ポケモンGOの開発運営元 Niantic が、一部開発拠点の閉鎖と人員整理、一部ゲームのサービス終了・開発中止を公表しました。
今年1月に始まったばかりの『NBA All-World』はサービスを終了、テスト中だった『MARVEL World of Heroes』は開発を中止します。
開発プロジェクトの見直しに伴い、米国ロサンゼルスの開発拠点は閉鎖。グローバルで約230人を整理します。
理由は厳しいマクロ経済環境に対処し、現在のコアビジネスである自社ゲームおよびプラットフォーム、今後のMixed RealityデバイスやARグラスに向けた技術への投資を継続するため。
アップルを除く巨大テック企業のほとんどは直近で大規模なリストラを実施していますが、多くは新型コロナウイルスパンデミック期間中に大きく伸びた収益を根拠として積極的な拡大策を採った反動の側面があります。
ナイアンティックもパンデミック中には収益が大きく向上していたこと、現在はその前の水準に戻ったことを述べています。
ゲームでは稼ぎ頭であるポケモンGOを最優先に、ピクミン・ブルーム、自社IPの新作 Peridot 、そして9月にサービス開始を予定するモンスターハンター Now に集中します。
興味深いのは、ナイアンティックが今回の判断の背景として、モバイルゲーム市場の成熟と競争激化に加えて、「AR市場の拡大が予測より緩やかだった」を挙げている点。
予測ではどれくらいの規模でARが普及しているつもりだったのか、もう2.0.2.0.も過ぎたことだし、いい加減に街行く人の大半がゴーグルやメガネを掛けたサイバーミライが当たり前になると踏んでいたのかは定かではありませんが、Qualcommと共同開発している次世代ARメガネ仕様がまだリファレンスとしても世に出ていないのは確かです。
その理由は技術的課題と、経済環境により大手企業が投資を控えたことと述べています。(自社のARプラットフォームについても、開発者の求める機能を信頼性のある形で提供すべきだが、われわれ自身の高い水準に達していなかったと認めています)
それはそれとして、Meta Quest Pro やApple Vision Proのようなビデオパススルー方式のMixed Realityデバイスが脚光を浴びる状況については、将来的には真の(着けたまま外を出歩ける)シースルー方式のARグラスが新たなコンピューティングプラットフォームとなる予測の正しさを裏付けるものであると解釈。
MRグラスは過渡的な技術であって、自社のプラットフォームでは開発者がMRグラス向けアプリケーションを作るサポートも提供するものの、最終的にはARグラスが主流となると予測し、(屋外)ARマップやARプラットフォーム、特に開発者のマネタイズを助けるエコシステムの確立に引き続き投資を続けるとしています。