アマゾンのオーディオブックおよび音声コンテンツ制作・配信サービスである Audibleは6月14日、都内で記者発表会を開催し、ビジネスの近況と今後配信予定のコンテンツについて説明しました。
2022年1月に、それまでのコイン制から聴き放題サービスにビジネスモデルを変更したAudibleですが、これにより会員数は大幅な増加傾向にあるとのこと。具体的な数字については未公開となっていますが、2022年1月と2023年5月を比較すると、会員数は67%増加したとしています。
聴き放題になる前はビジネス書や自己啓発本の利用が多かったのに対して、聴き放題になってからは文学やフィクションなどの小説の利用が多くなり、聴取時間も圧倒的に長くなっています。こちらも2022年1月と2023年5月を比較すると、月間聴取時間は260%増加しているとのことです。
そうした状況を背景に、Audibleは日本人向けの日本語オリジナルコンテンツにも力を入れており、具体的にはオーディオファースト作品にも積極的に取り組んでいます。
オーディオファースト作品とは、Audibleと出版社が提携し、オーディオブック先行での配信を前提とした作品。Audibleで配信したあとに書籍として出版します。
今年は小学館、幻冬舎、水鈴社、CORKから、吉本ばななや平野啓一郎、大沢在昌を含む人気作家のオリジナル計6作品の配信を予定しています。
また、2022年には村上春樹作品をAudibleで独占配信し話題となりましたが、今年も7作品の配信を予定しています。いずれも、映画や舞台で活躍している俳優陣による朗読パフォーマンスとなっています。
猫を棄てる 父親について語るとき 朗読:中居貴一(配信中)
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 朗読:向井理(配信中)
カンガルー日和 朗読:多部未華子
パン屋再襲撃 朗読:柳楽優弥
ノルウェイの森 (上)(下) 朗読:妻夫木聡
レキシントンの幽霊 朗読:門脇麦・滝藤賢一朗
女のいない男たち 朗読:市原隼人
日本の人気作家の作品としては、すでに3月に湊かなえさんのベストセラー『告白』が、映画にも出演していた橋本愛さんの朗読で配信されていますが、今年はさらに5作品の配信を予定します。
贖罪 朗読:小池栄子(配信中)
Nのために 朗読:榮倉奈々
境遇 朗読:松雪泰子
リバース 朗読:藤原竜也
未来 朗読:のん
このほか、新たな試みとして「聴くアニメ」をポッドキャストコンテンツとして配信します。第1弾として、トムス・エンタテインメントと提携し「LUPIN THE IIIRD」シリーズ3作品『次元大介の墓標』『血煙の石川五ェ門』『峰不二子の嘘』をAudibleで配信予定。声を担当するのは、もちろん現在のルパンシリーズの声優陣です。
ポッドキャスト作品としては、ほかにも配信中の『加藤浩次と山口一郎のとんぼとサカナ プロデュース by 佐久間宣行』『SAYONARAシティボーイズ』『ゆかいな知性』に加えて、日本のトップアスリートにインタビューを行う『Athletes’ Mind~アスリーツ・マインド~』、Moon Creative Labが運営する「VOOX」とのコラボレーションによる『知の探検「この人」と60分』が配信予定となっています。
海外発コンテンツの日本語化については、6月28日から『Marvel’s・ウェイストランダーズ:スターロード』を配信します。
ウェイストランダーズはアヴェンジャーズがスーパーヴィランのチーム サンダーボルツによって倒され荒廃した世界を舞台にしたマーベルオリジナルの音声コンテンツ。
オリジナルの英語版は2021年から配信されており、主人公を変えつつ全60エピソードを予定しています。
単なる書籍の朗読ではなく、オーディオブックを前提とした作品や聴くアニメなど、映像がない新しいコンテンツとしての可能性を探っているようでもあります。
まだまだメジャーとは言い切れない感があるオーディオブックですが、こうした施策により、より身近なものになっていくのかもしれません。