AI作曲で再びパンドラの箱が開く。Sonautoで既存曲のメロディーと音楽スタイルを参照して別曲が作れるようになって替え歌思うがまま(CloseBox)

テクノロジー AI
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

ポストSunoを目指すAI作曲サービスとして、3月末にリリースされたものの、4月に公開されたUdioの音質の良さばかりが注目されていたSonautoですが、かなりやばい機能を搭載してきました。


音源をアップロードして、その曲のメロディーと音楽スタイルを参照し、別の曲に生まれ変わらせるという機能です。

音楽スタイルを元曲と別のものにすることもできますし、歌詞をまるっきり、または一部だけ変更することも可能。マイケル・ジャクソンの「今夜はビート・イット」を「今夜はイート・イット」に変えたウィアード・アル・ヤンコビックみたいな替え歌が誰でもできるようになります。


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曲をアップロードして、そのリズムスタイルだけを参照するといったことはこれまでのSonautoでも可能だったのですが、今回、楽曲全体を参照する「Full Song Control」機能を追加。これにより、メロディーライン、コード進行、伴奏などをオリジナルから逸脱しないレベルで使い回し、さらに、プロンプトで音楽スタイルを追加したり、歌詞を全く新しいものに置き換えたりといったことが可能になりました。

Sunoですでに作ってあった曲をSonautoで参照して作ってみました。

作曲画面の最下部にあるアップロードフィールドから、この曲を参照元としてアップロードします。Full Song ControlにするかRhythm Controlにするか聞かれるので前者を選択。

▲Full Song Controlを選択

次にプロンプトと歌詞を選びます。Advanced Modeにしなければ、自動的に作詞されます。プロンプトはアーティスト名などを入れるとプロンプト候補がサジェストされるので、それを選択。元々がボズ・スキャッグズのスタイルを狙ったものだったので、Sonautoでもいくつかある候補から選びます。

あとは、Generate with Referenceボタンを押して待つだけ。10秒もかからず、曲ができました。

メロディーラインと大まかなコード進行は同じですが、伴奏は少し違っていて、歌詞は新しいものに変わっています。どっちがいいかと言われればSunoのオリジナルの方がいいんですが、そこは現時点でのSonautoの実力がそのくらいなのでまあ仕方なし。

それでも、歌詞を完全にオリジナルにすることもできるし、部分的な手直しもできます。SunoにしろUdioにしろ、出来上がった曲の部分的な修正は基本的にできないので、こうした機能があるととても助かります。

もう1つ作例。こちらはUdioでビートルズサウンドを狙って作ったもの。

ビートルズを狙って作った曲ですが、結果的にニック・ロウっぽくなってしまい、これはこれでいいなと思っていた曲です。これを参照し、ビートルズ風サウンドのプロンプトを適用して作ったのがこちら。

こちらはなかなかいい感じのアレンジになってます。Udioのオリジナルよりはビートルズ風。

ただし、このSonauto新機能は悪用される可能性を否定できません。参照する楽曲が、自分で権利を持っている曲とは限らないわけで、勝手に他人の曲を参照して歌詞だけ変えて公開するといったこともやろうと思えばできます。

楽曲をアップロードしてそれを元に新たな曲を生成する機能は、Stable Audioも持っていますが、出来上がる結果がよくわからないものになってしまうので、現時点でさほど影響はありません。ボーカルもないし。しかし、Sonautoの新機能はボーカルありでそれができてしまうので、使い方によっては大きな問題を引き起こすかもしれません。

Suno、Udioの登場で生成AI作曲のパンドラの箱は開いてしまったと思っていたら、まだまだ開いてない箱が開けられてしまったようです。

《松尾公也》

松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

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