日本では2月14日に発売される「Galaxy S25」と「Galaxy S25 Ultra」。カメラ画質や進化したGalaxy AI、Geminiなどを使ったレビューは、各種メディアで取り上げられるようになりました。
筆者も先行して使っていますが、その性能の高さには満足しています。一方で、細かすぎるのかあまり伝わっていない新要素もあり、そこには少々戸惑いも感じました。Galaxyに搭載される「One UI 7」が、その原因です。
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▲Galaxy S25 Ultraの細かすぎて伝ってないかもしれないOne UI 7の新機能をチェック
ご存じのとおり、Androidはメーカーがホームアプリやユーザーインターフェイスにカスタマイズを加えています。OSの開発元であるグーグルですら、Pixel用のUIを用意しているほど。サムスンもその例にもれず、Galaxyシリーズには「One UI」を搭載しています。Galaxy S25シリーズから、そのバージョンが“7”に上がりました。
Galaxy AIもOne UIの一部なので、そちらがフィーチャーされることは多いのですが、実はUIそのもの結構変わっています。例えば通知とその上に表示されていたクイック設定。One UI 7では、左半分をドラッグすると通知、右半分でクイック設定という形に操作方法が変わっています。ザックリ言えばiPhone風。Androidではシャオミなどもこれを採用しています。
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▲通知とクイック設定のデザインが激変。スワイプする位置に応じて表示される項目が変わった
そのため、クイック設定を出そうと思って通知をさらに引っ張ると、One UI 7では何も起こりません。グインと通知が跳ね返るだけです(笑)。ここで左方向にフリックすると、クイック設定が現れます。少なくとも今までGalaxyではやったことがない操作なので、既存のGalaxyユーザーはここに引っかかりを覚えるような気がします。
筆者も、いまだに慣れません。設定で旧スタイルに戻せるので、同じように感じる人はそちらの方がいいかも。通知のデザインは、何となく丸っこくなりました。
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▲通知の画面を左に引っ張っていくと、クイック設定が表示される
デザイン面ではホームアプリの設定が増え、アイコンのサイズを変更したり、アプリのラベル(名称)を非表示にしたりといった設定ができるようになりました。Galaxy S25 Ultraを使った際に、ちょっと普段使いのGalaxyよりアイコンが大きいな……と思いましたが、ここで小さくすることが可能。ホーム画面に文字が入ってゴチャゴチャするのが嫌な時には、ラベルを非表示にするとスッキリします。アプリによってはアイコンで識別するのが難しいこともあるので、設定するなら慣れてきてからのほうがいいでしょう。
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▲アプリのラベルを非表示にすると、ホーム画面がスッキリ
大きな変更点として、サイドボタンの長押しがあります。Galaxy S25シリーズでは、デフォルトでグーグルのGeminiが設定されています。これまでは電源を切ったり、再起動するメニューでしたが、ここにAIが割り当てられた格好。そのため、長押ししてGeminiに「〇〇〇を調べて、〇〇〇さんにメッセージを送って」という操作が簡単にできます。
そんなにGeminiは使わないという人は、設定で従来通りのメニューに戻すことも可能。サムスン独自のAIアシスタントである「Bixby」も設定できます……が、あえてこれを選ぶメリットはないでしょう。サイドボタンのダブルクリックには、従来通りカメラの起動が割り当てられていますが、これも設定で特定のアプリに変更できます。この点は、従来バージョンのOne UIと同じです。
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▲サイドボタンの長押しに、Geminiが割り当てられている
戸惑ったという点では、サウンドが刷新されているところも挙げておきたいポイント。これをOne UI 7に含めていいのかどうかはちょっと微妙ですが、着信音や通知音がベースの音を残しつつ大きく変わっています。着信音は、基本的なメロディは同じですが、アレンジが効いてよりシャキッとした印象に。「ピポパピッポ」というサムスンお馴染みの通知音「Spaceline」は、「Brightline」に変更され、機械っぽさが薄れました。言葉で表現するのがちょっと難しいのですが、より自然なサウンドになったイメージです。
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▲着信音の名称はそのままだが、通知音はSpacelineからBrightlineに変わった
戸惑い半分、便利にもなったOne UI 7ですが、特にGalaxy AI絡みの機能はやれることが増えただけでなく、既存のものより使いやすくなった印象を受けます。Geminiのアプリ連携や「AIセレクト」などは、発表時にも多数言及があったので割愛しますが、個人的にアリだなと思ったのは「入力アシスト」が独立したこと。
元々はSamsungキーボードで呼び出せた機能ですが、ほかのキーボードでも使えるようになっています。例えば、文章を選択した際に星が重なったAIボタンがメニューに表示されるので、これをタップすると、入力アシストが起動。そのまま選択した範囲のトーンを変えたり、長めのときには要約したりといったことができます。
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▲Samsungキーボード以外からも、入力アシストを呼び出せる
文章作成をしたいときには、メールなどの入力欄に1文字だけ入力し、それを選択したあとAIボタンを押すと、入力アシストが立ち上がります。あとは、AIに指示を出すだけで、ちょっと長めの文章もサクサク書いてくれます。Galaxyを使っているものの、文字入力はグーグルのG Boardという人も多いはず。このような時でも、入力アシストを呼び出しやすくなりました。
イラストを生成するスケッチアシストも、サイドパネルの中から簡単に呼び出せるようになりました。これまではギャラリーからだったり、Samsung Notesからだったりと呼び出し方がさまざまでしたが、One UI 7からは、「絵を描こう」と思ったらスケッチアシストを起動すればよくなったというわけです。このアプリからは、線画や写真などを選択でき、それぞれをベースにしたイラストを描くことができます。
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▲イラスト生成機能もアプリとして独立し、イラストを描きやすくなった
スマホのAI関連で筆者が最も使うと言っても過言ではない録音の文字起こしも進化しており、言語の自動識別に対応しました。文字起こしのプロセスが楽になった格好です。肝心の文字起こしの精度はちょっと上がった……と言いたいところですが、Galaxy Z Fold6との比較では五十歩百歩。あえて録音環境があまりよくない囲み取材のデータで試してみましたが、「石野さん」が「西野カナ」になっているなど、おもしろ変換を連発していました。結果がやや読みやすくなっている部分はあるものの、精度向上は課題と言えます。
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▲文字起こしは言語の自動判別に対応
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▲文字起こしの精度は改善の余地あり。「石野さん」が「西野カナ」に、「キャリア」が「キャビア」に…
なお、One UI 7とは直接的な関係はありませんが、文字起こしの速度は高速化しています。17分程度のファイルで比べてみたところ、Galaxy S25 Ultraの方が10%ほど進行が速かったです。これはSnapdragon 8 Eliteのお陰でしょうか。ただ、リアルタイムに結果を見られないのが残念なところ。この辺は、Pixelにリードを許しています。文字起こしの精度は言語モデルや機能は言語モデルやアプリのアップデートでも解決できるため、今後の進化に期待しています。