透明スマホ Nothing Phone のメーカー英Nothing Technologyが、AppleのiMessageでiPhoneと同じ「青い吹き出し」でやりとりできるアプリ Nothing Chatsを発表しました。
米国、カナダ、英国、EU向けには11月17日より配信します。
iPhoneやAppleデバイスの標準アプリ「メッセージ」では、Appleデバイスどうしのやりとりは独自の iMessage の仕組みを使い青い吹き出しで、Androidなど他のデバイスとのやりとりは業界標準規格の SMS/MMS を使い緑の吹き出しで表示される仕様です。
iMessageには、大きなサイズの写真や動画をそのまま送れる、入力中の表示やオプションで既読表示もできる、独自のスタンプ等が送れる、エンドツーエンドで暗号化できるといった機能があります。
一方、SMS / MMS は標準規格ながら策定が古く、キャリアとの契約によるものの一通ごとに料金が必要だったり、送受信できる最大ファイルサイズが小さく写真等が圧縮される、iPhoneから送られた写真や動画が開けない場合があるなど、様々な制約があります。
日本ではLINEやInstagramなどSNSでのメッセージのやりとりが多いためか、さほど問題になっているという話を聞きませんが、メッセージアプリが多く使われる米国などでは、グループにAndroidユーザーがいると全員が緑の吹き出しになり機能が制限される現象などから、いわゆるグリーンバブル問題と呼ばれることもあります。
iMessageとSMS/MMSとでは機能差が生まれるため、吹き出しの色で表示を分ける意味はあります。しかし Appleデバイスどうしならば使える機能が Android等とのあいだで使えない理由には、AppleがiMessageで他社に先駆けて高度なメッセージ機能を普及させた事実に加えて、後追いで導入が進められた SMS / MMS後継規格であるRCSをサポートしていない点にもあります。
このため、Googleは度々Appleに対してRCSのサポートを呼び掛けていますが、いまだに実現はしていません。
この問題を解消するため、Nothingsは米スタートアップのSunbirdと提携。Nothings Chatsを使えば、Android上からのメッセージの送信であっても、iMessage上で青い吹き出しで表示されます。
iMessageと同じように入力中表示も相手に送られるほか、非圧縮メディアの共有も可能です。まだ既読表示は行えませんが、将来的に対応予定としています。
メッセージはすべてエンドツーエンドで暗号化されており、ユーザーが送受信したメッセージにはNothingやSunbirdはアクセスできないとのこと。ただし利用するにはApple IDが必要で、ユーザーのiCloud資格情報は一定期間Sunbirdの暗号化されたデータベースに保持されます。
簡単に言ってしまうと、どこかにあるMacにApple ID(iCloud資格情報)でログインし、それを経由してメッセージを送受信する仕組みと考えられます(Mac Miniが使われているようです)。セキュリティの観点から、Appleがなんらかの対策をしてきそうではあります。
ただ、NothingのCEO カール・ペイ氏は動画の中で「ティム・クックCEOが見てくれる前提でこの動画を収録している」「Nothingの目標は、代わり映えせず退屈になってしまったテクノロジー業界を再び面白くすること。(iMessageのような)囲い込みが増えるほどそれは難しくなる」「この動画でそうした現状を変えられるか、Nothing Chatsですべてオープンにできるか?といえばノーだが、こうして会話を始めることが重要だと考えている」と述べています。