キャリアやメーカーが用意するものから、保険会社が実施するものまで、さまざまな選択肢がある「補償/保証」ですが、ほとんどは、破損や故障、紛失などが対象。Apple Care+のようにバッテリー交換もパッケージ化したサービスはありますが、どちらかと言えば少数派です。
そんななか、中古スマホなどを展開するニューズドテック社が新たな保証サービスを開始しました。それが「トリカエスマ保証」、略して「トリスマ」です。
同保証サービスは、バッテリー劣化に特化しているのが特徴。ベーシックプランは月額200円、プレミアムプランは月額500円です。ベーシックプランは、バッテリーの最大容量が80%以上の場合に入会可能。これが79%以下になった場合、最大容量が80%以上の端末に交換されます。
これに対し、プラミアムプランは月額料金が高いこともあり、バッテリーの最大容量は条件になっていません。交換申請も、「何となく保ちが悪くなった」という直感だけでOKです。
ただし交換時には、端末の価格に応じた費用がかかります。費用は3000円、6000円、9000円の3パターン。手数料は端末価格が2万円以下の場合が3000円、2万1円以上3万円以下が6000円、3万1円以上が9000円になる模様。
ミドルレンジやローエンドなら6000円程度で済みそうですが、iPhoneのような端末の場合、おおむね9000円かかると理解しておいた方がよさそうです。
▲保証はベーシックプランとプレミアムプランの2種類。後者の方が交換条件が緩く、届く端末もきれいだ
注意したいのは、交換端末は新品ではない点。中古スマホ事業を手掛けるニューズドテックのサービスなので、当然と言えば当然ですが、交換端末として手元に届くのは中古端末になります。
またプランによって、送られてくる端末のランクが異なります。いずれも使用には影響はありませんが、ベーシックプランで入手できるのは「Cランク」の端末。ガラス割れなどはありませんが、金属フレームに盛大な傷がついていたりするものも多いようです。
▲Cランクの端末。使用には影響ないが、フレームなどに歴戦の傷が多く残っている
これに対しプレミアムプランでは、バッテリー最大容量がiPhoneで90%超と高く、交換用として届くのも「Aランク」もしくは「Bランク」になります。
Aランクはぱっと見だと中古と分からないレベルにピカピカの端末。Bランクは、凝視すると1、2か所傷がついているレベルで、こちらも気にならない人には気にならない傷と言えるかもしれません。参考までに、以下がそれぞれのランクの端末になります。
▲Bランクの端末。拡大してよくよく見ると、ヒンジに近いフレームに傷があるが、じっくり観察しなければ気づかないレベル
▲Aランクは傷なし。あくまでも中古だが、新品にもっとも近い
どちらのプランも基本的には同等の端末、つまりiPhone 14ならiPhone 14、Galaxy S22ならGalaxy S22が届きます。ただし、ニューズドテック側に在庫がない場合も。
特にAndroid端末の一部は元々の生産量が少なく、中古市場に十分な数が出回っていないこともあります。このような際には、ユーザーの了解を得て、同等品への交換になるといいます。逆に iPhoneのようなドメジャーな端末は、別モデルになる可能性は非常に低いと言えそうです。
ニューズドテックは中古の端末を取り扱っているため、交換端末のストックは豊富。保証サービスに伴って回収した端末は、バッテリー交換などの修理をして再度販売できます。交換端末を少ない金額で出しても丸損することはないというわけです。この点は、長年中古スマホを取り扱ってきた同社ならではのビジネスモデルと言えるでしょう。
なお交換品は中古になりますが、加入のための端末は新品、中古を問いません。バッテリーの最大容量に不安のある中古端末はもちろんのこと、新品でもキャリアの保証サービスに「バッテリーの劣化が含まれていない」(代表取締役 粟津浜一氏)ことが多いからです。7:3程度に中古端末の比率としては高くなると見ているようですが、新品でも加入できることは覚えておいて損はないでしょう。
▲新品でも中古でもOK。誰でも気軽に加入できる
ただし端末購入直後の加入には一考の余地があります。他の保証サービスとは異なり、バッテリーの劣化に特化しているからです。基本的に、バッテリーの最大容量は充電と放電を繰り返していくうちに徐々に減っていくもの。購入直後の端末はもちろんのこと、2年程度の使用期間でバッテリーの最大容量が80%を切ってしまうのはレアケースです。
例えば10月に筆者が売却したiPhone 13 Proも、1年使用後のバッテリー最大容量は90%超。丸2年以上、ほぼ毎日充電と放電を繰り返したApple Watch Series 6ですら、87%の最大容量が残っていました。
▲iPhoneの場合、「設定」→「バッテリー」→「バッテリーの状態と充電」で最大容量を確認できる。筆者のiPhone 14 Pro(9月購入)は、まだ100%だ
そのためベーシックプランの条件である79%以下に至るには、相当回数の充電を繰り返す必要があります。その間、料金を払い続けるのはさすがにムダ。サービス利用が3年後だとすると、ベーシックプランで7200円、プレミアムプランだと1万8000円の料金がかかるため、あまりお得とは言えません。
加入から3カ月間の免責期間はありますが「バッテリーの調子が悪くなってからでも大丈夫」(粟津氏)というため、購入後、数年してから入ればいいでしょう。
▲バッテリーの調子が悪くなってからでも加入できると語る粟津氏
また3年から4年程度で機種変更する場合、これだけのお金をかけて同じ端末を“延命”する必要があるのかは考えた方がいいでしょう。その意味で、本サービスは機種変更を頻繁に繰り返す、何なら数台の端末を並行して使っていて充電回数も少ないと思われるTechnoEdgeの読者向けではないかもしれません。Galaxy Z Fold3から4へ機種変してしまう筆者のようなユーザーにも不向きです。バッテリーが劣化するより早く買い替えてしまう皆さんは対象外です(笑)。
そんな逸般人はさておき、一般のユーザーは1台のスマホを使う期間が年々長くなっているのは周知の事実。以下で挙げた資料は、KDDIが総務省で開催される「競争ルールの検証に関するWG」に提出した資料。
19年10月の電気通信事業法改正で割引に厳しい制限がかかって以降、ユーザーの平均利用期間は4.9年ほどまで伸びています。これだけの期間であれば、3年目などに取り替えて、長く使い続けるのはアリなのかもしれません。加入する時期はよくよく検討した方がよさそうですが、スマホを長く使いたい人は検討してみる価値があると言えそうです。
▲割引規制後は、端末の利用期間が長期化している
訂正:誤って「トリカエスマホ保証」と表記していた部分を修正。正しくは「トリカエスマ保証」でした。お詫びして修正いたします(編集部)