米議会図書館が「文化的、歴史的あるいは審美的に重要」として、将来にわたって保存すべき録音資料であると認定した「全米録音資料登録簿」に、『スーパーマリオブラザーズ』のテーマ曲を登録したことを発表しました。
スーパーマリオのテーマは、任天堂公式には「地上BGM」と呼ばれ、1985年に家庭用のファミコン版および業務用の任天堂VS.システム版に初収録されたものです。今回の登録は、米議会図書館も「ビデオゲームのサウンドとして初」であることを強調しています。
今回の登録は、マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」やマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」、ジョン・レノンの「イマジン」等を含む25曲の1つとして。登録の基準としては「米国の文化を伝え、反映するもの」という条件もありますが、それに該当しないスーパーマリオは純粋に文化的、歴史的あるいは審美的に重要だと認められたことになります。
米議会図書館の公式アナウンスでは、作曲者である近藤浩治氏のプロフィールも誠実に紹介されています。「何十年にわたって作品が世界的に認知されながら、これほどあまり知られていない作曲者はいないでしょう」と贈られた言葉に、胸を熱くするゲーマーも少なくないはず。
他のアーティストと同様に近藤氏にもインタビューしており、「音楽とSEに使えるデータ量が極小だったので、その頃の音楽とプログラミングの技術をフル動員して、本当に革新的なことをしなければなりませんでした」とのこと。ゲームオーバー時に再挑戦を奮起させるジングルや、ゴール時のファンファーレ、タイムアップが近づくとテンポアップする曲が振り返られています。
スーパーマリオの地上BGMが今なお人々の耳に焼き付いているのは、数々のシリーズ作品でアレンジされているほか、テレビ番組や映画でも繰り返し再利用されてきた事情もあるのでしょう。全世界で大ヒット上映中の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』劇中の音楽にも、近藤氏は参加しています。
スーパーマリオに限らず、任天堂のゲーム音楽には創意と工夫が満ちあふれたものが少なくありません。いつの日か『ゼルダの伝説』や『どうぶつの森』、『スプラトゥーン』シリーズも全米録音資料登録簿に登録されるのかもしれません。