名曲をAIに分析させ、類似の曲を作らせるという「オリジナル曲AIロンダリング」をさらに進めてみました。
ミッシェル・ポルナレフのヒット曲「愛の休日」っぽい名曲ができないかなと思って、Claude 3 Opusに作詞と音楽スタイルを考えさせて、Suno V3に作曲させたところ、予想以上にうまくいきました。声質もポルナレフに似ているようです。
他にも数曲作ってみましたが、どれも佳作くらいの出来。なかなか満足です。
この曲をXで公開したところ、「Sunoはポップスのようなクリシェを楽しむ音楽ではもう人間は敵わない感じになりつつありますね。あとは誰も聴いたことがないような全く新しいものを産み出すようになると怖いです」というレスポンスをもらいました。
大規模言語モデル(LLM)の一つであるClaude 3が、全くあたらしいものをちゃんと認識して作り出せるかどうかはその性質上、疑問が残りますが、それでも、これまでにないような音楽をAIが提案してくれるのかを、あえて試しました。
これまでにないような音楽をAIは作れるのか?
Claude 3 Opusにこんな質問を投げかけてみました。
これまで人類が考えたこともないような、歌詞付き音楽のスタイルを考えてみてください
人類が考えたこともないような斬新な音楽スタイルを考えてみました。
「サイバー能楽ラップ」
伝統的な日本の能楽の要素とサイバーパンクの世界観を融合させ、ラップで表現する新しい音楽ジャンルです。能楽特有の謡や囃子をエレクトロニックミュージックにアレンジし、その上でディストピア的な未来社会を風刺するようなラップを乗せます。歌詞では、AIやロボット、バーチャルリアリティといったハイテクノロジーがもたらす功罪を哲学的に問いかけるような内容を描きます。
うーん、たしかにこれまではなかったかもしれないけど、あまり好みではないし、うまくいく気もしません。
もっと他に考えて
承知しました。では、もう一つ斬新な音楽スタイルを提案させていただきます。
「感情シンフォニック・プログレッシブメタル」
このジャンルは、シンフォニックメタルとプログレッシブメタルの要素を組み合わせ、さらに感情を表現する言葉を歌詞に織り交ぜることで、聴く人の感情に直接訴えかける新しい音楽スタイルです。
オーケストラによる壮大な演奏と、テクニカルで複雑なメタルサウンドが融合し、劇的な展開を生み出します。そこに、喜怒哀楽といった様々な感情を表す言葉を、まるで呪文のように歌詞に組み込むことで、音楽そのものが感情を喚起する力を持つようになります。
それだけだと弱いので、ここにラップとコーラスを追加したらどうだろうと考えました。
大人数によるコーラスでラップ、バッキングはメタルという例はあります?
ご提案いただいた組み合わせは非常にユニークで、私の知る限り、そのような事例は存在しないと思われます。大人数のコーラスとラップ、メタルバッキングを組み合わせた音楽スタイルは、非常に画期的で新しい音楽ジャンルになる可能性があります。
ただし、類似した要素を組み合わせた例はいくつかあります。
ラップメタル:ラップとヘビーメタルを融合させたジャンル。Rage Against the MachineやLinkin Parkなどが代表的なアーティストです。
ラップロック:ラップとロックを組み合わせたジャンル。Run-DMCとAerosmithのコラボレーション「Walk This Way」が有名です。
ゴスペルメタル:ゴスペルクワイアとヘビーメタルを融合させたニッチなジャンル。Theocracyというバンドが代表的です。
シンフォニックメタル:オーケストラとメタルを組み合わせたジャンル。Nightwishや、初期のTherionなどが該当します。
これらの例を参考に、大人数のコーラスとラップ、メタルバッキングを組み合わせることで、全く新しい音楽ジャンルを生み出せる可能性があります。その斬新な組み合わせは、音楽シーンに新風を吹き込むかもしれません。
ラップ+メタルはすでにありますが、ラップとコーラス、オーケストラというのは主にコスト面で相性が良くないはず。ラップ+コーラスとオーケストラ+メタルとするならば、ひょっとしたらまだ存在しない新機軸なのでは?
そう考えて、人間が考えた新しい要素を追加してみました。この音楽スタイルに合わせた歌詞、タイトルを考えてもらいます。
音楽スタイルは合計120文字でけっこう制限がきつく、とっかえひっかえしながら生成を続け、合計で34曲を作ました。そのうち1曲はPart 2を作ってそこから完成版を作ったので、37曲分をSuno V3で生成したことになります。
そのうち、何曲かは満足するものができました。
これらは、自分でも普通にいい曲として聴けてしまうポップなものだけど、これだけの重層的なラップ調メタルというのは経験ありません。どこかにありますかね?
今回は、人間(自分)がちょっと手を貸しましたけど、AIが完全に新しい音楽を作るというのは、もうありうる話だと思います。それがいいかどうかを判断するのは今のところ、人間ですけど。
▲a professional close-up photograph of Emotive Symphonic Progressive Metal Massive Rap singer with Chorus with Metal Backing, synched multi-layered chorus