイクとスマートトレーナー「Garmin Tacx FLUX S Smart」を組み合わせて家の中に設置し、時間が空いたときに走っています。
インドアバイクサービスの中でも最も有名なのが、実在の街並みを3Dで再構築した空間内で走ることができるイギリス生まれのZwiftでしょう。Mac、Windows、iPad、iPhone、Apple TV、Android向けのアプリがあり、どれでもプレイできます。3Dグラフィックス機能が高い方がよりリアルな街並みを再現できるので、筆者は外部GPUを備えたWindowsゲーミングPCに没入感の高い横長ディスプレイを組み合わせて走っています。
Zwiftの新コース「MECH-Isle」
このZwiftが先週、新しいコースをオープンしました。「MECH-Isle」という名前の島です。日本語にするなら「機械ヶ島」でしょうか。ここのコースを数回走ってみたので、どういうものかをご紹介しましょう。
このMECH-Isleは、Makuri Island(マクリ島)と呼ばれる大きな島の一部。マクリ島は日本のいろいろな要素を取り込んだ、ありそうでない擬似日本です。日本の田園風景、城郭、お祭り、浅草、皇居、コンビニ、屋台、富士山、東京タワー、スカイツリー、ゲーセン、そして怪獣といった有象無象が詰め込まれています。これらは全部が一箇所にあるわけではなく、テーマに沿って場所が分けられていて、都会的な要素はNeokyo(ネオ京)という街に集約されています。
神社、城郭などを経由しながら走る田園風景は、Yumezi(夢路)と呼ばれる地域にあり、これは正岡子規の俳句「鹿を逐ふ夏野の夢路草茂る」にインスパイアされたものです。
▲正岡子規「病牀六尺」青空文庫版より
そして、マクリ島でアンロックされた新たな地域が「Urukazi」。「Urukazi」とは、琉球語の「海岸」という意味の「uru」と「風」を指す「kazi」を組み合わせた「海風」という意味を持つ造語。その一部がMECH-Isleというわけです。ここは、砂浜のある海岸線、椰子の木やハイビスカスのような花々など、琉球諸島を思わせる風景に、立ち並ぶ工場が加わっています。
▲Urukazi(海風)
沖縄をイメージした場所ですが、海の向こうには富士山も見えます。このマクリ島はだいたいどこからでも富士山がよく見えるのですが、Urukaziには、巨大な2体の石像があります。石像というよりは、山。その山が米国大統領を刻んだラシュモア山のようにそびえ立っており、これが沖縄の守護神、シーサーなのです。
▲富士山が見えるのだが、その少し先には……
▲2体の巨大シーサー像
マクリ島ではあちこちに、怪獣や巨大ロボットの痕跡が残されています。田園地帯には怪獣の手首を見に集まって写真を撮ってる人たちがいますし、ネオ京では貨物車やトラックが巨大ロボットのパーツらしきものを運んでいます。
じゃあこうしたロボットのパーツはどこで作られているのか? その謎が今回解けたというわけです。MECH-Isleの工場から運び出されているのは巨大ロボットの手首や肩のパーツ。これらが分解されてネオ京に運び込まれていたのだと推察できます。
▲MECH-Isleから運ばれる巨大ロボットの肩パーツ
▲工場から運び出される巨大ロボットの手首パーツ
怪獣の手首を切り落としたのはこの巨大ロボットなのでしょうか。それとも、巨大シーサー像がキングシーサーのように守護神となって怪獣と戦ってくれたのでしょうか。巨大ロボットと怪獣が戦う中を走るロードレースの登場を期待しましょう。
BGMにはやはりキングシーサーが活躍する「ゴジラ対メカゴジラ」のサントラが最適な気がします。