実写もAI動画も2秒だけ伸ばせるAdobe Premiere ProのAI新機能『生成拡張』を試したら、違和感がなさすぎて驚いた(CloseBox)

テクノロジー AI
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

Firefly Video Modelによる動画生成AI機能が使えるようになったアドビの動画エディター、Premiere Proのベータ版が公開されたので、ファーストインプレッションを。

Fireflyでの動画生成はウェイティングリスト登録したので、待ち行列中です。


Premiere Proベータ版の生成AI機能は、ゼロから動画を作ることはまだできません。

ですが、既存のクリップをタイムラインに配置し、そこから生成拡張ツールアイコンを選んでクリップを右にドラッグすると、映像を最長2秒拡張できます。音声も同時に、または別途生成可能ですが、こちらは10秒まで。オーディオには音楽を含めることはできません。

左端のツールバー最下部にあるのが、生成拡張ツール。これを選択して、クリップの右側を掴むと、右側にドラッグすることができます。

生成は1分未満で完了。終了すると、クリップの右端に「AI生成」と表示されている部分が追加されます。

試しに1988年に8ミリビデオで撮影したムービー5秒ほどのクリップを生成AI拡張してみましたが、驚くほど自然に伸びています。そこだけ画質がアップすることもなく、全く違和感がありません。

▲生成AI拡張前

▲生成AI拡張後

貴重な想い出が少しふくらみました。

生成AI拡張を利用できるクリップには解像度の制限(1920×1080または1280×720)があるため、Topaz Video AIでアップスケールをかけているのですが、自然なつながりは驚くべきものです。

延長できるクリップは実写に限りません。Hailuoで生成した6秒の動画も自然に延長できました。

生成中には「Generating extension」と出ますが、その日本語訳は「拡張機能を生成中」となっています。延長部分を生成中と言いたいのだと思います。

▲日本語は誤訳ですよね

1つのクリップにつき、生成AI延長ができるのは1回のみなので、2秒ずつ伸ばし続けることはできませんが、「このクリップがもう少し長ければいいのに」という場面はビデオ編集で無数に遭遇するので、超絶便利な機能になりそうです。

静止画からImage to Videoを使えば10秒以上の動画を生成することは今でも可能です。ただ、それ以前の動きとの整合性は取れません。Premiere Proベータ版は、そこを非常にうまく処理してくれるので、既存の動画生成AIと競合することなく、むしろ、動画生成AIを使うなら必須のツールとなりそうです。

筆者はミュージックビデオの制作にRunway Gen-3を中心とした複数の動画生成AIを使っているのですが、「音に合わせたクリップの長さがちょっとだけ足りない」場面が非常に多く、それが簡単な処理で済むというのは大きなメリット。

ただし、現在は解像度の制限があるため、例えばHailuoではそのままクリップに読み込んで使うことはできません。今回はいったんPremiere Proで書き出して再度読み込みました。この辺が改善されれば生成AIを使った動画編集はPremier Pro以外で使う気はしなくなりそうです。

しかし、想い出を2秒だけ伸ばせる機能って、ザ・ワールドの亜種っぽい感じがしますよね。


《松尾公也》

Amazon売れ筋ランキング

松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

BECOME A MEMBER

『テクノエッジ アルファ』会員募集中

最新テック・ガジェット情報コミュニティ『テクノエッジ アルファ』を開設しました。会員専用Discrodサーバ参加権やイベント招待、会員限定コンテンツなど特典多数です。