中国政府が、政府機関の使用するコンピュータにおけるインテルとAMDのプロセッサの使用を禁止する、新しい規則の導入を開始しました。
この規則は昨年末に制定され、町村単位以上の政府機関はIT機器購入に際して、「安全」かつ「信頼できる」という観点で基準を満たすCPUやOS、データベースを選ぶよう指示されているとFinancial Timesが報じています。
中国情報セキュリティ評価センターが発表した新しい政府政策に準拠したCPUのリストには、無名の中国企業による18種類のCPUが掲載されています。このなかでx86アーキテクチャを採用するのはただ1社、上海昭新集積回路有限公司のチップのみとなっています。同社は、台湾VIA Technologiesの少数株主であり、x86プロセッサ製造のライセンスを持っているそうです。
ちなみに、残りのチップ製造企業は、ArmアーキテクチャまたはRISC-Vアーキテクチャを採用したプロセッサのメーカーとなっています。
この規則におけるOSの制限事項では、マイクロソフトのWindowsを政府のコンピュータOSから外すことも勧告しており、政策に準拠し承認されたデスクトップ/サーバOSとしては、中国国防技術大学が開発したGalaxy Kirin Linuxの派生バージョン、上海を拠点とする企業がDebianをベースに開発したTongxin OS、さらに別の中国産LinuxディストリビューションであるFangde OSがリストに掲載されています。
またこの文書ではデータベースも規制の対象となり、承認されたソフトウェアとしては、Alibaba CloudのPolarDB、TencentのTDSQLなどが挙げられます。
この動きは、中国が海外技術への依存を減らすため、国内半導体産業を強化していることを受けてのものと言えます。
米国政府は、2022年10月に、中国が先端半導体チップを軍事目的に利用する可能性があるとの懸念から、中国政府や企業などによる先端半導体チップへのアクセス、入手、製造能力を制限することを目的とした規則を導入しました。またその1年後には、NVIDIAなどの米国企業がAIやその他のチップを中国に販売することもできなくしました。
ただ、米国主導のハイテク禁輸措置の結果として、中国国内のチップ機器製造企業はその収益を増加させています。CNBCは昨年9月、上海の調査会社CINNO Researchが発表した報告書より、中国の機器メーカー上位10社における2023年上半期の売上高が、前年同期と比較して39%増加したことを報じていました。
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