アップルがスマートホーム事業をテコ入れすべく、ディスプレイ付きHomePodを開発中であるとの噂は、複数の情報源が何度も伝えてきたことです。
現行のHomePod(第2世代)にもカラフルな色のパターンを表示してSiriの応答などステータスを伝えるなど、一定のビジュアル表現能力はあります。
新製品でテスト中とされるディスプレイとは、アニメーションや曲名を表示するなど、スマートフォンやタブレットの画面に近いものです。
昨年春頃に、アップル社内でtvOS 17.2を改造iPad mini上で動かしている手がかりが見つかり、そこから約8インチの液晶画面を備えたHomePodを準備しているとの推測が浮上していました。
なぜ、本来はApple TV用システムソフトウェアであるtvOSがHomePodと関係あるかと言えば、最近のHomePod用OSはtvOSをベースとしているからです。
そして今度はアップル関連情報サイト9to5Macが、最新のtvOS 17.4ベータ版からディスプレイ付きHomePodとなりうる未発表デバイスの証拠が見つかったと主張しています。
今回の報告は、ざっと次の通りです。
最新のtvOS 17.4ベータ3内のコードから、「Z314」と呼ばれる新デバイスの存在が判明
HomePodで動作するバージョンのはずが、ユーザーインターフェイス(ディスプレイ)を備えている
「Z314」は、iPad mini(第6世代)と同じA15 Bionicチップを搭載している
コードを解析した結果、このデバイスには内部開発版とテスト中の製品版があった。これは「開発が高度な段階」に達している可能性を示唆している
tvOS 17.4ベータ3にはHomePodファームウェアにSwiftUIフレームワーク(グラフィカルなUIを構築)を追加
さらにhangtracerd(iOSアプリで応答しないUIをデバッグするため使われるシステムツール)も追加
これらから、アップルが改造版iPad mini 6でtvOSを動かしていると推測できる
要は、アップルが約8インチ画面つきのHomePodがどう動くかを探ってきたと推測しているわけです。
こうした分析は、アップルの未発表製品に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏が予想した「7インチ画面搭載のHomePod」とほぼ符合しています。
10インチ未満の画面付きスマートディスプレイ(スマートスピーカー)としては、すでにAmazonのEcho ShowシリーズやGoogleのNest Hubシリーズが世に出ています。逆にいえばアップルのスマートホーム製品に欠けていたフォームファクタであり、投入しても不思議ではなさそうです。
ただし、先日登場していた「液晶ディスプレイ付きHomePodの試作機」と称する画像は、iPad miniとはかけ離れていました。
またアップルが量産間近まで試作品を完成させておきながら、発売を見送ることもあり得るでしょう。実際、正式に発表していたワイヤレス充電マットAirPowerを発売中止にした前例もあり、続報を待ちたいところです。