(Zenbook 17 Fold OLED/ASUS)
アップルがフォルダブルMacBookあるいはiPadの開発に取り組んでいることは、数年前からうわさが続いてきました。
あくまで未確認ではあるものの、アップルは自ら「折りたたみ」関連特許を複数出願および取得しており、また韓国のサプライチェーン情報筋が「20インチ台前半のフォルダブル開発プロジェクトに突入」と伝えたこともあります。
こうした流れのなか、有機ELパネル製造大手サムスンの幹部が、折りたたみ有機ELディスプレイ市場が成功するにはアップルの参入が必須と発言し、品質向上に向けた同社の取り組みについて説明しました。
これは韓国情報ディスプレイ学会が主催するイベント「SID Review Workshop」に、サムスングループ傘下のサムスンディスプレイ幹部が登壇した際の発言です。
講演はノートPCに焦点を当てた内容。現在のノートPCは二つ折りの上半分がディスプレイ、下はキーボードと本体部分になっていますが、上下ともに画面の「フルディスプレイ」フォルダブル製品に関心を持つ企業は多いと述べたうえで、分野の成功には参入が不可欠としてアップルの名を挙げています。
サムスンは世界的なサプライヤとしてアップルにさまざまなディスプレイを提供してきましたが、もし仮にいまフォルダブルMacBook あるいは iPad用ディスプレイを製造していたとしても、守秘義務により契約にも具体的な製品にも言及することはできません。
しかし今回の発言に先立って、サムスンが折りたたみMacBook向け有機ELパネル製造の準備を進めているとの報道が相次いでいます。
たとえば韓国のメディアBusinessKoreaは今月はじめ、アップルは画面が折りたたみできるMacBookの発売に向けてサプライヤー(サムスンディスプレイとLGディスプレイ)と交渉中であり、早ければ2026年には発売する見込みであると伝えていました。
かたやサムスン側でも、モバイル事業部が関連サプライヤーとの会議でアップルに言及し、同社が「2024年に折りたたみ市場に参入するが、スマートフォン(フォルダブルiPhone)ではなく、まずノートPCとタブレットだ」と告げたとの報道がありました。このうち「タブレット」つまり折りたたみiPadについては、Apple製品に詳しい著名アナリストが2024年発売だと主張しています。
なぜサムスンが折りたたみノートPC向けディスプレイに乗り気かといえば、BusinessKoreaは「より大きなサイズの方が収益性が高くなる傾向がある」「ノートPC用の折りたたみディスプレイは、スマートフォン向けよりも収益性が高い」からだと説明しています。
さて今回のサムスン幹部の発言に戻ると、サムスンは折りたたみディスプレイの開発にあたり壊れやすさやシワ、柔軟性と薄さの両立、ペンの筆圧に対する頑丈さ等を追求しているとスライドで説明しています。
これらがアップルの基準を満たす域に達すれば、折り曲げに強く、圧迫されても壊れにくく、筆圧の高いユーザーがペンで書き殴っても破損する恐れが少ないフォルダブルMacBookまたはiPadができるはず。
今のところ折りたたみ式有機EL搭載ノートPCのなかで筆頭の1つは、ASUSのZenbook 17 Fold OLEDでしょう。それが65万円近くなっていることを考えると、折りたたみMacBookの価格は凄まじくなりそうですが、続報を待ちたいところです。