ソニーが PlayStation 5ゲームをクラウドからストリーミングでプレイ可能にすることを発表しました。
クラウドストリーミングで遊べるようになるのは、PS Plusの遊び放題カタログに含まれるPS5ゲームや、プレーヤーが所有するダウンロード版PS5ゲームのうち対応する作品。
PS5本体にゲームをダウンロード・インストールすることなく、クラウドからのストリーミング映像としてすぐに遊べるようになります。
クラウドゲームとは、ゲームをプレーヤーの手持ちのゲーム機ではなくインターネット上のサーバで動作させ、映像をストリーミングでプレーヤーに送る仕組み。
Googleが圧倒的なクラウドインフラ保有のアドバンテージとYouTubeゲーム配信との親和性をアピールして立ち上げたものの華麗に撤退した Stadia も原理としては同じです。
マイクロソフトは Xbox Game Pass の目玉機能としてクラウドゲーミング(ベータ版)を提供しており、100GBのゲームでもダウンロードを待たずに即試せる、スマホやタブレットでも豪華なグラフィックの本格的ゲームが遊べるとアピールしています。
しかしクラウドゲームのサービスは、ソニーが PlayStation Now の名前で10年近く前から先行して提供していました (日本国内では2017年から)。
当初はハードウェア的に過去の世代と互換性を持たないPS4でPS3ゲームを動かすことが主眼でしたが、後にはPS4ゲームもクラウドで遊べるようになったり、ストリーミングではなくダウンロードもできるようになるなど、定額でカタログ内のゲームが遊び放題のサブスク制サービスとしても先進的な取り組みでした。
PS Now は2019年の改定で半額以下になるまで月額料金が高かったことや、遊べるデバイスの方針が定まらなかったことなど、ソニーの戦略として推したいのかそうでないのか微妙で、あまり普及したとは言い難く、あとから始まったXbox Game Pass がサブスク遊び放題でもクラウドゲーミングでも業界の変革者として持て囃されることになりました。
2022年にPlayStation Plusのサービスを刷新しサブスクを強化してからは、最上位プランPS Plusプレミアム加入者が PS4やPS3タイトル、クラシックカタログのゲームをクラウドからストリーミングで遊べるようになっていたものの、PS5ゲームについては非対応のままでした。
今回、正式にPS5タイトルのクラウドストリーミング提供予定が発表されたことで、PS5ゲームでも遊び放題カタログやデジタル版ならばダウンロードを待たずに遊べるようになり、PS Plus プレミアムのサービス価値がさらに増すことになります。
現在はテストの初期段階とされており、正式な提供開始時期は今後改めて告知予定。
なお、クラウドゲームの利点として、ゲームを動かすコンピューターはクラウドのデータセンターにあるため、プレーヤー側の端末はストリーミング動画が再生できコントローラが接続できる程度のデバイスなら原則的にはなんでも良いことがあります (実際には双方向の遅延の問題もあり「何でも」でもありませんが)。実際、Xbox Game Pass Ultimate加入者向けのクラウドゲーミングはスマートフォンでも遊べます。
現状でもローカルのPS5で動かしたPS5ゲームを、LANやインターネット経由のリモートプレイでストリーミングしてタブレット等で遊ぶことは可能です。
原理的には、クラウド上のPS5ゲームをPS5以外の端末で遊ぶ、つまりPS5本体不要でPS5ゲームが遊べる環境も実現できるはずですが、本日の発表では「will be available for use directly on your PS5 console」つまり「PS5ゲームのクラウドストリーミングはPS5本体で遊ぶもの」とされています。
リモートプレイ専用のハンドヘルドゲーム機 Project Q の発表もあり、デバイスを問わずどこでもPS5ゲームが遊べるようになれば魅力的ですが、PS5本体を売るビジネスが好調な状況では敢えて提供する理由が薄いのかもしれません。Qも現状の発表ではクラウドゲームに非対応。