アップルは9月13日午前2時(日本時間)に「Wonderlust.」イベントを開催し、その場で「iPhone 15」シリーズや「Apple Watch Series 9」および第2世代Apple Watch Ultraを発表すると見られています。
このうち新型Apple Watchについては、各種の搭載センサーが改良されつつ、UWB(超広帯域無線)チップが第2世代の「U2」に変更されると著名ジャーナリストが主張しています。
今年の新型Apple Watchは、新種の健康関連センサーは追加されない見通しです。まず血糖値センサーは小型化が進んではいるものの、スマートウォッチのサイズに収めるには「少なくとも、あと3~7年は掛かる」と報じられていました。
また血圧測定センサーも、今年初めにThe Wall Street Journalが実用化までの道のりが険しい事情を伝えていました。
アップルの社内事情に詳しいBloombergのMark Gurman記者は、「Wonderlust.」イベントで登場する新製品の予想を総括しています。そのなかで、Apple Watch Series 9と第2世代Apple Watch Ultraのセンサーが全般的に「スピード、効率性、正確性に重きを置く」方向でアップデートすると述べています。
その1つが、新型の光学式心拍センサー搭載とのこと。2020年発売のApple Watch Series 6からSeries 8までは第3世代センサーを採用し続けていたため、3年ぶりの更新となります。
もう1つがUWB対応チップ「U2」の搭載。先代のU1チップは、2019年発売のiPhone 11に初搭載されたため、実に4年越しのアップデートです。
UWBとは、近くにあるデバイスの位置を精密に検出できるワイヤレス通信技術のこと。主にアップル製品では「探す」アプリでAirTagやAirPods Pro充電ケース(第2世代以降)の場所を数センチ単位で認識したり、「iPhoneを他のiPhoneに向ける」によりAirDropの送り先を選んだりすることを可能としています。
ちなみにこのU2チップは、iPhone 15シリーズ全モデルにも搭載されるとのこと。アップル製品同士での位置検出がさらに素早く、正確になるのかもしれません。
また、第2世代Apple Watch Ultraにはオールブラック版も用意されるそうです。初代はボディ素材のチタンそのままのグレー1色でしたが、iPhone 15 Proモデルのボディもチタン製と噂されるため、同じような色となる可能性もあるでしょう。
ほか、数か月前Gurman氏は、Apple Watch Series 9および第2世代Apple Watchに搭載される新型SoC「S9」が、3年ぶりに全面更新されると語っていました。
読者向けのDiscordチャンネルで、同氏はS9が先代チップのリブランド(基本部分は同じのまま、名前を変えるだけ)ではなく「新しいプロセッサになる」と発言。そのチップはiPhone 13に搭載されたA15チップがベースになるのかと訊かれて「そうなると思う」と答えていた次第です。
Apple Watch Series 6搭載の「S6」からSeries 8の「S8」まではCPU部分がすべて同じだと判明しています。なおSoCは複数の半導体を1つにまとめたものであり、CPUが同じでも内蔵コントローラ等が変更されていれば、全く同一とはいえません。
ともあれS6~S8までのCPUコアは、iPhone 11シリーズのA13 Bionicをベースにした7nmチップだと分析されていました。それに対してA15は5nmチップであり、プロセスルール(回路線幅)の微細化により処理速度やバッテリー持ちの向上に期待できそうです。
もっとも、10周年記念モデル(2024年~2025年発売)の「Apple Watch X」はデザインが全面刷新されるとの噂もあります。
また、画面が有機ELからマイクロLEDに移行した新型Apple Watchもそれと近い時期に発売だとサプライチェーンやディスプレイ専門アナリストも予想しています。
まとめると、今年のApple Watch Series 9と第2世代Apple Watch Ultraはディスプレイやデザインに関してはマイナーチェンジに留まる見通しです。もしも待てるなら、大幅な刷新が予測されている1~2年後のモデルまで様子見するのも手かもしれません。