12日未明にオンラインで行われた「Meta Connect」イベントで、マイクロソフトはMetaとのコラボレーションとして、VRヘッドセットMeta Quest 向けにWindows 365やTeamsといった企業向けサービスを提供すると発表しました。
配信映像に登場したマイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、Teams、Office、Windows、そしてXbox Cloud GamingをQuest VRヘッドセットから利用可能にすると宣言。
Metaのマーク・ザッカーバーグCEOが社運を賭けるメタバースを、企業活動にも役立てる後押しをします。
ナデラCEOは「われわれは、人々が互いにつながるための新しい方法を提供すべく、Meta QuestにMicrosoft Teamsの没入型ミーティング体験をもたらします」とし、VR対応したTeamミーティングによって「ユーザーはまるで同じ場所にいるかのように互いにつながり、共有し、コラボできます」とその簡単な例を示しました。
TeamsのQuest 2およびQuest Proへの対応は、MetaのアバターシステムをTeamsに対応させることで、Teams上でMetaのアバターを利用可能とし、ホワイトボード機能などをバーチャルな会議で使用可能にします。
またナデラCEOは「Windows 365がQuestに登場し、WindowsとWindowsアプリケーションのフルパワー、パーソナライズされたアプリ、コンテンツ、設定などといったWindowsエクスペリエンス全体をVRデバイスに安全にストリーミングする新しい方法」を提供すると述べました。
さらにOffice 365のQuestへの対応により「Sharepointや、Word、Excel、PowerPoint、Outlookなどの生産性向上に役立つアプリケーション」が、VR空間の中の2Dコンテンツとして操作可能にもなります。
一方娯楽面でのMeta Quest活用に対しては、Xbox Cloud Gamingの対応があります。もし、ユーザーがXbox Game Pass Ultimateに加入していれば、ゲームのストリーミングが可能になります。これもQuestヘッドセット内で前方に表示される巨大スクリーンを使ってゲームがプレイ可能になるとのこと。
ナデラCEOは「バーチャル世界と物理世界が一体となることに、特に大きな期待を寄せています。この新しいパートナーシップにより、Microsoftの人気の高い生産性向上のツールがMetaのVRデバイスに導入され、共同作業や仕事の進め方の柔軟性がさらに高まります」と、両者が互いに協力し合うことによる相乗効果を説明しました。
ただ、マイクロソフトと言えば、自社でもMixed Reality(MR)ヘッドセットのHololens 3を開発中のはずです。本来ならMetaとはライバル関係にあってもおかしくないはずですが、マイクロソフトでは今年6月に、Hololens開発チームを率いていたアレックス・キップマン氏が暴言やセクシャルハラスメント疑惑で会社を離れています。また少し前の2月には、Hololens 3の開発が中止になったとのうわさも出ていました。
いずれにせよ、マイクロソフトとのパートナーシップはMetaが目指すメタバースの実現にとっても重要な味方になることは間違いありません。
Metaは数年前から、Workplaceプラットフォームで企業顧客の間への浸透を図ってきましたが、これはうまくいったとは言えない状況です。
今回の連携は、この分野で白旗をあげたことになるかもしれないものの、マイクロソフトをメタバース戦略に引き込んだことで、メタバースでの企業顧客獲得の可能性が広がったと考えることもできそうです。
なお、Metaはマイクロソフトのほかにも総合コンサルティング企業のアクセンチュアとも連携することを明らかにしました。Autodeskや、ZoomのアプリケーションがMeta Questに対応することを発表しており、今後数か月のうちにこれらのアプリケーションもQuestで利用可能になることでしょう。