UFO型空飛ぶEV、AIエージェントスマートホーム、モビリティの伏線回収。テクノエッジ CES 2025報告会で3人のジャーナリストが語ったCESのリアル

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山本竜也

20年務めた会社を辞めて、ガジェットなど好きなことをブログなどに書いて生きています。

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テクノエッジ編集部では1月16日、米国ラスベガスで開催された家電&IT見本市「CES 2025」の報告会を兼ねたテクノエッジ新年会を開催しました。

CES 2025の報告会では、実際に現地で取材を行われた、スマホ/ケータイジャーナリストに石川温(いしかわ・つつむ)さん、IT・テクノロジー系ライターの山本敦(やまもと・あつし)さん、デジタル文筆家の弓月ひろみ(ゆづき・ひろみ)さんの3名をお招きし、リアルなCESの様子を解説してもらいました。

弓月氏さん:日本的ロボットと未来の乗り物

まずは、司会も担当していただいた弓月さんから。

今年のCESは非常にエンタメ色が強かったのが印象的。オープニングイベントでは「ウィル・アイ・アム」や「スティーヴ・アオキ」など著名アーティストが登場。デルタ航空のキーノートでは、巨大な球体ディスプレイ会場「Sphere」で「レニー・クラヴィッツ」のライブパフォーマンスが開催されました。

また、TCLのAI Me(エイミー)や、「Ropet(Kickstarterでクラウドファンディングを実施中)」など、LOVOT(ラボット)風の日本的な「口のないロボット」が増えているとの感触。高齢者の生活を支援するテクノロジー、いわゆるエイジテック(AgeTech)というキーワードもいろいろなところで聞かれ、高齢者に癒しを与えるリアルに動くぬいぐるみなどもあったそうです。

▲TCLのAI Me(エイミー)

ちょっと変わったところでは、AI飛行システムを搭載したUFOのような形状の次世代型モビリティ「INVO」も紹介されました。なんともSF的ですが、すでにプレオーダーが開始(本当に始まっていました)。

どうやって乗り込むのか、内装はどうなっているのかなどの質問については、「今後のお楽しみ」ということで答えてはもらえなかったそうですが、自家用UFOが欲しかったという人は検討してみるといいかもしれません。

▲プレオーダー中のINVO

ほかにも、1000fpsのプロジェクターを用いたコーセーのメイクシステムや、Lenovoのローラブルスクリーンを搭載した「ThinkBook Plus Gen 6 Rollable」、開発中のARグラスなどを紹介。

山本さん:スマート家電とアクセサビリティの進化に注目

続いて山本さんは、主主にスマートホームとアクセシビリティの最新動向について報告。

まず、スマートホームでは、LGが生成AIを活用したAIエージェント「FURON」(フューロン)をスマート家電に組み込む動きが進行。この動きは昨年から出ていたそうですが、すでにFURONを組み込んだスマートホームハブ「ThinQ ON」も韓国では発売され、音声で様々な操作が行えるようになっています。

なお、CESでは、FURONを組み込んだロボットも試作品として展示されていたそうですが、製品化するかはわからないようです。

スマートホーム分野でLGのライバルとなるSamsungは、スマートホームのプラットフォーム「Smart Things」を展開。

現時点では、生成AIを動かすという話は出ていない模様。ただし、昨年のIFAでは、Galaxy AI的なものをスマート家電に載せたいという話はあったそうです。Galaxy AIはBixbyがベースになっていますが、これを生成AIっぽく動かしてスマート家電に載せようとしているようです。

LGがいろいろと積極的に展開しているのに対して、Samsungはちょっと慎重ではありますが、しっかりとやっている雰囲気は感じられたそうです。

ほかには、フランスのEssliorLuxottica(シロールルクスオティカ)が手掛けるアイウェア型補聴器「Nuance Audio」や、ルーマニアの.lumen(ドット ルーメン)の視覚障害者向けヘッドセットなども紹介。

このヘッドセットを実際に試してみたところ、何も見えない状態でも音声フィードバックで意外と歩けてしまう。ルーマニアで年内に行政の支援を受けて医療機器としてリリース予定です。

▲.lumenの視覚障害者向けヘッドセット

ほかにも、エルシオのピント調節ができるレンズや、サンフランシスコのAugmental(オーグメンタル)が開発した口に含んで舌で操作するマウスピース型のワイヤレストラックパッド「MouthPad」なども興味深かったそうです。

▲マウスピース型のワイヤレストラックパッド「MouthPad」

石川さん:スマホジャーナリストから見たCES

最後に、石川さんからはスマホジャーナリストがCESに通う理由、そして自動車業界の大きな変化について解説。

近年はCESでのモバイルの発表が少なくなり、取材対象が少なくなってきています。それでも「CESに来続ける意味がある」というのは、自動車業界の変化が非常に大きいから。

自動車業界はソフトウェア主導に変化してきており、たとえば、ホンダは「ASIMO OS」という独自の自動車OSを発表。また、独自チップの開発も表明しています。

▲ホンダとルネサスがSoCの開発契約を締結

5年前にはAppleやGooleが自動車業界に参入するという話が持ち上がったものの実現には至らず、今度はむしろホンダがITの世界にどんどん入り始めていると、最近の印象を説明。「ホンダは自動車業界のAppleを目指しているようにも見える」と評価。

▲車にもSnapdragonが載る時代に

さらに、2020年のCESで話題になったトヨタのWoven Cityは本格的に動き始め、2025年末には入居者を募集すると発表。2020年に「車を作る」と宣言したソニーも、2026年には北米で本当に発売を開始するなど、5年経って伏線回収が進んできています。

▲5年前のCESで発表されたことが実現しつつあります

「モバイル業界で起きたことはモビリティ業界でも起こる」という思いから、この先10年くらいはCESに通うかもしれないとしてしました。

CESの役割

3人の話をまとめると、近年のCESは昔のように粗削りなスタートアップがアイデアを披露する場ではなく、完成品を披露する場にシフトしてきています。製品を見るだけならCESに通う必要はないと感じる一方、開発者から直接話を聞ける貴重な場だともしています。このため、1つのブースに掛ける時間が長くなっているのに対して、会場はどんどん広くなるというジレンマもあるようです。

機材協力:BenQ「X3100i

なお、「CES 2025」報告会の動画は、テクノエッジ アルファ会員向けに配信予定となっています。

テクノエッジ アルファは第二期会員を募集中です。なお、テクノエッジ アルファ会員の方は、会員専用Discordの「#イベントアーカイブ」チャンネルから、ワークショップ全てのアーカイブにアクセスできます。ぜひご利用ください。


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《山本竜也》

山本竜也

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