アップルが、Project Titanと呼ばれた自社製電気自動車開発プロジェクトを中止し、チームはAIの開発のために再配置されていると報じられています。
Bloombergが匿名の情報筋から得た話として伝えたところでは、この決定は今週、最高執行責任者(COO)のジェフ・ウィリアムズ氏、およびテクノロジー担当バイスプレジデントのケビン・リンチ氏から、総勢2000人を超えるとされる電気自動車開発チームに対して伝えられました。
もちろん、電気自動車チーム全員がAI開発部門に異動するわけではなく、人数などは不明ながらレイオフが行われるとも、Bloombergは伝えています。
アップルは10年前の2014年から、電気自動車の開発に取り組んできたとされます。当初は活発にエンジニアを他社から引き抜いて人材を拡充しており、引き抜かれた技術者の数が多かったテスラのCEO、イーロン・マスク氏は、Project Titanを「テスラ技術者の墓場」と呼んでアップルを非難しました。
この頃のプロジェクトは、車内にハンドルもなければペダル類もない、未来的な完全自動運転車を目指して開発に取り組んでいるとされていました。
しかし、いつしか開発が思うように進んでいないと報じられるようになり、何度かのリーダーの入れ替わりがあったものの、この数年間はほぼ新しい情報はありませんでした。最新の情報では、アップルの電気自動車の発表は早くても2028年と言われていました。
その間、EV市場は10年前のほぼテスラのみだった市場が大きく様変わりし、Rivianなど新たなEVベンチャーの登場だけでなく、既存の自動車メーカーからもEVが相次いで発売されるようになりつつあります。
また、OpenAIのChatGPTなどが切り開いた生成AIの市場も急拡大しており、特にGoogleやMicrosoft、SamsungといったライバルたちがAI活用の製品やサービスなどを続々と発表するなか、アップルだけはそのビッグウェーブにうまく乗れているとは言えない状況になっています。
アップルならきっと既成概念を打ち破るような、これまでにない自動車を生み出すと信じてきた人には、プロジェクトの中止は残念なことに違いありません。X(Twitter)に流れてきた今回のニュースに対し、イーロン・マスク氏は、敬礼する人の絵文字を投稿しました。