アップルは2024年の「iPhone 16 Pro」および「iPhone 16 Pro Max」の両方に、現行では15 Pro Maxのみの高倍率望遠カメラを搭載する見込みであると、以前より複数の情報源が伝えてきました。
その可能性を裏付ける新たな噂が、ここ最近になって相次いでいます。
まず韓国の電子業界誌The Elecは、iPhone 16シリーズでは「折りたたみズーム適用モデルを2種類に増やす予定」だと報道しています。
ここでいう折りたたみズームとは、テトラプリズム望遠カメラのこと。プリズムにより光の向きを変えることで、本体に対して横方向にレンズを配置可能としており、あたかも折りたたんだような構造になっているからです。
この技術のメリットは、1つにはレンズを縦ではなく横方向に置けるため、スマホ本体の厚みを薄くしやすいこと。もう1つは、プリズムで何回か反射することで、長い焦点距離を実現できることです。iPhone 15 Pro Maxのテトラプリズム方式は、その名の通り4つ(テトラ)のプリズムを使い、120mm相当を可能としています。
The Elecによると、アップルはProモデルでの採用を今年の1つから2種類にするため、光学手ぶれ補正(OIS)用アクチュエータにつきLGイノテックに発注を増やす予定とのこと。つまり、すでに実際の量産を準備する段階に至っているというわけです。
さらに少し前、アップルのサプライチェーン情報に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏も、MaxではないiPhone 16 Proにもテトラプリズムが搭載される見込みだと主張していました。
こちらのレポートで興味深いのは、テトラプリズムレンズの歩留率にも言及していることです。すなわち、独占的に供給している台湾企業Larganの歩留率は、2023年第3四半期には40%に留まっていたとのこと。しかし、現在(2023年11月下旬)には70%以上に改善されたと述べています。
今年のiPhone 15 Pro Maxにのみテトラプリズムが搭載され、iPhone 15 Proでは見送られたのは、「十分なテトラプリズムが確保できなかったから」という事情もあるのかもしれません。
ちなみにiPhone 16 Proでは、中国メーカーYujingguangもテトラプリズムの受注を目指していると噂されています。Larganはそれを阻止すべく、特許に基づく法的措置を取っているとの報道もありました。iPhoneは全世界で莫大な台数が出荷されるため、サプライヤー同士の競争も激しいようです。
また、iPhone 16 Proでのテトラプリズム望遠カメラの搭載は、本体や画面の大型化とセットとみられています。上記のKuo氏も、本体サイズを大きくすることで内部スペースが広くなり、非Maxモデルでも搭載可能になると述べていました。
今回の噂が本当であれば、iPhone 16 ProでもiPhone 15 Pro Maxのように光学5倍ズーム、最大25倍のデジタルズームが可能になりそうです。強力な望遠性能は魅力だが、Pro Maxは大きすぎるからと見送っていた人には朗報でしょう。
もっとも、iPhone 16 Pro Maxには「超望遠」ペリスコープカメラが搭載されると中国の著名リーカーが主張していました。こちらの詳細は不明ですが、アップルがiPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxを望遠性能で差別化した方針を、iPhone 16世代でも繰り返すことはあり得るかもしれません。