大きくなったハイエンド縦折りフォルダブル「razr 50 ultra」ハンズオン。懐かしのホットピンクも(石野純也)

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石野純也

石野純也

ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

特集

モトローラ・モビリティ・ジャパンは、razrシリーズの最上位モデルにあたる「razr 50 ultra」を日本市場に導入することを発表しました。いわゆるオープンマーケット版はモトローラ自身で販売するほか、MVNOや家電量販店が取り扱いを表明。直販価格は17万8800円です。

おもしろいのは、ソフトバンクもオンライン限定でこのモデルを取り扱うこと。オープンマーケット版はストレージが512GBなのに対し、ソフトバンク版は価格を重視したためか、容量を256GBに抑えています。

▲モトローラのプレミアムモデルrazrシリーズの最上位モデルにあたるrazr 50 ultraが、12月6日に発売される

同社がモトローラ端末を販売する際には、型番に「s」のついた別モデルを展開するのが通例でしたが、今回はオープンマーケット版と同じrazr 50 ultraとして販売されます。「s」なしのためか、ソフトバンクアプリのプリインストールも最小限になっているそうです。

オンラインに販路を絞り、限りなくオープンマーケット版に近い端末を取り扱うというのは、これまでのソフトバンクになかった動きで、注目しておきたいポイントです。

▲直販のほか、MVNOではIIJmioが販売する。ソフトバンクも同名のモデルをオンライン限定で取り扱う異例の展開だ

razr 50 ultraは、現在販売中の「razr 50」やそのソフトバンクにあたる「razr 50 utlra」の上位モデルに位置づけられます。razr 50/50sは先代モデルからアウトディスプレイが一気に大型化し、「razr 40 ultra」並みになりましたが、razr 50 ultraはさらにその上を行くアウトディスプレイを備え、ノーマルモデルとの差別化を図っています。

具体的には、アウトディスプレイが4.0インチに拡大。リフレッシュレートも165Hzになり、もはや一般的なスマホのメインディスプレイとそん色ないスペックになってきています。

razr 40 ultraやrazr 50/50sと比べると、よりヒンジに近いギリギリのところまでがディスプレイになっています。razr 40 ultra時代より差は縮まっているものの、ultraの方がアウトディスプレイが大画面という点は変わっていません。

▲アウトディスプレイが4.0インチに拡大した

▲起動できるアプリに制限はなく、閉じたままほとんどの操作を完結できる

▲メインカメラを使って自撮りできるのも、この形状の特徴だ

アウトディスプレイが4.0インチになったことで、よりディスプレイの情報量が増しただけでなく、見栄えもより洗練された形になりました。背面にはヴィーガンレザーを採用しており、触り心地もいい端末に仕上がっています。

一般的なスマホはガラスを採用することが多くなっていますが、フォルダブルスマホをテーブルなどの上に置いて使うことも多いだけに、割れたり傷がついたりする心配の少ない素材が選ばれている点は評価できます。

▲触り心地のいいヴィーガンレザーを採用した

単にアウトディスプレイが大きくなっただけでなく、搭載されるチップセットもrazr 50/50sよりスペックが高いものになっています。razr 50/50sはメディアテックの「Dimensity 7300X」だったのに対し、razr 50 ultraはクアルコムの「Snapdragon 8s Gen 3」が採用されています。

Snapdragon 8s Gen 3は、一部機能を落としながら、コストを抑えた8シリーズのSnapdragon。一般的なハイエンドモデルの「Snapdragon 8 Gen 3」より性能はやや劣るものの、ミッドハイのモデルよりも高速といった位置づけになっています。

この処理能力を生かし、razr 50 ultraでは、AI関連の機能の「moto AI」が強化されています。その1つが、カメラ機能。動画撮影では、razr 50/50sになかった「アクションショット」や「自動フォーカストラッキング」に対応。また、超広角カメラの画素数も5000万画素になり、画質が向上しているといいます。

▲自動フォーカストラックなど、ノーマルモデルにはないAIを使った撮影機能も盛り込まれた

AI関連の機能では、壁紙自動作成機能にも対応しています。この機能自体は、モトローラの他モデルにも展開されていいますが、撮った写真や入力した文章から壁紙を生成できるというもの。前者は、毎日のコーディネートに合わせて端末を“着せ替え”できるのがメリット。後者は、自分オリジナルの壁紙を作りたい時に重宝します。

▲服装などから壁紙を生成できる。筆者はグレーのジャケットを着ていたが、それを元に作った壁紙がこちら

▲文章から、壁紙を生成することもできる

昨年のrazr 40シリーズでは、ノーマルモデルのみおサイフケータイ対応で、ultraに関してはグローバルモデルに近い仕様で販売されていました。これに対し、razr 50 ultraは、ソフトバンク版のみならず、オープンマーケット版もFeliCaを搭載。

スペックを取るか、おサイフケータイを取るかという“究極の二択”がなくなり、より選びやすくなっています。最上位モデルだけに少々価格はお高めですが、販売中のrazr 50/50sでは物足りない人にとって、いい選択肢になることは間違いありません。

ちなみに、カラーは「ミッドナイトブルー」と「ホットピンク」の2色展開。ただし、後者のホットピンクはIIJmio限定になります。

このホットピンク、どこかで見覚えがある人もいるのではないでしょうか。筆者と年齢が近い人は、うっすら覚えているかもしれませんが、フィーチャーフォン時代にドコモが取り扱っていた「M702iS」に同じホットピンクが採用されていました。

▲カラバリは2色。右のホットピンクはIIJmio限定だ

▲左がフィーチャーフォン時代のRAZR。写真は海外版だが、日本ではドコモがM702iSとして発売した

M702iSは、海外でRAZRとして販売されていたモデルの日本版。フォルダブルスマホになった小文字のrazrは、このRAZRをモチーフにしています。

実は、razr 50 ultraのホットピンクは、このM702iSと同じカラーリング。グローバルで販売されているrazr 50 ultraのカラバリは、もう少し落ち着いたトーンのものが中心でしたが、ホットピンクのみ復刻カラーとして鮮やかな色合いを再現していました。

▲グローバル発表時のカラバリを見ても、ホットピンクだけ異色なことが分かる。当時は、アジアパシフィックでの販売はないとされていた

6月に米ニューヨークで発表された際には、アジアパシフィックで販売しないカラーとして紹介されていたホットピンクですが、ふたを開けてみると、IIJmio限定ながらも日本でも展開されることになりました。その意味では、貴重なカラバリと言えるかもしれません。

M702iSはその型番どおり、ドコモ限定で販売された端末でしたが、それと同色のrazr 50 ultraがIIJmio限定になっているところに時代の流れを感じます。IIJは単体販売も行っているため、当時を懐かしみたい人は、ぜひチェックしてみてください。


《石野純也》

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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