楽天モバイルのRakuten LinkにチャットAIが登場。生成AIが無料で文章作成や要約をサポート(石野純也)

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石野純也

石野純也

ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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楽天モバイルは10月31日、音声通話やメッセージを無料で利用できる「Rakuten Link」に、生成AIサービスを導入しました。

AIにも料金はかからず、1日あたり50回まで質問を送付可能。友だちにSMSを送るような感覚で手軽に利用でき、文章作成や要約、計画作成などの手伝いを頼めるほか、オススメの商品やサービスなどを教えてもらうこともできます。

(▲楽天モバイルは、コミュニケーションアプリのRakuten Linkに生成AIを導入する。写真は、同サービスをお披露目した楽天モバイルの三木谷浩史会長)

10月31日から、まずAndroidのRakuten Linkアプリに順次アップデートがかかって利用が可能になります。iOSへの対応も表明されていますが、こちらは後日になるようです。Rakuten Link AIには、同アプリのホーム画面からアクセスできます。

(▲まずはAndroidアプリから対応。ホーム画面上部に、AIのアイコンが現れる)

裏側でどのようなAIモデルを使っているのかという質問に対して明確な回答はありませんでしたが、複数のものを組み合わせて活用しているそうです。楽天グループは、OpenAIと提携していますが、これだけでなく、同社自身で開発したLLM(大規模言語モデル)なども含まれているようです。

発表会の場にあったデモ用の端末でいくつかの質問や文章作成の依頼をしてみましたが、比較的きちんとした回答が得られました。あえて「楽天モバイルの落とし穴」を聞いてみましたが、生成された文章は忖度なし。エリアがまだ不十分であることや、段階制料金プランが人によっては複雑になってしまうことなどまで、きちんと指摘されていました。

(▲あえて落とし穴を聞いたところ、自社サービスにも辛辣なコメントが(笑)。内容も比較的フェアで、完全に事実誤認のような記載は見当たらなかった)

また、会話の文脈を理解しており、提示された文章に対して「もっと短く」と言えば要約してくれますし、「これを英語にして」と指示すれば翻訳もしてくれます。こうした点は、ChatGPTなどのLLMと大きくは変わりません。

(▲文脈を理解し、追加の質問にも答えてくれる)

メッセージアプリで生成AIと会話するという意味では、グーグルがGoogleメッセージアプリ上に実装した「Gemini in Googleメッセージ」に近いサービスと言えます。

何に使うかはユーザー次第といったところですが、現時点ではマルチモーダルには非対応。例えば文章ファイルをアップロードして校正させたり、写真を提示してその中身を説明したりといったことはできません。音声通話やSMSなどに使うRakuten Linkから呼び出せるメリットはあるものの、スタートしたばかりのサービスでまだまだ機能は限定的と言えるでしょう。

ただし、将来的には楽天グループ各サービスの窓口として、Rakuten Linkを活用していく計画があるようです。

例えば、楽天市場でオススメの商品をたずねてそのまま購入ページに飛べたり、楽天トラベルで旅行の中身をカスタマイズしてもらったりといった具合です。

各社とも、PayPayやd払いなどの決済アプリをスーパーアプリ化していますが、楽天モバイルはRakuten LinkにAIを入れ、よりパーソナライズされた形でそれを実現しようとしていることがうかがえます。

(▲将来的には、パーソナルコンシェルジュとして楽天グループのサービスへ誘導する窓口にしていく計画だ)

実際、Rakuten Linkアプリは当初の通話やメッセージをやり取りするだけのシンプルなユーザーインタフェースから脱却し、楽天グループの様々なサービスを紹介するポータルのようなアプリになりつつあります。

現状でも、ホーム画面を開くとポイント情報やキャンペーン情報などがビッシリと表示され、さらにはメッセージとメッセージの間にも広告が差し挟まれます。通話料およびSMS送信が無料な代わりに、こうしたところで収益化しようとしているというわけです。

(▲単なるコミュニケ―ションアプリを脱却し、昨年からエコシステム連携を強化している)

その一環として、AI対応を機に楽天モバイルはRakuten Linkのアイコンを変更。固定電話の受話器をモチーフにしていたこれまでのデザインを変え、楽天グループのサービスである「R」のシンボルを全面的に打ち出すアップデートをかけました。

あくまで楽天グループのエコシステムへの入口であって、単なる音声通話やメッセージを送るためのアプリではないことを示しているというわけです。

(▲Rakuten Link AI導入に合わせ、アイコンも変更。電話モチーフのアイコンを一新する)

一方で、Rakuten Linkは音声通話が時間無制限で無料、SMSも送り放題ということを売りにしてきただけに、どちらかと言えば、携帯電話のコミュニケーションアプリと捉えていた向きも多いのではないでしょうか。

電話やメッセージアプリは単機能でシンプル、しかも当然広告も入らないため、この機能を重視している人にはミスマッチが起こっている印象も受けます。

(▲Rakuten Linkが好評なのは通話が無料だから。この点が、今のRakuten Linkアプリとミスマッチを起こしている印象も受ける)

リアルな世界に例えると、広告のビラに埋もれてしまった電話機を探すようなイメージではないでしょうか。どことなく、広告だらけで記事本文が読みづらくなってしまっているWebメディアを彷彿とさせます。

大手キャリアであれば2000円弱の完全音声通話定額を無料で使えるため、文句は言いづらいものの、収益化を急ぎすぎてしまっているきらいもあります。

うがちすぎと言われてしまうかもしれませんが、音声通話やメッセージの使い勝手を落とすことで、月額1100円の「15分(標準)通話かけ放題」オプションに誘導しているようにも見えてしまいます。

逆に、こうした自社サービスへの導線をRakuten Link AIやRCSの企業メッセージなどに一本化できれば、今のようにアプリを重厚長大にせず、UIをシンプル化できるような気もします。

せっかくAIを導入するのであれば、このような改善にも期待したいところです。

《石野純也》

石野純也

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ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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