iPhone SE 4(仮)は少なくとも2025年以降? クアルコム大勝利とのアナリスト予測

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Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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アップルの廉価版スマートフォン iPhone SEの第4世代モデルは、様々な噂が飛びかいつつも、近い将来に発売されることは疑われていませんでした。

「第3世代までのiPhone 8ベースはそろそろ限界、次はiPhone XRベース」との予想がほぼ定説となっていたほどです。ディスプレイ専門アナリストRoss Young氏も「iPhone 14 Proのようなパンチホールデザインになる」「Dynamic Islandを採用」など期待を盛り上げていました

ところがここに来て、アップルの未発表製品に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏が、少なくとも2024年内までのiPhone SE4(仮)発売は中止されたとの情報を発信しています

これに先立ちKuo氏は最新の調査に基づき「2024年のiPhone SE4は量産計画がキャンセルないし延期される可能性が高い」とツイートしていました。

なぜなら、第3世代iPhone SEやiPhone 13 mini、iPhone 14 Plusなどのローエンドやミッドレンジモデルの出荷が軒並み予想よりも低調なため、とのこと。要はハイエンドのProモデル以外はあまり売れてないから、ということです。

加えて、iPhone SE4をホームボタンのない全画面デザインにするとコストや販売価格が上昇する懸念もあると指摘。その結果、アップルはSE4の製品的な位置づけと収益率を「再考する」必要があると述べていました。

実際の iPhone の売れ行きを見てみれば、2022年の iPhone 14世代は高機能なProモデルが一人勝ち、標準モデルは売上低迷の状態です。

特にiPhone 14 Plusが不調のために、後継モデル「iPhone 15 Plus」(すでに量産準備を始めていて引き返せないはず)は値下げを検討しているとの噂もあります

さてKuo氏は自らのブログ記事で、「2024年内のiPhone SE4はキャンセル」と言い切っています。上記のツイート後、関連サプライヤーから「アップルから2024年のiPhone SE 4の生産・出荷計画が延期ではなく中止であることを示す指示を受け取った」との情報を得たようです。

「iPhone SE4が全画面デザインになる」説を主張していたYoung氏も、昨年10月時点でアップルがまだ画面サイズはおろか、有機ELか液晶にするかも決めていないと述べていました。2024年に発売予定のモデルが2022年末に仕様が未定というのも考えにくく、社内では発売キャンセルに傾いていたとも推測されます。

Kuo氏のブログ記事で興味深いのは、「iPhone SE4のキャンセルで最大の勝者となるのはクアルコムだ」との主張でしょう。このことは、アップルが社内で独自のベースバンドチップ(5Gモデムチップ)開発を進めていること(未発表だが、ほぼ公然の事実)や、それによりクアルコムがiPhoneへのモデムチップ独占供給を脅かされることを懸念している事情が前提にあります。

実際クアルコム幹部は、「2023年には自社が供給するアップルのモデムチップはわずか20%になる」と述べて、その年にアップル独自開発モデムがiPhoneに搭載される見通しを仄めかしていました

しかし、Kuo氏はアップルが独自モデム開発に苦戦しており、2023年の「iPhone 15」には間に合わないとツイート。そこで、2024年の「iPhone 16」に間に合うかどうかに関心が集まっていました。

Kuo氏によれば、クアルコムがiPhone 16シリーズでもモデムチップを独占供給する可能性は高いとのこと。なぜなら、アップルがフラッグシップ機に独自モデムを投入するにあたっては、先に廉価版のiPhone SE4に採用し、現実世界でテストした結果を見てから決める予定だったからだ、との趣旨です。

しかし、テストベッド機iPhone SE4の発売が(少なくとも2024年)には吹き飛んでしまったため、ぶっつけ本番で主力たる iPhone 16に自社モデムを搭載するわけにもいかず、信頼性が保証されたクアルコム製モデムチップを採用し続ける他ない、という分析のようです。

iPhone SEは初代が2016年発売、第2世代は2020年、最新の第3世代が2022年に発売されています。

初代iPhone SE発売から4年の空白期間がありましたが、後継モデルを望むSEファンからは「4インチサイズのまま」を望む声も上がっていました。

が、第2世代はフタを開ければiPhone 8ベースの4.7インチとなり、上位モデルとサイズの差は縮まることに。

さらにiPhone XRベースの6.1インチ(5.5インチとの説もありました)になれば、コンパクトさでの差別化はできず、しかも価格まで上がれば廉価モデルとさえ言い難くなるはず。アップルがいったん発売を中止するとしても、それは妥当な判断かもしれません。


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《Kiyoshi Tane》
Kiyoshi Tane

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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