マスク氏、自分のツイート閲覧数が減った理由を社員に問い詰める。正直に説明した主任エンジニアにクビ宣告

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Munenori Taniguchi

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現在Twitterの舵を握っているイーロン・マスク氏は、最近このプラットフォーム上での自身のツイート閲覧数が低下しているのが気に入らない様子です。

2月はじめ、イーロン・マスク氏は自身Twitterアカウントをに突然鍵をかけ、丸1日のあいだ人々から閲覧できないようにしました。これは自身のフォロワーのひとりが、アカウントをロックするとフォロワーへのリーチが増えるのがアルゴリズムのせいだと指摘したことを受け、自身のツイートの閲覧数がアカウント公開時に比べてどれぐらい変化するのかを見たかったからでした。


技術系ニュースサイトPlatformerはTwitter社内のソースから得た証言として、2月7日にマスク氏がエンジニアとアドバイザーを集め、なぜ1億人以上のフォロワーがいる自分のツイートが数万回しか閲覧されていないのかと問いただしたと伝えています。

エンジニアたちは、マスク氏のツイートへのリーチが足りないことに関しなにか説明のつく理由がないかを調査したものの、アルゴリズムに偏りはなく、人為的にマスク氏のツイートを閲覧しにくくした形跡は見当たらなかったことをマスク氏に回答しました。

そしてある主任エンジニアは、マスク氏に関するGoogle Trendのグラフを提示して、Twitter買収を表明した2022年4月当時のダントツのピークをスコア100とすると、2023年はじめあたりからのマスク氏の人気度は低空飛行を続けており、先週の時点のスコアはわずか9にとどまっていること、すなわちGoogleでの検索数など客観的な指標をもとにすると、マスク氏の発言に対する世間の注目度そのものが以前より下がっていることが要因のひとつとして考えられるのではないかと説明しました。

確かにグラフでは、マスク氏が440億ドルという巨額の買収を表明したときのインパクトは強く、さらに2022年10月に買収を実行を完了し、Twitterへの派手な解雇劇や方針転換が続いたころにも、もうひとつの小高い人気の丘ができています。

しかしここ最近のTwitterはといえば、サードパーティ製クライアントアプリ禁止や、各種サービスやAPIの有料化など、影響を受けるユーザーにとってはネガティブな意味で話題になっても、買収決定のように世間の多くの人がマスク氏のツイートに注目するとは言い難いのも理解できる話です。またBuzzFeed Newsは、米国でのTwitterの利用者数が約9%減少したと伝えています。

しかし、マスク氏は主任エンジニアの説明に納得がいかなかったようで、突然「お前はクビだ。クビ」とその場で解雇を言い渡したと伝えられています。

ただ、Twitterがツイートに添付するようになった再生数(閲覧数)の表示が根本的に間違っている可能性もゼロではないかもしれません。Washington PostのTaylor Lorenz氏は、フォロワー数がゼロのアカウントをツイート非公開に設定(つまり鍵垢)していくつかツイートしたところ、どういうわけか投稿から1分も経たないうちに数十回の閲覧数がついたと報告しています。

これが本当なら、ツイートの表示される閲覧数の数字は正しくはなく、場合によってはかなり異なる数字になっている可能性も考えられます(筆者が手もとの環境でフォローもフォロワーもゼロのアカウントを作り、ツイート非公開に設定してテスト投稿をしてみたところでは、投稿から数分後に確認しても閲覧数自分で表示した回数分だけ増加するのみで、Lorenz氏の主張する状況は再現できませんでした)。

Twitterがもともと非常に大規模なシステムであること、さらには昨年の大量解雇でサービスを支える部門の多くが担当チームごと消えてしまい、後任を言い渡されたエンジニアが状況の把握から始めるような状況が続いていることから、マスク氏の発案で全ツイートに対して表示されるようになった閲覧数自体が正しくないこと、あるいはフォロワー1億人を超えるマスク氏のアカウントに対して意図的でない不具合が発生している可能性もあるかもしれません。

Twitterではここ最近、メンションが行方不明になったり、アルゴリズムによる優先順位が変わったり、フォロー中のタイムラインにフォローしていないアカウントのツイートが紛れ込んだりと言った現象が報告されています。

2月9日の朝には、画面に「1日あたりのツイート送信制限」が表示され、Twitter全体で投稿もDMの送受信もできなくなる障害が発生しました。これは 「Twitterのレート制限を設定する社内サービスのデータを、従業員が誤って削除してしまったため」と伝えられています。本来そのサービスを担当していたチームは、昨年11月の大規模な人員削減で会社を去っていました。

サービスの維持や安定化など社内の意見よりも、思いつきや自分のフォロワーの提案などをもとにサービスに手を加えていくマスク氏のアプローチのため、従業員たちは要求される新機能の実装に奔走しつつ、方々で発生するトラブルへの対処を強いられている模様です。

ある従業員は、マスク氏から「長期的で説得力のある戦略」を聞かされたことはほとんどなく、解雇された人々が担当していた仕事に関して方々で発生するトラブルの火消しと、無茶な要求への対応、そして明確な指針もなく「効率を上げる」ことばかりが求められると述べています。

一方で、最近の変更が規制当局によってどのように評価されるかについても従業員は心配しています。Wiredによれば、Twitterは「10年間にわたり、4か月ごとの脆弱性テスト、毎年のプライバシーとセキュリティのリスク評価実施に加え、2年ごとの独立したセキュリティ監査を受けなければならない」とされており、今四半期にも米国連邦取引委員会(FTC)による監査がうわさされているとのこと。

FTCは昨年、マスク氏が買収してCEOに就任する前、Twitterが必要な協定の遵守を怠ったとして1.5億ドルの罰金を科しています。今回も監査で違反が見つかれば、再び罰金処分が下されることになるかもしれません。

ただ、もし収益化を進めるTwitterに再び罰金が言い渡されれば、世間はマスク氏のツイートに再び注目し、閲覧数も増えるかもしれません。

2月12日のツイートでは、マスク氏がツイートすることで内部サービスのひとつが過負荷を起こし「最大95%」のツイートが届いていなかった問題に対処したと説明

《Munenori Taniguchi》
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