仕事場に荷物が届いた。
中に入っていたのはベルキンの「BOOST↑CHARGE PRO MagSafe 2-in-1磁気ワイヤレス充電スタンド」だった。
うん、名前が長い。
この製品、結構な人がすでに目にしたことがあるはずのものだ。6月に開催されたアップルの開発者会議「WWDC 2023」の基調講演で、iOS 17の新機能を解説するために使われていたからだ。
(編集部注:キーノートで使われたのはTwelve SouthのForteという情報提供がありました)
iOS 17に搭載される「スタンバイモード」で使うと便利、という流れである。
ちょうどiOS 17のパブリックベータ公開が始まっている。せっかくなのでどう動くのか、このスタンドのレビューを兼ねてご紹介しよう。
なお、iOS 17の正式公開は秋であり、パブリックベータ版には不具合などが含まれている可能性がある。また、動かない・不具合の出るアプリが存在している可能性も高い。そのため、技術検証など明確な目的がない限り、インストールはお勧めしない。
また、本記事での画面写真は、報道での利用を目的に許可を得て制作、公開している。
iPhoneとAirPodsを同時にワイヤレス充電
BOOST↑CHARGE PROは、簡単に言えば「MagSafeの充電スタンド」だ。
iPhoneにおけるMagSafeは2020年秋発売の「iPhone 12」シリーズ以降で採用されていて、Qi規格によるワイヤレス充電にマグネットでの吸着、NFCでのデバイス認識をセットにした技術だ。
とはいえ、NFC連携はアップル純正のケースなどでの利用が中心であり、基本的には「磁石でくっついて充電するもの」と考えればいい。
BOOST↑CHARGE PROはワイヤレスでiPhoneに対し15Wの充電が可能で、さらに、台座部分にQi規格のワイヤレス充電機能をもう1つ搭載している。上下にQiがあるわけで、iPhoneやAirPods以外をくっ付ければ充電はできるのだが、一応想定としては、上のMagSafe対応部分にiPhone、下の台座にAirPodsを置くということになっている。
電源は専用のもので、USB PDなどからの給電ではない。この辺はぶっちゃけ自分の好みとは違う。一方、ケーブルからスタンドまでの非常にすっきりとした設計なので、場所を決めて使うならこれで問題はなかろう。
iOS 17の「スタンバイ」と連動
というわけで、スタンドとしては非常にシンプルなものなので、そんなに語ることはない。
ただ重要なのは、MagSafeでの充電なので「iPhoneを90度回転させられる」ということだ。
iOS 17の「スタンバイ」ではここが重要だ。
スタンバイは、MagSafeで充電をしている場合に有効。90度倒すとスタンバイモードに入り、画面が「時計」になる。ケーブルでの充電では効かない。
時計には数種類あって、フォトスタンド的に使う時にはFace IDで認証したりもする。
また、Siriの回答やアプリの通知も大画面化するので、離れたところからでも見やすい。
そんなに複雑な機能ではない。普段からスマホをベッドサイドなどで充電していて、目覚まし時計がわりにしている人は多いだろう。そんなとき、これまでは「縦画面」で見ていたわけだが、横画面でより時計的になるので、かなり使いやすくなる。
BOOST↑CHARGE PROがデモに使われたのも、シンプルなデザインでベッドサイドなどに向き、さらに「90度回転させても似合う」からだろうと思う。
センサー活用で細かな配慮を
スタンバイモードは結構芸が細かい。
iPhoneの照度センサーや近接センサーをうまく使っているのだ。
就寝時間になって電気を消すと、時計の表示は「赤」になる。暗闇でも目を刺激しづらいからだ。
さらに「睡眠」モードに入っている場合、画面表示は消える。ずっと表示されないわけではなく、時計を確認しようと近づいていくと、その時だけ画面が表示されるのだ。
以下の動画を見てもらえばわかるが、画面の端でなにかがチカチカ光っている。これはiPhoneの近接センサーの光だ。人間の目には見えないのだが、イメージセンサーは捉えられるので動画には写っている。
けっこう便利なものなので、iOS 17の正式公開に合わせ、注目されていくだろうと思う。BOOST↑CHARGE PROのレビューではあるが、実際にはBOOST↑CHARGE PROでなくても使える。だからこの秋は、新iPhoneのケースやフィルムだけでなく、MagSafeの充電スタンドが盛り上がりそうな気がしている。