米国の女優・監督兼プロデューサー、ゼルダ・ウィリアムズ氏は、すでに亡くなった人の遺志を考慮することなくAIで再現したり、置き換えたりする試みに対して「個人的に不快だ」と述べています。
ゼルダ氏はInstagramのストーリーで、2014年に死去した父ロビン・ウィリアムズのように意思表示できない俳優をAIで再現することに関して「父親のような俳優を作成・再現するためにAIモデルをトレーニングしたいと考えている人を何年も見てきた」とし、しかしそれは「よく言っても偉大な人々の貧弱に複製したもので、最悪の場合あらゆる酷いものを混ぜ合わせて作った、醜いフランケンシュタインのような怪物」になってしまうと述べました。
ゼルダ氏は2019年、映画 『Finding Jack』における、往年の名俳優ジェームズ・ディーンをコンピューター生成画像で再現しようとする動きに対し、その計画を批判していました。そしてさらに、俳優をスキャンしてデジタル肖像画を作成し、スタジオが永遠に所有できるようにすることを提案するスタジオにも批判的な立場を取っています。
AIで俳優の肖像や声を生成することに関する問題としては、日曜日に、トム・ハンクス氏も自身の肖像を再現したAIディープフェイクが、歯科治療プランの宣伝に使用されているとし、本人はこの宣伝にまったく無関係だとファンに警告しています。
また6月には、声優のブラッド・ジファー氏が、AIで音声クローンを作成するような仕事は「将来の収入を脅かす恐れがあるため、拒否している」と述べたほか、9月にも映画監督のティム・バートン氏が、自身のストップモーションアニメの作風を再現するAIフィルターについて「それはロボットが魂や人間性を奪うようなものだ」と批判していました。
ハリウッドでは全米俳優組合（SAG-ATFRA）がAI・コンピューターで生成した俳優アバターの取扱いなどを巡ってストライキが行われていますが、今回のゼルダ・ウィリアムズ氏やトム・ハンクス氏の周辺で起こったAI生成俳優の問題も、ストライキにおいて争われている問題点のひとつです。
