マイクロソフトが、NVIDIAが展開するストリーミング方式のゲームプラットフォームGeForce Nowに、Xbox PCのゲームを10年間にわたり供給する契約を結んだと発表しました。
これは昨日発表された、任天堂と10年間にわたる人気ゲーム『Call of Duty 』(CoD)提供の契約に続く動きです。
マイクロソフトは目下、CoDシリーズなど人気タイトルを抱えるActivision Blizzardを対象に、687億ドルにのぼる買収計画を進めているものの、これに対してEUの独占禁止当局が難色を示す状況が続いています。マイクロソフトは買収に際し、これに強力に反対するソニーのPlayStationに対して10年間のCoD供給を提案しています。
しかしそれでも状況はさほど変わらない状態が続いているため、人気タイトルの独占の意思がないことを示し、膠着状態を打開するために任天堂とNVIDIAへの10年間の契約を相次いで発表した格好です。
今回の発表はベルギー・ブリュッセルで行われたEUの公聴会のあと、これに出席したマイクロソフト社長のブラッド・スミス氏が会見で明らかにしました。なおこの公聴会には、SIEのジム・ライアンCEO、Activision Blizzardのボビー・コティック氏も出席していました。
マイクロソフトが発表したGeForceとの契約ではXbox PCのゲームがGeForce Nowに供給され、買収が認められるならば、CoDを含むActivision Blizzardのタイトルももちろん供給するとされています。
Microsoft Gamingのフィル・スペンサーCEOは、GeForce Nowとの契約について「このパートナーシップは、開発者がストリーミングゲームを提供するためにより多くの方法を提供しつつ、NVIDIAのサービスにCall of Dutyといったゲームを含めてカタログを拡大するのに役立ちます。ゲーマーが大好きなゲームをプレイするためのより多くの方法を提供できることを嬉しく思います」とコメントしました。
ちなみに、マイクロソフトによるActivision Blizzard買収には、米連邦取引委員会(FTC)も反トラスト法違反の訴訟を昨年12月に起こしています。さらに今年1月には、Googleの親会社AlphabetもNvidiaとともに、Chromebook経由でGeForce Nowをプレイする人々の選択肢を奪う可能性について懸念を表明し、FTCの訴訟をサポートする姿勢を示していました。ただ、これに関しては今回のマイクロソフトとNVIDIAの契約によって懸念が解消された格好になりそうです。
GeForce Nowでゲームをプレイするには、まずXbox PC、Steam、Epic Games Storeなどでゲームを購入し、それを紐付ける作業が必要です。とはいえ、レイトレーシング機能や解像度などいくつかの制限を厭わなければ、GeForce Nowそのものは無料から利用できます。高価なゲーミングPCを揃える必要がなく、たとえばリビングにGeForce Nowに対応するスマートテレビが1台あればPCゲームをプレイできるという魅力があり、世界で2500万人を超えるユーザーがこのサービスを利用しています。
なお今回の公聴会後の会見で、ブラッド・スミス氏はPlayStationとの契約は保留状態のままだと述べました。