OPPOブランドのスマホを日本で展開するオウガ・ジャパンは、新モデルの「OPPO Reno9 A」を発表しました。現在、予約を受け付けており、発売は6月22日になります。直販価格は4万6800円ですが、販路によっては4万円台前半で取り扱っているところも。MVNOはもちろん、ワイモバイルや楽天モバイルも同モデルを販売します。
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(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)
Reno Aシリーズは、OPPOが日本向けに専用のカスタマイズを加えたミッドレンジスマホ。おサイフケータイや防水・防じんといった仕様を盛り込み、デザインも日本のユーザーに好まれるようなテイストを取り入れています。その取り組みは年々進化しており、昨年登場した「OPPO Reno7 A」では、背面に「OPPO Glow」と呼ばれる独自の輝きを放つ処理が施されました。
日本仕様を満たしていたことや、コストパフォーマンスの高さが評価され、Reno Aシリーズは累計で180万台を出荷しています。初代から数えて昨年までで4機種登場していることから、単純計算で1モデルあたり45万台程度が販売されていることになります。100万台を超える端末が珍しくなっている中、堅調に推移している売れ筋のシリーズと言っても過言ではありません。
日本市場での中核的な製品として年々、その機能を進化させてきたReno Aシリーズですが、Reno9 Aは、少々傾向が異なります。一言で言えば、Reno7 Aとスペックがほとんど変わらないからです。チップセットは、どちらも同じクアルコムのSnapdragon 695。カメラも、メインカメラはピクセルビニング対応の4800万画素センサーで、800万画素の超広角カメラや200万画素のマクロカメラを備えている点も同じです。
内蔵ストレージや防水・防じん、おサイフケータイなども共通。ディスプレイサイズやバッテリー容量まで、前モデルから据え置きです。実際、手に取ったときの印象は、Reno7 Aに近いものがありました。ただし、背面が樹脂からガラスになり、質感は向上。その素材変更に伴って、端末のサイズや重さはややアップしています。
スペック面での大きな違いは、メモリ容量だけと言ってもいいでしょう。Reno7 Aは6GBのメモリを搭載していたのに対し、Reno9 Aは8GBへと増量されています。余ったストレージのスペースを拡張メモリとして使う機能を利用した際のメモリ容量も増え、Reno7 Aが11GBまで拡大できたのに対し、Reno9 Aは16GBまで拡大可能になりました。ここが、使用感に違いを与える唯一の差分でしょう。
スマホの頭脳とも言えるチップセットを据え置きにした理由について、オウガ・ジャパンは「価格とのバランスを考慮した」としています。1年前と比べると、円安が進行しているほか、部材費も高騰しており、スマホの価格を維持するのが難しくなってきています。1年分の進化を反映させたスペックにすると、値上げせざるをえなくなってしまうというわけです。
もちろん、上がったコストを吸収するため、値上げするというのは選択肢の1つで、そのようにしているメーカーはいくらでもあります。iPhoneなどは、その典型例と言えるでしょう。アップルは、定期的に為替レートを反映させるよう、価格を改定しています。一方で、Reno Aシリーズはコストパフォーマンスが大きな売り。むやみに価格を上げてしまうと、ユーザーにそっぽを向かれかねません。OPPOだけに。
OPPOが選んだのは、価格をなるべく維持しつつスペックを大きく変えないという、もう1つの選択です。ミッドレンジのスマホも完成度が上がり、十分な体験を提供できるようになってきました。毎年大きなバージョンアップをせずとも、快適に利用できるようになったと言い換えることもできます。
また、逸般人は別ですが、一般人はスマホを毎年のように買い替えることはありません。早くても2、3年に1回、遅いと4年、5年と同じ端末を使い続けます。端末価格の上昇や、機能の成熟に伴って、この年数は徐々に伸びています。かつては、「バイブの振動の仕方が気に食わない」という理由で購入の2週間後に機種変更したこともある筆者ですら、ここ最近は1年ほど同じ端末を使い続けています。
つまり、昨年Reno7 Aを購入した人がReno9 Aを選ぶ確率は、そもそも非常に低いはず。併売するのでなければ、スペック据え置きでも構わないというわけです。元々完成度が高く、売れ行きもいいシリーズだっただけに、それでも一定の成果は残すと見ていいでしょう。
他方で、値上げをいとわず、スペックアップを果たしているメーカーもあります。2年、3年程度の分割払いであれば、多少値上げしても月々の負担は大きく変わらないため、進化感を強く打ち出した方がいいこともありそうです。
実際、シャープはAQUOS senseシリーズのカメラを大きく強化しつつ、価格もしれっと上げています。昨今の景気情勢が、ミッドレンジモデルに踏み絵を迫っているとも言えるでしょう。こうした動きは始まったばかり。どちらの判断が正解だったか分かるのは、もう少し先になりそうです。
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