1週間の気になる生成AI技術・研究をいくつかピックアップして解説する連載「生成AIウィークリー」から、特に興味深い技術や研究にスポットライトを当てる生成AIクローズアップ。
今回は、スマートグラスに映る他人の顔から名前や住所などの個人情報を特定する技術を説明したドキュメント「I-XRAY: The AI Glasses That Reveal Anyone’s Personal Details—Home Address, Name, Phone Number, and More—Just from Looking at Them」に注目します。
ハーバード大学の学生らによって、「I-XRAY」という、人の顔を見るだけでリアルタイムに個人情報を明らかにする技術が開発されました。この技術は、個人の住所、名前、電話番号、職業などの詳細情報を露呈させる可能性があります。
Metaの「Orion」や「Ray-Ban 2」などの一見普通のメガネに見えるスマートグラスを使用することで、対象者に気がつかれずに個人情報をその場で特定することができます。
今回は、Ray-Ban 2スマートグラスのライブストリーミング機能を使用して、ユーザーがスマートグラスで撮影した人物の顔から個人データをリアルタイムで生成できるようにします。
▲スマートグラスに映る顔から個人情報を特定する
I-XRAYは、5つの最新技術を組み合わせて機能します。まず、スマートグラスに搭載されたカメラで人の顔を撮影します。次に、顔認識技術を用いてインターネット上の公開画像(PimEyesやFaceCheck.IDなどの逆顔検索エンジン)とマッチングを行います。そして、LLMを使用して収集したデータから個人情報を抽出し、名前や職業などを推測します。
さらに、FastPeopleSearchのような個人情報検索ツールを利用して、住所や電話番号、親族の情報を取得します。最後に、Cloaked.comを使用して社会保障番号などを入手します。これらの情報は、接続しているスマートフォンに数秒で表示されます。
開発者たちの目的は、このような技術が現在既に可能であることを示し、プライバシーに関する懸念を喚起することにあります。
幸いなことに、個人がこのような技術から身を守る方法も存在します。PimEyesやFaceCheck.IDなどの顔検索エンジンから自分の情報を削除することができます。また、FastPeopleSearchなどの個人情報検索サイトからも、自分の情報を削除するオプトアウト手続きが可能です。さらに、重要なアカウントに二段階認証を設定することで個人情報の悪用リスクを軽減できます。