地球そっくりの惑星、実は宇宙にたくさん存在? 液体の水が豊富に形成されるしくみを解明

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Munenori Taniguchi

Munenori Taniguchi

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宇宙は広大ですが、そこに地球と同じような惑星がどれぐらいあるのだろうと考えたとき、そんな惑星の実例がひとつしかないため、統計的な考え方は適用できません。

太陽系以外に地球そっくりの水が豊富にある惑星を発見し、そのような惑星が形成されるメカニズムの解明や意味ある結論が導き出そうと日々研究を続けている科学者たちが数多くいます。そして、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者らは、水を豊富にたたえる系外惑星が、これまで考えられていたほどには珍しくないかもしれないとの研究結果をNatureに報告しました。

地球をユニークな存在にしている重要な要素のひとつは、生命が存在するために必要になる大量の液体の水が、表面に存在していることが挙げられます。これほど大量の水が地球に存在する理由については、彗星や隕石、宇宙塵に含まれる水が、原始の惑星に運ばれてきたとの説が有力とされています。しかし、このメカニズムは機能するには、特定の環境と、そこに偶然も重ならなければならず、そうなると地球のような惑星が生まれるのは極めてまれなケースということになります。

しかし、UCLAがカーネギー科学研究所とともに行った研究によるしくみなら、水が豊富にある惑星はこれまでほど珍しいものではない可能性…というよりも、これまで発見されていないだけで、宇宙でかなりありふれたものである可能性も考えられます。

最近の観測から、赤色矮星の周りにはスーパーアースと呼ばれる岩石質の惑星が頻繁に発見されるようになっています。ただ残念ながら、これらは潮汐ロック(地球と月のように常に同じ面を相手に向けている)が発生するほど赤色矮星に近い軌道を周回しているため、水や生命が存在する可能性は低いと考えられるものがほとんどです。UCLAのエド・ヤング教授が率いる研究チームはこの情報をもとにして、それほど恒星に近すぎず、さらに水素が豊富な大気とマグマの海を持つ若い惑星で、特定の化合物がどう反応して物質の変化を起こすかについて数学的モデルを作りました

チームは、大気中の水素が、溶けたマグマに溶け込んで、そこにある酸素と反応を起こし、水を形成する可能性があることを発見しました。このような条件は初期の岩石惑星ではよく見られると考えられており、惑星が初期から水素が豊富な大気を持っていれば、後に水を形成している可能性も高いと推定できます。そして、このしくみなら、いま地球上にある水は、ほとんどが自家製だった可能性を説明できます。

UCLAは今後、これまでに発見された太陽系外惑星の大気をより詳しく調べ、今回の研究のモデルを改良しようと考えています。ヤング教授は「歴史は、われわれが自らを知れば知るほど、この惑星がよりありふれたものである可能性が高いことを示している」「宇宙のなかの、われわれの立ち位置、視点を変えることで、今後の研究の進め方へのアプローチを変え、さらに地球を揺るがすような発見にたどり着けるかもしれない」と述べています。


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《Munenori Taniguchi》

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