アップルの廉価版スマートフォン「iPhone SE」シリーズの最新版である、第3世代モデルが登場してから2年以上が経過しました。
第2世代(2020年4月発売)から第3世代(2022年3月発売)以上のブランクが空いているだけに、その間に様々なうわさ話が報じられています。
一時は開発中止されたとするアナリストもいたものの、ここ数カ月は「有機ELパネルの供給元が決まった」等のサプライチェーン情報もあり、正式な量産・発売に向けて本格始動しているとの見方が有力となっています。
そんなiPhone SEの第4世代モデル、通称「iPhone SE 4」はどんな製品となるのか?これまでの自称リークや著名アナリスト予想などを振り返っておきましょう。
もともと独自開発5Gモデムとセットだった可能性
2023年の初め、アップルのサプライチェーン情報に詳しいMing-Chi Kuo氏は、少なくとも2024年内のiPhone SE 4発売は中止されたと述べていました。
iPhone 13 ProやiPhone 14 Pro Maxのような高価なモデル以外の売れ行きが芳しくなく、廉価モデルSEの後継機を出す意味が薄いというわけです。
それが、まもなく「iPhone SE 4を再開。自社製5Gベースバンドチップ採用」へと軌道修正。
現在の主流である「iPhone SE 4は、6.1インチiPhone 14のマイナーチェンジ版」説も、おそらくKuo氏の主張が始まりです。歴代iPhone SEは「旧機種のデザインを流用してプロセッサ等の一部パーツを載せ替え」が恒例となっており、第2世代~第3世代SEはiPhone 8がベースでした。
また、ここでいう5Gベースバンドチップとは、アップル独自開発のモデムチップのことです。自社設計の5Gモデムがクアルコム製に及ばないのではないか、との懸念から、廉価モデルをテストケースにすると推測されていました。
が、Bloombergが独自モデムの開発難航を報じた辺りから、iPhone SE4とは切り離して語られるようになりました。
「ほぼiPhone 14標準モデル」にUSB-Cやカメラ強化、アクションボタン搭載?
「iPhone SE 4は、ほぼiPhone 14標準モデル」とする噂話は、2023年末から勢いを増しています。
iPhone 14をベースとすることから、液晶ではなく有機ELディスプレイ、全画面デザインでホームボタンなし・Touch IDではなくFace IDを採用する可能性が高いと見られています。
iPhone 14標準モデルとの違いは、まずLightning端子をUSB-Cポートに変更すること。これはEUの規制に従うために不可欠であり、揺るぎようがなさそうです。ただし、iPhone 15 Proで初採用されたアクションボタンが搭載されるかどうかは、情報源により見解が割れています。
また背面カメラはデュアルではなくシングルながらも、解像度は12MPから48MPに強化。iPhone 15標準モデルのメインカメラも、前世代の12MPから48MPに強化されていただけに、説得力がありそうです。
これらの予想をまとめると、次の通りです。
Lightning端子からUSB-Cポートに移行
背面48MPカメラ搭載、ただしシングルカメラ
Touch ID(指紋認証)に代えてFace ID(顔認証)
6.1インチ有機ELディスプレイ搭載
アクションボタン追加の可能性
2025年発売、有機ELパネルのコスト削減で廉価をキープか
そんなiPhone SE 4は、いつ発売されるのか? 複数の情報源が「2025年以降」との見方で、概ね一致しています。
また廉価モデルで最も注目されやすいのが、当然ながら「価格」です。ユーザーにとってもアップルにとっても、フラッグシップiPhoneと価格差が小さすぎれば意味はありません。
韓国の電子業界誌The Elecは「iPhone 13や14と同じ有機ELパネルを採用し、研究開発に追加投資する必要がないため、画面の価格は大幅に下げられる」と伝えていました。
それらの製造は、中国のディスプレイ製造大手BOEが単独で受注する可能性が高いとZDNet Koreaが報道。
最も大きな理由は「価格」。サムスンはパネル1枚当たり30ドルを提示したところ、アップルは25ドルを要求。あまりの安さにビジネス的なうま味がないとサムスンは辞退。それでもBOEは受注する、と報じています。
これが本当であれば、iPhone SE 4の製造コストは、少なくともディスプレイについては抑えられるはず。iPhone 8からiPhone 14ベースとなることや、急激に進む円安のなか、第3世代モデル並は難しそうですが、廉価モデルに相応しい価格設定を期待したいところです。