一般販売が始まったVITURE Oneの周辺機器ガイドをお伝えします。
『VITURE One XRグラス』は、大画面が空中に浮かんで見えるサングラス型ディスプレイのひとつ。 XREAL Air や Rokid Max等とまとめて「ARグラス」とも呼ばれる種類の製品です。
VITURE Japan公式ストアでは2023年11月29日23時59分までの期間限定で、XRグラス本体が5000円オフの6万9800円などローンチキャンペーンを実施しています。
サングラス型のディスプレイ本体である『VITURE One XRグラス』は単体でも、対応AndroidスマートフォンやPC、Mac、iPad、iPhone 15以降など多くのデバイスとUSB-Cケーブル一本で接続して使えます (DP Alt Mode対応機種)。
VITURE Oneの魅力のひとつは、XRグラス本体だけでなく、動画配信アプリやゲームが動く首掛けAndroid端末『VITURE One ネックバンド』、Nintendo SwitchやSteam Deck、HDMI出力のゲーム機等と接続する大容量バッテリー『VITURE One モバイルドック』など、様々なアクセサリと組み合わせて使えること。
本体のほかに何が必要なのか、あると便利なのか、使い方にあわせてアクセサリを紹介します。
VITURE One XRグラス単体
まずは軽くメガネ本体の基本から。レンズ裏側には斜めのハーフミラーがあり、フレーム上部のマイクロ有機ELディスプレイからの映像を反射させて、前からの現実の光と重ねて表示する仕組みです。
前から見えるサングラスのレンズに映像が表示されるわけではなく、裏側に厚みのある光学系が隠れているため、構造的にやや顔から浮いた感じになること、映像を消しても視界が良好ではなく、外出時のサングラスとしての常用にあまり向かないのは、他社のARグラスと変わりません。
空中に浮かぶ画面の見た目の大きさを示す視野角は、競合と同じ程度の43度。公称の「(3m先に)120インチ相当の大画面!」 は圧倒的な迫力に聞こえますが、Meta Quest などVRヘッドセットのように視界を覆うことはなく、日常的に分かりやすい例えでは「1.5m先にある40~50インチ前後のテレビ」程度です。
焦点距離としては3mほど先にあるように見えるため、手元の実体ディスプレイと併用するにはやや難があります。眼の前のノートやPCモニタと、部屋の向こう側にあるテレビを交互に見る感覚です。
解像度は1920 x 1080フルHD、リフレッシュレートは60Hzまで。0.0Dから-5.0Dまでの度数調整に対応し、一定範囲の近視ならば別売りの度付きインサートレンズ不要でくっきり見えること、電子調光フィルムで2段階に外側レンズの濃さを変えられる点が特徴。詳しくは本体レビューをどうぞ。
メガネだけで接続できるのは、USB-C経由で映像出力(DP Alt Mode)に対応したデバイス。多くのAndroidスマートフォンやPC、Mac、USB-CのiPadやiPhone 15以降が該当します。
メガネ本体はバッテリーを内蔵しませんが、直結する場合は接続した端末から給電するため、別途電源やバッテリーは不要です。
iPhone 14までやHDMI端末は『HDMI XRアダプター』
一方、Google Pixel など、USB-C端子があってもDP Alt Mode映像出力に対応しないスマホとは直結できません。
一部のPCやゲーム機など、HDMI出力しかない機器もそのままでは接続できませんが、HDMI機器および iPhoneなどLightning端子の機器はアクセサリの『HDMI XRアダプター』を経由すると利用可能です。
これはHDMI端子をUSB-Cに変換する端子と、充電・給電用端子、内蔵バッテリーを備えたアダプター。iPhone 14までや古いiPadなどの場合、まずLightning端子をHDMI出力に変換する、Apple純正のDigital AVアダプターも必要になります。
シンプルにHDMIをUSB-Cに変換するだけではない理由は、USB-Cで直結できる端末なら映像の信号と、メガネを動かす電力を一本で送れるのに対して、HDMI端子では映像を送れても給電はできないため、別途給電する仕組みが必要だから。
HDMI XRアダプターは約2.8時間分のバッテリーを内蔵するほか、充電・給電用端子もあるため、据え置きゲーム機と接続するときなど、電源があればバッテリーを気にせず利用できます。
VITURE Japan公式ストアでは、ローンチキャンペーン価格1万2800円。通常では1万3580円。
『VITURE One モバイルドック』は大容量バッテリーと出力2端子、Switchに最適
『VITURE One モバイルドック』は多機能アダプタに大容量のバッテリーを一体化したユニークな周辺機器。HDMI端子ひとつ、外部機器接続用のUSB-C端子、XRグラス用のUSB-C端子 x2を備えます。
ゲーム機などHDMI映像出力の機器と接続できること、給電機能は『HDMI XRアダプター』と同じですが、
13000mAhの大容量バッテリーを一体化。映像入力・給電兼用USB-C端子も搭載。Nintendo SwitchやSteam Deck、ROG Allyなどに給電しつつXRグラスが使え、駆動時間を延長できる
出力用のUSB-C端子を2つ搭載。XRグラス2台を接続して一緒にゲームしたり、片方は外部ディスプレイに接続して他の人にも見せるなど
モバイルバッテリーとしても使える。PD 2.0、20W出力
別売りのカバーで、Nintendo Switchと一体化して固定可能
ニンテンドースイッチはUSB-C端子から映像出力に対応するものの、同時に給電された状態、つまり純正のドックに乗っていると思わせないと絵を出してくれない仕様。このため、VITURE OneなどXRグラスを直結しても使えません。
『VITURE One モバイルドック』がいわゆるドックの形状ではないのにこの名前なのは、Nintendo Switchを騙して、外部電源のないモバイル環境でもドックに乗った状態と認識させるため。
何故かUSB-C映像出力が二つあるのも、開発者がXRグラスでSwitchを遊びたい一心で、対戦にも対応させたかったことから。
給電しながら映像を受ける仕様はSwitchに最適ですが、Steam DeckやROG Allyなどの機器でも駆動時間を伸ばしつつXRグラスが使用可能なのは便利です。HDMI入力端子も備えるため、HDMI機器と接続するアダプタとしても利用できます。
大容量バッテリーを搭載するだけに『HDMI XRアダプター』より大きく、361gとそれなりの重さはあるものの、機能としてはこちらが上位互換です。
ローンチキャンペーン価格は2万800円、通常では2万1800円。
ユニークすぎる『VITURE Oneネックバンド』はAndroidアプリ対応、無線で映像入力も
VITURE Oneでもっともユニークなのがこの『VITURE One ネックバンド』。首掛けファンのようなU字型にAndroid 11ベースのOSを搭載して、単体で動画配信アプリやクラウドゲーミングなどが楽しめます。
VITURE One などのARグラス、あるいはメガネ型ディスプレイは便利ですが、外部機器にいちいち接続するのは面倒で、顔からポケットやデスク、手に持ったデバイスにケーブルが伸びるのも邪魔です。
しかしメガネ単体でスマホ的な機能をもたせたり、外部機器とワイヤレス接続するにはバッテリー、プロセッサ、アンテナ等々が必要になり、排熱の問題も難しく、サングラスというより大型のゴーグル的なサイズで高コストになってしまいます。
といった問題に対してVITUREの開発者たちが思いつき、うっかり実現してしまったのが『VITURE Oneネックバンド』。メガネに収まらないなら首掛けにして、最短距離で接続すればケーブルも邪魔にならずハンズフリーで使え、外部のスマホやPCがなくても動画やアプリが楽しめるという発想です。
中身はAndroid 11ベースの独自。Googleの認定を受けた『Android TV』ではありませんが、ネックバンドで動くAndroid TV向けアプリを独自の「ストア」セクションからインストールできます。
YouTubeやNetflixといったアプリのほか、非純正のPlayStationリモートプレイアプリ PSPlay、Xboxリモートプレイアプリ XBXPlayが無料で利用でき、PS4 / PS5 / Xbox Series X|SとWiFi接続してゲームを遊ぶこともできます。
中身はAndroidでWi-Fi 5 / Bluetooth 5.0に対応するため、ゲームコントローラやキーボード、マウスやリモコン等を接続できるほか、Miracast / DLNAワイヤレス接続も利用可能。対応AndroidスマートフォンやWindows PCの画面を無線で飛ばして映せます。
ネックバンドは「メガネ型ディスプレイ用の首掛けAndroid端末」という新しいジャンルなだけに、色々と課題もありますが、スマホやPCにつながれることなく動画アプリやネットが使え、ワイヤレスアダプタにもなるのは確実に便利。
課題を挙げれば、
元が据え置きスマートテレビ向けOSのカスタマイズなので、アプリはAndroid TV向けかつVITUREが対応を確認した一部のみ。映画のダウンロード視聴など、モバイル版アプリでは使える機能がない場合も
ハンズフリーを実現したものの、操作にはやはり手が必要なので、首元に手を伸ばしてネックバンドのボタンを押したり、頭の動きでカーソルを動かすなど操作系の洗練はまだまだ。
(ただし純正スマホアプリでネックバンドリモコンを用意。Bluetooth接続で手元タッチ操作は可能。市販のBluetoothリモコンやエアマウス的なデバイスを接続して操作もできる)首掛けのため軽さとフォームファクタに制限があったためか、2GB RAMでやや非力なプロセッサ。動作は据え置きテレビやスマホほどサクサクではない。バッテリーも動画で3時間・ストリーミングゲーム2時間程度。
(ストリーミング端末想定なので、重いアプリを動かすことが原則ないとはいえ)非力なのにしっかりファンあり。さほど大きな騒音ではないものの、静かな環境では首元でシューっと鳴り続けてコンテンツへの集中を削ぐこと甚だしい。静音モードでやや改善するか、イヤホン併用が推奨。
新しいカテゴリだけに発展途上の点、意外な使いづらさも多々ありますが、動画配信アプリの視聴やストリーミングゲーム、スマホやPCからのワイヤレスディスプレイ接続という本来用途ではおおむね額面通りに使えます。
VITURE Japan公式ストアでは、ネックバンド単体が11月29日中までのローンチキャンペーン価格2万5800円、通常では2万7400円。
グラス本体とネックバンドをあわせた「VITURE One Cloudセット」は期間限定で9万5600円、通常価格10万2280円。
スマホの次に来る未来デバイスの完成形がいきなり使える!と期待するよりも、「首掛けAndroidデバイス」という無謀に野心的な代物で得られる新しい体験や発見を楽しむつもりならば実に面白い製品です。
VITURE以外でも使えて便利な『USB-C to XRグラス 充電アダプタ』
『USB-C to XRグラス充電アダプター』は、XRグラスとスマホなど接続機器のあいだに給電用のUSB-C端子をひとつ増やすアダプタ。
DP Alt Mode対応スマホやPCは、XRグラスとUSB-Cケーブル一本で接続して使えますが、メガネ側にも給電するためバッテリーが減りやすく、特に充電端子がひとつのUSB-C端子しかないデバイスでは電源に接続しながら使えません。
特に Steam Deck や ROG Ally など、外部機器を接続して高性能モードで使うとすぐバッテリーが切れる端末で困る点です。
この充電アダプタがあれば、市販のUSB電源アダプタやモバイルバッテリーを併用することで、接続機器のバッテリーを心配せずに利用できます。こちらは6880円。
番外。Galaxy SやGalaxy Z Foldシリーズなど『DeX』対応機器がベストマッチ
VITURE One XRグラスに限らず、XREALなども含めたサングラス型ディスプレイ全般にいえることですが、外部ディスプレイ対応が充実していないスマートフォンの場合、「ミラーリング」になり思ったほど便利ではない場合もあります。
たとえばVITURE One XRグラスは1920 x 1080の一般的な横長ワイド画面サイズですが、スマホを接続すると、この横長の枠のなかに細い柱のようにスマホのホーム画面が表示されることになります。
画面を回転させれば良いものの、横に対応するアプリばかりとは限らず、16:9では上下に余白が出ることも。
動画などを全画面出力する際には、VITURE One XRグラスの横画面を最大限に利用できますが、ブラウザ等のアプリの場合は画面そのままミラーリングになるため、指でタッチすることを前提にしたインターフェースで、PCのフルHD環境のようには使えません。
Galaxy SやZ Foldが対応する『Samsung DeX』は、もともとは外部ディスプレイに接続してスマホをPCライクに使うための機能。
16:9フルHDのサングラス型ディスプレイの画面をフルに利用でき、インターフェースもPC的にスケールすること、ウィンドウを並べてマルチタスクができるため、外部キーボード等を接続すればPCに近い作業環境になります。
スマホ側は独立した画面としてアプリも使えるほか、マウス要らずのタッチパッドになる機能も。
乱暴な話のようですが、複数のアダプタを購入して接続してスマホ画面の拡大で使うよりは、サングラス型ディスプレイのための端末としてDeX対応の型落ちスマホを買う手もあります。
あるいは最新の Galaxy Z Fold5などスマホを選ぶ際、DP Alt Mode接続を確認するのはもちろん、DeX的な外部ディスプレイ対応があるか、サングラス型ディスプレイとの相性は検討材料になります。