アップル初のAR/VRヘッドセットは、早ければ今年6月の世界開発者会議WWDC、遅くとも秋の「iPhone 15」シリーズと同時に発表を迎えるとの見方が有力です。
しかし、これまでアップルの未発表製品に付きものだった「部品の実物写真」が流出する事態は、ヘッドセットに関してはこれまで一度もなし。
そのため目撃した人の証言に終始していましたが、ようやく各種パーツの写真と称する画像がネット上に出回り始めました。
今回の画像は、アップル製品のプロトタイプ画像を正確に伝えてきた実績もあるMr.White氏によるもの。記事執筆時点では非公開(Twitterアカウントにカギ)とされていますが、米9to5Mac等が魚拓を取って掲載しています。
ロジックボードやレンズ、内外にあるという多数のカメラなど主要部品はないものの、明らかにヘッドセットらしき楕円を描いた金属パーツは確認できます。
iPhoneやMacなど既存製品の後継ではなく、完全新規カテゴリー製品のため、特に機密が厳重に守られている中で辛うじて持ち出されたのかもしれません。
アップルの“初代”AR/VRヘッドセットの開発コード名は「Reality Pro」。本体価格は3000ドル(約40万円)で4K有機ELディスプレイ×2枚やユーザーの手の動きや目線を検出、物理コントローラーなしにジェスチャー操作できて空中タイピングさえできる、超ハイテクが詰め込まれる見通しです。
その代償としてかさばり、バッテリー駆動時間も短く、外付けバッテリーひとつで約2時間しか持たないとの未確認情報もありました。(プロトタイプの情報と見られます)
つまり16インチMacBook Pro(2023)の基本価格より高く、バッテリー持ちの短さから家の外では長時間使用が困難のはず。しかも今年初めの時点では真のキラーアプリがあるかどうかも怪しいとのことで、アップルの内情に詳しいBloombergのMark Gurman記者はアップルにとって「爆弾」にもなり得ると述べていました。
またアップル社内でも、デザインチームからはReality Proがまだ発売できる段階ではないとして反対があったものの、ジェフ・ウィリアムズCOOが発売すべきと主張。さらにティム・クックCEOがウィリアムズ氏を支持して、早期発売を押し切ったとの報道もありました。
それでも、Reality Proは在庫がダブつかないかもしれません。信頼性の高いディスプレイ専門アナリストRoss Young氏は、初期の出荷台数が100万台との目標値が「高すぎる」とコメント。なぜなら売れないから……ではなく、マイクロ有機ELサプライヤーが1年内にそれほど作れないと述べています。
こうした情報をまとめると、アップルの初代AR/VRヘッドセットは非常に高価で需要も限られるが、初期の生産台数も限られており、アップルに忠誠心が高いユーザー人口しだいによっては品不足になるかもしれない、といったところでしょう。
ともあれ、2025年の第2世代では廉価版も追加と噂されており、庶民としてはしばらく札束の殴り合いを見守りつつ、2年ほど待つのがよさそうです。