Apple Car(仮)はマイクロバス風だった?ハンドルもペダルもない試作車があったとの報道

テクノロジー Mobility
Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

特集

アップルが長らく完全自動運転のEV(電気自動車)を開発してきたことは、米カリフォルニア州のDMV(車両管理局)が同社の公道テストを公表しており、複数の大手メディアが動静を細かく伝えてきた経緯から、公然の事実です。


その通称「アップルカー」については、先月末に米Bloombergが正式に開発が中止されたと報道。アップルは肯定も否定もしていませんが、報道直後にアップルの株価が上昇する一幕もありました。


これらの報道が本当であれば、莫大な額を投資したアップルブランドの自動車が、日の目を見ずに終わることになります。それがどういったデザインで、どのような内装だったかを、同社の内部事情に詳しいMark Gurman記者が伝えています

いくつか試作機が作られてきたうち、2020年頃のバージョンは次の通りです。

外形的なデザインやコンセプト

  • カヌーのライフスタイル・ヴィークルに似ていた

  • ダークブラックの窓は色合いが調整可能

  • 全面ガラス張りのサンルーフ、真っ白な外装、真ん中が黒のホワイトウォールタイヤ

  • 前も後ろも同じ形のため、常に前を向いて走っているように見える

  • レベル5の完全自動運転に最適化

アップルカー(2020年バージョン)の内装

  • 何度か変更されたが、基本的にはプライベートジェットやリムジンのようなシートが組み合わさったもの

  • 内部は「輪郭のある泡」の中にいるような感じ

  • クルマは4人乗り、シートはリクライニングチェアやフットレスト等に変形できる

  • 中央に巨大なテレビがあり、FaceTime通話も利用可能

  • ルーフからiPadサイズのディスプレイを吊り下げたものもあり

  • キャビンの側面に沿って空気の流れを押し出す特別な空調システムも考案

  • スライドドアをガルウィングに変更したバージョンは、前後のカーブが急すぎて、前後に窓を設置するスペースがほとんどなかった

  • 最終的に自動運転レベル5からレベル2に落とす際に、ハンドルとペダル、前後の窓を追加した

また、元デザイン最高責任者のジョニー・アイブ氏が構想した初期のデザインは「1950年代のフォルクスワーゲンのマイクロバス」を現代風にした印象で、社内では「Bread Loaf」(切り分ける前の大きな食パン)と呼称。

2番目のバージョンはそれを進化させ、2017年にフォルクスワーゲンが発表したI.D BUZZプロトタイプとほぼ同じに見えたと伝えています。

ちなみに、上記にあった「ハンドルとペダル」のないバージョンに関しては、The New YorkTimesが詳細を報道

音声アシスタントSiriで操作することを想定しており、2015年の秋にティム・クックCEOとアイブ氏向けにデモンストレーションを実施。2人はキャビンのような室内の座席に身を沈め、外にはSiriを演じる声優が待機。架空のクルマで道路を疾走するという設定のもと、アイブ氏が通り過ぎたレストランを尋ねると声優が答えを読み上げたと、事情に詳しい関係者が語っていました。

非常に野心的でめざした目標も高く、それだけに実現も困難だったと思われます。アップルの厳重な秘密主義もあり実現する見込みは薄そうですが、デザインや写真の一部でも公開を望みたいところです。

なお、長年にわたり莫大な資金が投じられ、最終的には約2000人のスタッフがいたという「Project Titan」(アップルカー開発プロジェクトの社内名)ですが、終わりを告げる全体ミーティングはわずか12分で終わったと報じられていました


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《Kiyoshi Tane》

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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