ポータブルプロジェクターというジャンルも、定義がありそうでなさそうな感じになってまいりました。小型で可搬型ならポータブルだろうという話もありつつ、いやでも学校や会議室で使うデータプロジェクターとは違うしなというところで、筆者なりに定義付けしますと、
1. 片手で持てる程度のサイズと重要
2. パソコン入力(VGAとかDisplayPortとか)はない
3. OSが入っていて本体だけで動画サービスにアクセスできる
といったところで手を打ってはいただけないでしょうか。さらにプロジェクター内にバッテリーが搭載されていると、「モバイルプロジェクター」になっていきます。モバイルプロジェクターで頑張っているのはなんといってもAnkerで、ビール缶ぐらいの円筒形プロジェクター「Nebula」シリーズは以前から人気があるところです。
一方バッテリーを搭載しないポータブルプロジェクターは群雄割拠といった格好で多くのメーカーが参入していますが、ここ2年ぐらいで急速に知名度を上げているのが、「XGIMI(エクスジミー)」です。2021年発売のボックス型「XGIMI Halo+」が小型ながらANSI900ルーメンという輝度で評判も上々でした。2022年にはシーリング型プロジェクターの走りであった「popIn Aladdin(現:Aladdin X)」を傘下に収めるなど、事業を拡大しています。
そんなXGIMIが4月25日に発売するのが、「MoGo 2 Pro」と「MoGo 2」です。ざっくり言うと、フルHDモデルと720pということになります。価格はそれぞれ、 80,200円と59,900円となっています。
▲4月25日より発売開始の「MoGo 2 Pro」
前作の「MoGo Pro+」はバッテリー搭載の「モバイルプロジェクター」でしたが、今回のモデルはバッテリーなしの「ポータブルプロジェクター」になりました。その代わりUSB-Cで65Wクラスのモバイルバッテリーを繋げば動きますので、「半モバイルプロジェクター」という悩ましいジャンルになっています。
今回は上位モデルの「MoGo 2 Pro」をお借りすることができましたので、さっそく試してみているところです。
機能的にはギュウギュウ
MoGo 2 Proは製品サイズ161 x 119 x 108mmとかなりコンパクトながら、ISO400ルーメンの明るさを誇ります。筆者は普段300ルーメンのポータブルプロジェクターを使っていますが、やはり300と400では結構違います。しかもMoGo 2 Proのほうが小さいというね……。
▲投影レンズ部もかなり小型
▲背面端子。窓から見えるのはパッシブラジエーター
▲天面に電源ボタン
システム的にはAndroid TVがそのまま入っており、セットアップもAndroidスマホがあれば簡単に終了します。一点、Netflixのインストールだけは、先に「Desktop Launcher」というアプリをインストールしてそこからさらにインストールするという2段構えになりますが、一度インストールしてしまえば他のサービスとの違いはありません。
▲システムはAndroid TV
▲付属リモコンは音声入力にも対応
プロジェクターには台形補正やオートフォーカス機能が必須ですが、MoGo 2 Proのインテリジェント環境適応技術はバージョン2.0となり、台形補正もオートフォーカス機能も、専用チャートを表示させることなく、コンテンツの再生中に自動で行ないます。なお「自動障害物回避」、「自動画面調整」機能もあり、これをONにするといったんチャートを出して正確に調整を行ないます。
▲正面下部にある台形補正用センサー
▲自動障害物回避と自動画面調整はデフォルトではOFFになっている
また物体検知機能を使って、プロジェクターとスクリーンの間に人やペットが入って来たのを検知、自動的に投影を中断して、目を保護します。お子様がうっかりプロジェクター光源を正面から見てしまって、目を痛めるといった事故も未然に防げるわけです。このあたりは大変気が利いてますね。ちなみにネコでもちゃんと動作しました。
▲間に人やペットが入ると自動的に投影を中断
色温度はD65、色域はDCI-P3の90%と、なかなか頑張っています。映画などは特に相性がいい感じです。
スピーカーは左右後方向きに8Wフルレンジが2つ。背面の窓から見えるのはパッシブラジエーターです。音質モードは「映画」「音楽」「スポーツ」「ニュース」の4つ。最も低音が出るのは「映画」です。とはいえスピーカー径は小さいので、低域がドコドコ出るというわけではありません。ドコドコがほしい方は、背面のHDMI端子がHDMI-ARCにも対応しますので、サウンドバーを繋ぐこともできます。
▲両脇から後方へ向けてスピーカーを配置
ミラーリングはChromecastに対応しますので、スマートフォンで見ていた映像をすぐプロジェクションすることもできます。
400ルーメンでは昼間に投影できるほどの明るさはありませんが、夜に明かりを消して投影するなら十分見応えのある明るさです。使わない時はその辺に片付けておいて、使う時だけテーブルにポンと置いて壁に向けるだけで、自動調整です。
▲夜の楽しみが1つ増えた
プロジェクターで見るのは大がかりだ、毎回セッティングがめんどくさいと思っている方の常識を変える、いい製品かと思います。