アップル幹部、「iPhone 15 Pro向け家庭用ゲームは外付け4Kディスプレイで遊べる」「いずれiPadやMac対応」等を語る

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Kiyoshi Tane

Kiyoshi Tane

フリーライター

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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アップルが9月13日午前2時にスタートした「Wonderlust.」イベントでは、iPhone 15 Proモデル専用のA17 Proチップに搭載されたGPUはリアルタイムレイトレーシングに対応し、『バイオハザード4』や『デス・ストランディング』など家庭用ゲームのネイティブ移植をプレイできることを強調していました。

アップル幹部らは、iPhone 15 Pro向けに発表した家庭用ゲーム移植の詳細や、これらをAppleシリコン(独自開発チップ)搭載のiPadやMacでも遊べるようゲーム開発スタジオと密に協力していると語っています

アップルのGPUソフトウェア担当シニアディレクターのジェレミー・サンドメル氏と、プラットフォームアーキテクチャ担当副社長のティム・ミレー氏、ワールドワイドiPhoneプロダクトマーケティング担当副社長カイアン・ドランス氏は、米IGNのインタビューに回答。

そこで3人は、アップルが「iPhone 15 Proに対して抱いているゲームでの野心」と、iPhone 15 Proが「最高のゲーム機になる」と信じる理由を語っています。

まず興味深いのは、iPhone 15全モデルがUSB-C経由のDisplayPort出力での最大4K HDR表示に対応している仕様を確認していること。これによりiPhone 15 Proユーザーは、たとえば『バイオハザード4』を外付け4Kディスプレイで遊べるのか?と訊かれて、サンドメル氏は肯定しています。

さらに、外付け画面は単なるミラーリングではなく、4Kディスプレイ向けにアップスケールするとコメント。そこで重要な役割を果たすのが、アップルのゲーム向けAPI「Metal」に含まれる超解像技術「MetalFX」です。

サンドメル氏いわく「ディスプレイの解像度が何であれ、それがiPhoneのディスプレイでも、外付けディスプレイでもアップスケールできます、iPhoneはこれらの4Kディスプレイに接続でき、それら外付け画面でゲームをしたり、iPhone上で行うあらゆることが外部機器で行えるのです」。

ただし「解像度とフレームレートは、実際のゲームの内容に大きく依存します」とも付け加え、必ずしも4K解像度や60fpsなどはアップルが保証するものではないと示唆しています。

ちなみに、Metalではレイトレーシングがサポート済み。A17 Proがハードウェアレイトレを搭載する布石だったのかもしれません。

こうした、元々は家庭用ゲーム機やゲーミングPC向けに設計されたゲームをiPhoneのようなスマホ上で動かす上で、懸念されるのがプロセッサへの過負荷であり、熱暴走でしょう。

これにつきドランス氏は「それは特定のiPhoneモデル用に設計するメリットの1つ」とコメント。すなわち他機種向けコードのエミュレートではなく、A17 Pro上でネイティブ動作することで、独自開発チップの強みを発揮できると仄めかしています。

そしてミレー氏は自社製品につき、MetalFXを初めとして「よりハード(システムに負荷を掛ける)にではなく、よりスマートに(バランスを重視する)」というアプローチをとっていることを確認。

さらに「持続力があり、高性能で、バッテリー持ちが長く、快適な持ち心地で素晴らしいゲームをプレイできるようにする。だから、パフォーマンスとバッテリー持ちが長続きすることの確認も含めて、ゲーム体験を素晴らしいものにするために全体を設計した」とコメント。A17 Proの設計には、ゲーム開発会社とのやり取りも活かされているようです。

また家庭用ゲームのスマホ移植で、気になるのが「コントローラーが使えるのか」と「タッチ操作でもプレイできるのか」ということでしょう。

ドランス氏は「私たちはその両方を許容しています」とコメント。「1つはユーザーの選択、もう1つは開発者が最高のゲーム体験と考えるものです」とのこと。要はゲームデベロッパーの判断に任せており、アップルが両方への対応を義務づけてはいないと語っています。

ただしサンドメル氏は「本当に素晴らしいタッチ操作を提供したいのであれば、そのためのソフトウェア・プログラミングAPIとサポートをたくさん用意しています」ともフォロー。つまりタッチ操作が上手く機能しない、あるいは非対応であれば、それがゲーム開発スタジオの選択だと示唆しています。

これらiPhone 15 Pro用の新作ゲームは、Appleシリコン搭載のiPadやMacにも対応しているのか? ミレー氏は「開発者は我々と協力してその作業をしている」といい、サンドメル氏は「Appleシリコン(ここではMac用チップの意味)とiPhoneシリコン、iPadシリコンのアーキテクチャを統一したことが、それを可能にしたのです」と付け加えています。

裏返せば、先に発表したMac版『デス・ストランディング ディレクターズカット』がiPhone 15 Pro版のベースになっているのかもしれません。


アップルはMacでWindows PCゲームをAppleシリコン搭載Mac向けに移植するためのツールキット「Game Porting Toolkit」を配布中。その中には、WindowsゲームをmacOS上ですぐに動かせるエミュレータ環境も含まれています。


このエミュレータ環境はあくまで「WindowsゲームがMacでどの程度動くか」を確認する手段に過ぎず、そのままAppleシリコン向け製品版が作れるわけではありません。が、同様の開発環境がiPhone向けにも配布されたなら、「iPhone 15 Pro上で動く『サイバーパンク2077』」などが見られることになりそうです。

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《Kiyoshi Tane》

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著書に『宇宙世紀の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。

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