全米脚本家組合(WGA)は、生成AI使用の規制や動画ストリーミングからの報酬などに関し、約5か月に及んでいるストライキの終了に向け、大手スタジオとの間で暫定的な合意に達したと発表しました。
この合意形成は、WGAと映画およびテレビプロデューサー連盟(Alliance of Motion Picture and Television Producers:AMPTP)との間で、先週半ばから週末にかけて数夜の交渉を通じて行われました。
これにより、ハリウッドの脚本家ストライキは、次のステップとしてWGA交渉委員会が「合意を推奨し、それを西部全米脚本家組合(WGAW)理事会と東部全米脚本家組合(WGAE)評議会に、承認のために送るかどうか」を決める投票を火曜日に行う予定です。
また、別の投票により、該当する理事会と評議会がストライキの「制約命令」を解除すれば、脚本家たちが執筆活動に戻れるようになる可能性があります。もちろん投票が終わるまではストライキは継続しますが、ピケと呼ばれる「スト破り」監視員の配置はこれで終了するとのことです。
WGAは5月上旬、より良いストリーミングのロイヤルティや、脚本家らが顔を合わせて脚本を書き、推敲する場である「ライターズルーム」の保存、AIの使用に関する保護を含めるよう求めたものの、AMPTPはこれに反対しました。その結果、脚本家とAMPTPの間の交渉は決裂し、ストライキを宣言するに至りました。
ようやく、近い将来に脚本家が仕事に戻るメドがついたと言える状況となったため、今後はWGAが合意承認作業に進む一方で、映画俳優組合-米国テレビ・ラジオ芸能人組合(SAG-AFTRA)とAMPTPの交渉再開に注目が集まることになりそうです。
SAG-AFTRAは、SAG-AFTRAはエンターテインメント業界約16万人のメンバーを抱える労働組合で、7月からのストライキがいまだ継続中。このストライキが解消されるまでは、ハリウッドの制作活動は停滞し続けるはずです。ちなみにSAG-AFTRAは、WGAが取引に関して暫定合意に達した後、すぐにそれを祝うコメントを出し「われわれは会員にとって必要な条件を達成することに引き続き尽力する」と述べています。
なお、このストライキによって、Netflixは約15億ドルの追加のフリーキャッシュフローを見込み、ワーナー・ブラザーズ、 Discoveryなどのスタジオは決算報告で2023年の利益予測を約3億~5億ドル引き下げています。