米ワイオミング州議会が、州内における新車電気自動車の販売を2035年までに段階的に禁止する決議案を検討しています。
この決議案の提案者、共和党ジム・アンダーソン議員は、決議案の意図はカリフォルニア州やニューヨーク州などの内燃エンジン搭載車の新規販売禁止に対抗するものだと地元紙Cowboy State Dailyに述べ、ワイオミング州の「誇り高く価値のある」石油・天然ガス産業は、これまでに「無数の」雇用を創出し、州の財源に大きく貢献してきたとしました。
また、この決議案では、全米に物資や資源輸送を可能にした内燃エンジンの自動車を称賛する一方で、電気自動車は充電インフラが不足しているため、利用は現実的ではないとしています。
さらに、EVの生産には従来の自動車よりも多くの鉱物資源が必要となる点を挙げ、米国内での鉱物材料の供給が、EVメーカーからの急速な需要増加に対応できるのか、寿命を迎えた古いEVバッテリーの処分時における廃棄物問題が表面化する可能性など、EVの懸念点を並べた内容です。
ワイオミング州は米国最大規模の風力発電所が設置されている一方、2021年には米国内8位の産油州になっています。しかしこの州に限らず米国農村部の人々は、都会の州ほど技術の進歩から恩恵を受けることができていません。マイクロソフトの2018年の報告にでは、米国の多くの地方コミュニティにおいて高速インターネットが整備されておらず、地域の経済的機会の減少や損失を招いているとされていました。
また決議案を共同提出した共和党ブライアン・ボナー議員は「いわゆる気候の危機に対して、一部の人々が望んでいる解決策が、実際に現実的なものであるかどうかをまず確認することに興味がある」とし「他の州が、まだ準備できていない技術を無理やり導入させようとするのは望ましくない」と述べました。
ちなみに、この決議案は可決されても法的拘束力はないとのことです。
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