先日のXbox Games Showcaseでは、マイクロソフトの開発スタジオ Xbox Game Studiosは現行機種 Xbox Series X|S専用の新作タイトルを次々と発表しました。
一方、前世代機Xbox One上でネイティブ動作する新作は1本も登場しませんでした。
Xbox Game Studiosを統括するマット・ブーティ氏が、社内の開発体制は現世代機に移行を完了しており、旧世代機(Xbox One等)向けの新作ゲームに取り組んでいるチームはいない、と明かしています。
ブーティ氏は米ニュースメディアAxiosの取材に対して「我々はGen 9(第9世代)に移行しました」と語っています。ここでいう第9世代ゲーム機とは、一般的には2010年代後半に登場したゲーム機全般を指します。PlayStation 5やXbox Series X|Sが第9世代で、PlayStation 4やXbox Oneが第8世代に属します。
現在、Microsoft Studios内では『マインクラフト』のようにサポートが続く作品(既存作のアップデートやメンテナンスなど)以外は、旧世代機向けのゲームに取り組んでいる社内チームはいないとのこと。
その一方で、マイクロソフトの第9世代向けゲームが第8世代のXbox One上でも、クラウドストリーミング技術によりプレイ可能だと指摘しています。実際、昨年3月には『Microsoft Flight Simulator』がXbox Cloud Gaming(Beta)経由でプレイ可能となっていました。
そうしたクラウドストリーミングの活用が「(Xbox Oneの)サポートを維持するやりかただ」と語っています。つまりXbox Oneを最新ゲームが遊べる現役ハードとしつつ、開発リソースを節約するアプローチです。
ほか興味深いのは、マイクロソフトがサードパーティ製ゲームにも課している「Xbox Series X|Sの両モデルで動作することを必須とする」条件に関するAxiomの質問への回答です。
たとえば、『Baldur's Gate III』の開発元Larian Studiosは、Xbox版の発売日が未定となっているのは、Xbox Series X|Sの両方で、発売に必須の「画面分割での協力プレイ」が同じ水準で動かなかったからだ、と明かしていました。上位モデルSeries Xより性能が低いSeries Sでもプレイ可能とするため、ゲーム開発が難しくなっているとの声が上がっているわけです。
しかしブーティ氏は自分たちの開発チーム、とりわけ現世代機向けの2作目に取り組んでいるスタッフは、Series Sからより多くの性能を引き出せるようになったと回答。「難所(sharp corners)がどこにあるか分かっているので、より良いプランが立てられる」とのことです。
実際、ファミコンやメガドライブなど過去のゲーム機でも、開発者がハードウェアの特性を理解した末期には、限界を超えたと驚かれるゲームが少なからず現れていました。発売から2年以上が経過したXbox Series Sも、そのフェーズに入っているようです。
ブーティ氏の話に戻ると、ハイエンドゲームの開発サイクルはもはや2年や3年ではなく「4年、5年、6年だ」と述べています。それは最近のゲームが複雑化していることに加えて、4K対応グラフィックや高度なライティングなど、より高い技術水準を目指しているため。
それは「より大きな期待が寄せられている」とのことで、ユーザー側が大作ゲームに求めるクォリティも上がっているため。開発スタジオとプレイヤー共に、要求水準が上がっている構図です。
Xbox Game Studios開発のゲームはもっぱら、巨額の予算と開発期間をかけたAAAタイトルとなっています。現世代機のXbox Series X|S向けに限られたリソースを集中するためにも、Xbox Oneのネイティブ対応まで手が回らないのかもしれません。