パナソニック、ワイヤレスゲーミングネックスピーカー「SC-GNW10」発表。2.4GHz帯無線で低遅延を実現、ユニットの大型化で音圧は約2倍に

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安蔵靖志

Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト 一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。デジタル家電や生活家電に関連する記事執筆のほか、家電スペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。

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パナソニックは「SOUND SLAYER」ブランドの最新ゲーミングネックスピーカー「SC-GNW10」を発表しました。2023年11月17日発売で、価格はオープン。予想実勢価格は3万7000円前後です。

SC-GNW10は、2021年10月に同社が発売した「SC-GN01」(実勢価格1万6000円)の上位モデルとなるゲーミングネックスピーカーです。SC-GN01は3mのケーブルが付いた有線接続タイプ(USB、アナログ音声入力)だったのに対し、SC-GNW10はUSB入力を備えた送信機を介し、2.4GHz帯の低遅延無線技術によるワイヤレス接続を実現しました。対応するゲーム機器はパソコン(Windows)、PlayStationシリーズ、Nintendo Switch(TV modeのみ)。ネックスピーカー本体はバッテリーを内蔵し、約4時間の充電で約9時間の連続再生(初期設定のVol 8の場合)が可能です。

▲SC-GNW10利用イメージ
▲本体前面にはLEDインジケーターを搭載しますが、エラー時に赤く光る程度で、虹色に光るような機能はありません
▲2021年10月発売の「SC-GN01」(写真左)との比較。SC-GN01(約244g)に比べて大型化し、約403gと重くなりました

SC-GN01と同様に音響分析とDSP(デジタル信号処理回路)を用いた独自の4chサラウンド技術「TRUE M.A.G.E.S.S.(True Majestic Augmented Gaming Environment Sound System)」を搭載し、最大7.1chのサラウンド音声信号を4基のスピーカーユニット(L/R、サラウンドL/R)に振り分けるリアルサラウンドサウンドを実現しています。

SC-GN01のユーザーから出た「低音が弱い」、「音量が小さい」という声に対し、スピーカーユニットは従来モデルのΦ34mmからΦ38mmに大型化。音圧は約2倍にアップしました。

▲大型化したΦ38mmのスピーカーユニットを4基搭載しています
▲従来モデルのSC-GN01に比べて音圧が約2倍にアップしました

開発に携わったパナソニックエンターテインメント&コミュニケーション ビジュアル・サウンドビジネスユニット 技術センター ハード設計部のサンガッカーラ・ウデーニ氏は、開発の苦労について次のように語りました。

▲開発に携わったパナソニックエンターテインメント&コミュニケーション ビジュアル・サウンドビジネスユニット 技術センター ハード設計部のサンガッカーラ・ウデーニ氏

「ゲーマーは敵の位置がよくわかる必要があります。独自4chサラウンド技術のTRUE M.A.G.E.S.S.を用いつつ、ゲーマーが聞いている環境の音を計測するのは非常に苦労しました。マイクを1点置いたり、7点、9点だったりと、数え切れないほどの回数を重ねて厳密に計測し、高性能DSPを使って補正を行っています。また、4つのスピーカーが首の周りに回り込むことで定位感を邪魔するため、独自の処理によってそれぞれから回り込む音をキャンセルするということも実現しました」(ウデーニ氏)

さらに首にかけるスタイルでフロントスピーカーが下に下がってしまうため、前から音が聞こえるようにするのに苦労したとウデーニ氏は言います。

「設計段階では下がっていても音声処理だけで何とかできると思ったのですが、やはり限界がありました。最後の最後まで工場に怒られながら金型修正を行い、音に関しては妥協せずに何とか調整を行いました」(ウデーニ氏)

イコライザーソフトで自分好みの音質に調整できる

SC-GN01では臨場感と迫力を重視した「RPG」モード、正確な音の定位と足音などの細かい音を聞きやすくした「FPS」モード、人の声を聞きやすくした「Voice」モードといったように、スクウェア・エニックスの『ファイナルファンタジー XIV』のサウンドチームと共同開発した3つのゲームモードを搭載していました。SC-GNW10ではそれに加え、新たに「Cinema」、「Music」、「Stereo」モードも搭載しました。

さらに専用のイコライザーソフト「SOUNDSLAYER Engine」(Windows対応)を使うことでフロント(L/R)、リア(サラウンドL/R)それぞれ12バンドのイコライザーで細かく音質を調整し、3つのプリセットサウンドモードとして登録できるように。登録したプリセットサウンドモードは送信機に保存され、モード切り替えボタンでいつでも呼び出せるようになります。

▲6つのサウンドモードに加えて、好みに合わせてイコライジングできる3つのプリセットサウンドモードを搭載しました
▲「SOUNDSLAYER Engine」の画面。必要なサウンドモードだけを本体サウンドモードボタンで選べるようにカスタマイズできるほか、フロント、リアそれぞれ12バンドの音質調整ができます

商品企画に携わったパナソニックエンターテインメント&コミュニケーション ビジュアル・サウンドビジネスユニット 国内マーケティング部の新城 隆仁氏はプレイするゲームに応じて音質を調整するといった使い方を紹介しました。

「FPSでちょっと高音がきついなと思ったら高音の2kHzのところを下げたり、ホラーゲームでもっと怖さを体感したいときには低音の100Hzあたりをブーストしたりと、音にこだわりのあるゲーマーの方にも納得いただけるPCアプリです」(新城氏)」

さらに送信機ユニットにはサブウーファー出力端子も搭載しており、アンプ内蔵サブウーファーに接続してさらに低音をパワフルに強化することも可能です。

▲送信機ユニットにはパソコンやゲーム機と接続するUSB Type-C端子のほか、アンプ内蔵サブウーファーに接続できるアナログ音声出力端子を備えています

SC-GN01から進化したもう一つのポイントがボイスチャット機能の強化です。SC-GN01はマイクを左側にのみ搭載していたため、プレイヤーが右を向いたときに声を拾いにくい難点がありました。そこでSC-GNW10ではマイクを左右に配置し、声をより拾いやすくなっています。

▲マイクを左右に配置することで、より声を拾いやすくなりました

「ゲームをするときにはエコーキャンセリングとノイズキャンセリングは必須の機能となります。マイクを両側に配置することを踏まえて内部構成を見直した上で、IntelliGo社のAI Voice Processorを採用することによって非常に高いトークパフォーマンスを実現しています。エコーキャンセリングだけでなく、さまざまなAI学習によって環境音を抑制する技術を備えていますので、安心していただけると思います」(ウデーニ氏)

▲IntelliGo社のAI Voice Processorを採用することで、エコーキャンセリングやノイズキャンセリング機能の性能が向上したとのことです
▲操作部は左側にのみ配置しています
▲ボリュームコントロールはボタンからダイヤルに変更されました

発表会後、担当者にゲームをプレイ(筆者はPCゲームの操作が苦手なので)してもらいつつ、SC-GNW10のサウンドを体験してみました。フィールドを自由に動き回るアクションゲームでは、フィールド内に現れる敵の鳴き声や、フィールド内を流れる滝の水音が、映像内の配置と同じような方向から聞こえてきます。その場で左右に回転するとそれらの音も反対側に回転するのがよくわかりました。

▲SC-GNW10を装着したところ

チャット機能を体験することはできませんでしたが、イヤホンのように耳の中が痛くなることも、ヘッドホンのように蒸れて汗をかくこともなく、できるだけ耳をふさぎたくない筆者としてはZoomやMicrosoft Teamsなどを使った打ち合わせや取材などの際にも魅力的なように感じました。

ただし実勢価格1万8000円前後のSC-GN01に比べて、SC-GNW10は3万7000円前後と2倍以上の価格です。音圧や音質が向上してワイヤレス化したものの、なかなかの価格差になりました。とはいえ、ゲーム環境をより良くしたいという人には気になる選択肢かもしれません。


《安蔵靖志》

安蔵靖志

Techジャーナリスト/家電エバンジェリスト 一般財団法人家電製品協会認定 家電製品総合アドバイザー(プラチナグレード)、スマートマスター。AllAbout デジタル・家電ガイド。デジタル家電や生活家電に関連する記事執筆のほか、家電スペシャリストとしてテレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。

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