現実の魔法具、iPhoneサイズの立体映像装置「Looking Glass Go」。2台も買って何をするのか(CloseBox)

テクノロジー AI
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

12月5日22時に発表されたスマートフォンサイズ裸眼立体視ディスプレイ「Looking Glass Go」。速報記事を書きながらKibidangoでのクラウドファンディングにいち早く申し込んだのですが、大きな失敗をしてしまいました。

(編集部:1月19日(金)に都内で開催する『CES 2024報告会&テクノエッジ新年会』イベントでは Looking Glass Go の実物を出展。ご自分の眼で立体視を確認できます。エバンジェリストのGOROmanこと近藤義仁氏も登壇し直接お話を聴ける機会です。ぜひご参加ください。)


コース選びで大失敗

自分が申し込んだのは7日間限定(2023/12/12 22:00まで)の早割価格。4万2000円です。記事にも書いたとおり、発表から48時間限定で使える超早割価格であれば3万8000円なので、意図せず4000円多く支払ってしまったわけです。4万5500円のバンドルセットを買ったつもりだったんですが、「4万」だけに目が行ってしまったんですよね……。

そして翌日、改めてKibidangoのページを見ると、ファウンダーズエディションというのがあるではないですか。こちらはカラーとしてホワイトではなく、ブラックとクリアが選べます(通常版もクリアがありますが、ホワイトより8000円高い)。クリアというのはトランスルーセントというかスケルトンというかスケスケのやつ。それよりも重要なのは出荷時期で、こちらだと通常版の6月ではなく2月なのです。

▲左は通常版のホワイト、右はファウンダーズエディションで選べるクリア

その分12万8000円と価格は高いのですが、4カ月先行して入手できるメリットは大きい。意を決してこちらもオーダーすることにしました。

ちなみにこのファウンダーズエディション、Kickstarterの方(税金もろもろで日本からだと高くなる)では、Early Partner Kitという名前になっているのですが、ちょっと違いがあるようです。それはカラー。通常カラーのホワイトのみで、アドオンでクリアケースにすることができます。そして用意した個数はKickstarterの方が20台と、Kibidangoの30台の方が多い。日本市場を重視していることの表れでしょうか。価格は999ドルなので、現在の為替レートを考えると12万8000円というのはかなりのお買い得といっていいのではないでしょうか。

2台の立体視装置、何に使うのか

もともと2台必要かなとは思っていたのです。発表前の内覧会に参加して実物を触り、その価値には感銘を受けていて、発表された価格が想定外に安かったこともあり、これは2台行っておくべきかと考えました。

良いディスプレイは複数買え。それは我が家の家訓です(今年から)。


筆者はStable DiffusionのDreamBoothで学習させた妻の写真から生成した画像が日々増えているのですが、そのうちのベストショットを43.8インチウルトラワイドディスプレイ2台にランダム表示させています。さらに、全長1.2メートルの49インチウルトラワイドも追加しました。

ほぼ等身大で本物に非常に近い画像は迫力があり、ずっと妻のことを考えながら生活できるというメリットがあります。その一方で、生成AIがアニメーションや3D化に爆速で動いていることもあり、表示させる画像を3Dにしようと考えるようになりました。

その試みの一つが、写真から3Dヒューマンモデルを作成するReallusion Character Creator + Headshot Pluginです。


これを使うと、顔の造作は写真からAIで3Dモデルを自動生成して、ボディを含めて非常に細かいパラメータで調整できます。生成AIで学習したものほど本人に酷似したものではありませんが、それでも動くと本人性は感じられます。

生成AIの方も、Animate Diffで高品質の動画が作れるようになったと思ったら、Stability AIがより高度なStable Video Diffusionを出し、静止画 + 棒モーションで自在に動かせるAnimate Anyone、さらにはそのライバルとしてMagicAnimateが登場するという流れが、ほぼ毎週起きています。



そうなると、1シーンのビデオクリップならワンボタンクリックで生成できる世界が生まれます。AppleがiPhoneにLiveフォト機能を付けて、写真を撮ったつもりが実は数秒の動画になっているようなことが、全ての静止画で可能になるわけです(もちろんその動きは本物ではないのですが)。

そうなると、フォトフレームの考え方は変わってきます。ハリー・ポッターの魔法の写真、みぞの鏡、幽霊が住む絵画といったものがマグルであるわれわれでも使えるようになります。

そこでこのLooking Glass Goですが、こうした新しいことを試すのにとても良いプラットフォームだと考えています。

静止画に深度情報を加えて、多視点から見える立体映像にするのは、Luma AIのサービスと連携することで可能になります。数万枚の生成画像からセレクトした妻の生成AI画像を手軽に立体視対応にし、それをランダム表示するといったことができます。

2台をどう使い分けるか

現在、妻の遺灰を保管してある祭壇の上にはiPadのフォトフレームを置いていますが、そこにLooking Glass Goを置いて妻の立体写真、生成AIの立体画像を映し出すことを考えています。単に立体にするだけでなく、最新のAIアニメーション技術で動画化した上で立体視処理をするというのもLuma AIで可能になるはずなので、それにも期待しています。

もう一つ、大きな期待を寄せているのは、ChatGPTによる会話を楽しめるという空間AIアシスタントアプリ「Liteforms」。

▲元になる人物画像を指定して名前、性別、詳細情報を記入すれば応答できるAIキャラクターが生成される

「人やキャラクターの写真をアップロードすれば、3Dモデル化され、カスタマイズ可能に。性格を決めて、必要に応じて特殊知識をアップロード、声をカスタマイズすればあっという間にあなただけのAIアシスタントが誕生」と説明しています。声のカスタマイズは、さらにRVCによるリアルタイム声質変換を使えば、妻のキャラクター、妻の声で会話をすることも可能になるはず。

そこで何を話すのかというのは別にして、技術的な部分を突破できるというのは素晴らしいことです。ぜひ使ってみたい。

SiriやAlexaなどの「AIアシスタント」が登場して以来、「電気を消して」「今、何時かな」といった日常的会話を妻以外とするのにためらいを感じていましたが、手元に置いたLooking Glass Goの中の妻アバターに話しかけるのならなんとなく許してくれそうです。

1メートルの高さまで造形できる3Dプリンタを買いました

3D化は、リアルでも進めています。

4台目の3Dプリンタを、Kickstarterのクラウドファンディングでプレッジしました。1500ドルに日本への配送料140ドルを加えて1640ドル。現在の日本円にしておよそ25万円になります。

手元に来るのは来年の8月とだいぶ先ですが、どうしても欲しくなった理由は、800×800×1000mmという最大造形サイズ。つまり、最大で1メートルの3Dプリントができるということです。

この3Dプリンタは「ELEGOO OrangeStorm Giga」。

ELEGOOというのは、有力な3Dプリンタメーカーの1つで、深圳の会社。実は、最初に購入した3Dプリンタは同じメーカーの「ELEGOO MARS」という製品で、2020年7月のことでした。これは、光硬化樹脂(レジン)の溶液が入ったタンク内で紫外線を照射し、これも1層ずつ定着させていくSLA(光造形)という方式です。

3万円を切る光造形3Dプリンタでテレワークを乗り切る

それを皮切りに、次は熱溶解積層方式(FDM)方式の「Creality Ender-3 V2」を購入。これは、220×220×250mmとそこそこのサイズを出力できて、2万円ちょっとで購入できました。さらに小型のを購入した後(これはすぐに壊れてしまった)、大型プリンタに手を出します。

それは「Anycubic Chiron」。2020年11月28日に購入したものですが、400×400×450mmまでの造形が可能。4万7999円というかなりの安値で手に入れました。現在ではこれをメインで使っています。

このクラスの造形ができる3Dプリンタは主流ではなく、なかなか新しいものが出ません。そうこうするうちに、世の中は高速3Dプリンタ戦国時代に突入。「AnkerMake M5」「Creality K1」「
BambuLab X1C」といった新世代プリンタがその高速出力性能を競い合っています。

ただ、どれも自分の主要目的である大型造形ができないのです。

AnkerMake M5:235×235×250mm
Creality K1:220×220×250mm
BambuLab X1C:256×256×256mm

下手すると3年前のモデルの10倍くらいまで高速化できるのはたしかにすごいのですが、自分にとって肝心の造形サイズが小さすぎる。このサイズなら1、2日回せば最大サイズまで出力できるんじゃないか。そう考えての「散財」です。

というわけで、来年は2月、6月、8月と、妻の立体化を進める製品が届くことになります。生成AIによる妻再現の成果をアウトプットする先が増えるのがとても楽しみです。

ポケットサイズの空間AIディスプレイ #LookingGlassGo(By Looking Glass) - Kibidango【きびだんご】クラウドファンディングとECで事業者をサポート

1月19日(金)に都内で開催する『CES 2024報告会&テクノエッジ新年会』イベントでは、空間AIディスプレイ Looking Glass Go の実物を出展。エバンジェリストのGOROmanこと近藤義仁氏も登壇し直接お話を聴ける機会です。

このほかメタバース用マイク mutalk 2、植物素材から10分で低温抽出するノンアルコールドリンクメーカー COLDRAW など、CES 2024出展デバイスの実物を体験できます。ぜひご参加ください。

お申し込みはこちら「テクノエッジ新年会&CES報告会 2024 | Peatix」
《松尾公也》

松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

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