今年の最新モデルiPhone 14シリーズの予約受付が始まり、お手元に届くのを待っている読者諸兄も少なくないはず。新機能への期待に胸を膨らませているなかで、2023年の「iPhone 15 Pro」に関する噂話をざっとまとめてみましょう。
■USB-Cポートの搭載
これまでiPhoneは10年近くLightning端子を採用し続けていますが、近いうちにUSB-Cへの移行がほぼ確実とみられています。なぜなら、EUが2024年秋までに加盟諸国で販売されるスマートフォンやアクセサリーの充電端子にUSB-Cの採用を義務づける「共通充電機器法」を施行する予定のため。
ほかインドやブラジルでも同じような動きがあり、今後もこれらの国や地域でiPhoneを販売し続けるには、USB-Cの採用を迫られています。
では、具体的にはいつになるのか。有名アナリストMing-Chi Kuo氏は、「2023年後半の新型iPhone」つまりiPhone 15からだと述べていました。またアップルの社内事情に詳しいBloombergのMark Gurman記者もUSB-Cを搭載したiPhoneがテスト中と伝えています。
iPhone 15のどのモデルにUSB-Cが搭載されるかは不明ですが、今後アップルはiPhoneのProモデルと標準モデルとの差別化を大きくしていく(利益率の高いProの売上を増やすため)と予想されていることから、Proモデル独占になる可能性もあります。
同じiPhoneなのに一斉移行しないのは意外にも思えますが、iPad ではLightningとUSB-Cの混在が長らく続いています。
■ディスプレイ埋込み型のTouch ID(指紋認証)
今なお人気の高い指紋認証 Touch IDは、立体顔認証 Face IDを採用したiPhone X以降のフラッグシップ機では戻ってくる気配が一向にありません。そのため、新型iPhoneが話題に上るたび「今年こそTouch IDが戻ってくる」という期待が定期的に浮上しています。
とはいえ、今さら画面の下に分厚いアゴと物理ホームボタンを復活させることはあり得ないため、指紋センサーが画面直下(裏側)にあるディスプレイ埋込み型の方向で推測されている次第です。
実際、複数の情報源から「アップル社内で試作機をテストしている」との噂は何度か報じられていました。
たとえば米The Wall Street Journalは、画面下Touch IDとして光学センサーを使っており、超音波方式よりも「信頼性が高い可能性がある」と話を聞いたと報道(一般的には光学式>超音波式は考えにくいのですが)。
また、おなじみGurman記者も2021年に「次のフラッグシップiPhoneに画面下Touch IDをテストしていた」として、長期的には可能性がある含みを持たせていました。
しかし、かつて画面下Touch IDに前向きだったKuo氏はトーンダウンしており、少なくとも2023年~2024年のiPhoneでは実現しないかもとツイート。なぜなら「 iPhone のマスクしながらFace IDは、すでに優れた生体認証ソリューションです」とのことで、もうTouch ID要らないんじゃない?という論調となっています。
それでも可能性が完全に否定されたわけではないため、2023年に画面下Touch IDが降臨することを信じる個人の自由はあると思われます。
■3nmの「A17 Bionic」チップ
iPhone 14 Proモデルに搭載されたA16 Bionicは4nmプロセス製造ですが、それに対してiPhone 15 Pro用の「A17 Bionic]チップは3nm製造となることが有力視されています。
なぜなら、Appleシリコン(アップル独自開発チップ)の製造を請け負う台湾TSMCが、2023年内には3nm技術による量産を始めることがほぼ確実なためです。
TSMCが2022年内の3nm(N3)での量産をあきらめる可能性はありますが(TSMC公式には「できる」と主張 )それでも派生プロセスの「N3E」が2023年後半に間に合うことに異論は上がっていません。そして同社の最先端技術が投入されるのは、まず最大の顧客であるアップルの製品となるはず。
一般論として、3nmプロセスはA14とA15に使われた5nmプロセスと比べて、同じ消費電力では最大15%は性能が向上すると言われています。もちろん、これがAppleシリコンにそのまま当てはまるとは限りません。
■ペリスコープ望遠レンズ(iPhone 15 Pro Max専用)
ここ数年にわたり噂されてきたペリスコープ望遠レンズが、ようやくiPhone 15世代にやってくる可能性も高まっています。
ペリスコープ方式とは、レンズやミラーで光の向きを変え、本体に対して横方向にレンズを置くことで、従来のタテ重ね式よりも厚みを抑え、スマートフォンのような薄型デバイスでも高倍率の光学ズームを実現できる技術です。
この説も複数の情報源が唱えており、ひとりはHaitong Intl Tech ResearchのアナリストJeff Pu氏です 。もう1人は、2年前から主張していたMing-Chi Kuo氏。当初Kuo氏は「2022年モデル」(iPhone 14世代)と言っていましたが、後にiPhone 15世代へと軌道修正しています。
ただし、Pu氏もKuo氏も「iPhone 15 Pro Max」のみで、「iPhone 15 Pro」には積まれないことでは一致しています。本体サイズが大きく、内部空間にも余裕がある「Pro Max」モデル限定の機能には前例があり、iPhone 12世代でもPro Maxのみにセンサーシフト式手ぶれ補正が搭載されたことがありました。
しかし、Kuo氏は「iPhone 15世代ではProとPro Maxでも差が付けられる」とも述べています。なぜなら高額なモデルを魅力的にして、より多くの売上/利益を生み出すためとの分析です。
もしかすると、技術的にはiPhone 15 Proにペリスコープ望遠レンズが積めるがあえて見送り、Pro Maxを多く売るために独占機能とする……という展開もあり得そうです。
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